“機神幻想ルーンマスカー” という作品を御存知だろうか。
ふつう知らんだろうな・・・。
でも、ロードス島戦記のイラストの人(出渕裕氏)が描いたマンガといえばピンとくるだろうか。
エルフの耳がとんがっているのは氏の貢献によるものだと言えば、どれだけ有名な人なのかはお察しいただけよう。
さて。
この作品、手元にある単行本によると ”1991年11月20日初版発行” とある。
もう20年も前なのか・・・。
当時の世間はどうだっただろうか。
ゲームではイース三部作が発売されファンタジー全盛期となり、
アニメでは ”機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争” が登場しOVA全盛期となり、
マンガでは ” BASTARD!! 暗黒の破壊神” が登場し超古代文明的なファンタジーが詠歌を誇った。
そんな時代である。
そんな時代に満を持して登場した作品。
ファンタジーであり、メカモノであり、設定が煮詰められていて通好みな、そんな作品が受け入れられた最後の時代の作品。
それが “機神幻想ルーンマスカー” である。
この作品はもはや忘れられた存在となった。
誰もかえりみることのなかった存在だった。
ただ、我が家の本棚にひっそりと蔵書として保管され、二度と訪れぬあの時代の美学をひとり楽しむためだけの存在だった。
しかし!
今日、本屋で偶然にも見つけた。
“ルーンマスカー” と書いてある本を見つけた。
なんだと!?
手にとった。
ルーンマスカーの完全彩色版とのことである。
ありえない。
なぜ今さらルーンマスカーが復活したのだろうか。
とりあえず買ってみた。
いや、とりあえず買ってみなかったとしても、気になってしかたがなくなって明日また買いにいっていたに違いあるまい。
完全彩色というだけあってフルカラーである。
こんなことを言ってはなんだが、実はわたしはフルカラーなマンガはあまり好きではない。
なぜなら、ペンで輪郭を描いて色を塗るよりも、ペンで立体をを表現しトーンで陰影を表現したほうが、よりその人でしか描けないものがそこに出たマンガになると感じるからだ。
だからわたしなら本来買わない本である。
しかし!
これはそんな本ではない。
フルカラー化させたその塗装が、とてつもなくいい。
いままでのフルカラーマンガども、色を塗って作者の味が薄れたガッカリ作品が跋扈していたあれはいったいなんだったのかと思うほどにまで作風にマッチしている。
オリジナルはトーンを貼りまくっている作品で彩色に不向きなはずなんだが、本来トーンが貼ってあったことなど、あらさがしでもしないかぎり見てもわからないほど巧い。
なぜ今さらルーンマスカーが復活したのかわからない。
しかし、反対を押しきってまで復活させたその誰かの気迫がそこに入魂されていることだけは間違いない。
これは買いだ!