昨日いただいたコメントで、おもしろいところを突かれてしまった。
要点は
「アメリカは原油を自給できるようになれば基軸通貨である意思を失うのでは?」
というものだ。
コメントとして返すには長すぎるので、この記事にて考えをまとめてみたい。
基軸通貨となる条件は何だろうか?
実はwikipediaで簡潔に書かれている。
基軸通貨
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%9A%E8%B2%A8
> ・軍事的に指導的立場にあること(戦争によって国家が消滅したり壊滅的打撃を受けない)
> ・発行国が多様な物産を産出していること(いつでも望む財と交換できること)
> ・通貨価値が安定していること
> ・高度に発達した為替市場と金融・資本市場を持つこと
> ・対外取引が容易なこと
たしかにそのとおりかと。
現時点においては簡単に外貨と両替できない人民元は5番目の用件を満たしていないので、しばらくは基軸通貨あつかいはされないということだろう。
(中国人は中国政府を全く信用していないので、いま人民元が自由に取引できるようになると、中国の裕福層が退去して換金に走り、貿易黒字にもかかわらずとんでもない経常赤字になるかもしれない)
では、基軸通貨になると何のメリットがあるのか?
1つは、決済用に外貨を持っている必要がなくなること。
見せ金として外貨準備を積み上げておかなければ痛い目にあうことは、かつてのアジア通貨危機で我々は経験した。
ようは
「こいつ、実は銭がなくて、俺が売ろうとしている物の代金を実は支払えないんじゃね?」
とガチで思われるとくたばるということだ。
外貨を1ドルも持っていなくても全然平気な国は、世界中でもアメリカだけの特権なのだ。
実はもう1つある。
他の国の外貨決済を牛耳れるということだ。
たとえばどういうことかというとだな。
アメリカは北朝鮮の資産を凍結しているのだが、こんなことアメリカにいながらがなぜできるかというと、北朝鮮が持っている米ドルの決済用口座を凍結しているということだ。
ようは
「こいつ、実は決済方法がないから、俺が売ろうとしている物の代金を実は支払えないんじゃね?」
とガチで思われるとくたばるという意味において、見せ金を消失したのと同じくらいヤバい状況に追い込まれる。
世界中のどの国と国交断絶しても全然平気な国は、世界中でもアメリカだけの特権なのだ。
では、アメリカはドルを基軸通貨として維持するインセンティブはあるのか?
アメリカは、シェールガス革命により、天然ガスは既に自給し、そのうえ余ってダブついていて市場価格が暴落しているくらいである。
シェールオイルもやや遅れて同様のことが起こりつつあり、20年後にはアメリカは原油を自給自足し、輸出国になっているだろうと言われている。
おまけにアメリカは穀物も輸出する側だ。
そして最近は製造業も中国から撤退して国内回帰しつつある。
これがどういうことかというと・・・
アメリカは貿易において外国に対価を支払う必要性がどんどんなくなってきているということだ。
ではもう1つのほうはどうかというと・・・
最近はイランへの経済制裁で口座の凍結をやっている。
だがアメリカがエネルギー問題から開放されれば、アメリカは中東への関心を失うかもしれない。
昨日のコメントにあったように
> 勝手にしてくんね?
と。
20年後にはサウジでスンニ派が公開処刑されようがアメリカは知らん振りするようになっているかもね。
では、ドル以外の決済用通貨を使うことは可能なのか?
現時点において、原油を買うのに使える通貨は、米ドル、日本円、ユーロ、人民元の4種類だそうだ。
ようはドルでなくても他の3つで決済することは不可能ではないということだ。
(ここで注目すべきは英ポンドが入っていないところだろうか)
だが。
中国政府の管理する口座に多額の外貨準備をほうりこんでおき、それを決済用として恒常的に使いたいかというと・・・
それは自ら中国に生殺与奪権を渡すことに等しい。
そんなことを自ら進んでやりたいヤツなどいるわけがない。
これを自分の立場になって考えてみればどれだけ恐ろしいかがよくわかる。
自分の銀行預金のほとんどを中国国内の銀行に人民元で預けたいと思うヤツがいるだろうか? ということだ。
いや、いた。
韓国は、中国との貿易を、ドルを介さずに人民元で直接取引きするのだとか。
これは、韓国くらい中国の子分に成り下がることをダイレクトに意味するわけで、当面はせいぜい北朝鮮くらいしか追従者は現れない。
米ドルは、アメリカの都合ではないところで、しばらくは基軸通貨として使われ続けよう。
実は決済でドルが好まれる理由がもう1つあるというのを最近聞いた。
恒常的に経常赤字で通貨が常に下落方向に圧力がかかっているもののほうが、支払う側が後払いするには有利だということだ。
米ドルは経常赤字が非常に大きい。
日本円は貿易赤字ではあるものの、経常黒字である。
ユーロは黒字になったり赤字になったりだったような。
人民元は為替操作で米ドルに対して少しづつの値上がりとしている。
もしどれで払ってもいいとすれば、後払いならこの中では米ドルがいいに決まっている。
たしかにそういう意味でも米ドルが基軸通貨として好まれなくなる理由にはならない。
(ただし制裁されて米ドルで決済しにくいイランは原油の代金を日本円でよこせと言っている)
米ドルのかわりに金で決済するにしても、その金ののべ棒を輸送して手渡して決済するのかという技術的な問題に阻まれて実現は容易ではない。
もしやるとしても米ドル建ての金のETFみたいなもので電子決済するようになるのがせいぜいか(それがアメロというのかもしれんけど)。
要点は
「アメリカは原油を自給できるようになれば基軸通貨である意思を失うのでは?」
というものだ。
コメントとして返すには長すぎるので、この記事にて考えをまとめてみたい。
基軸通貨となる条件は何だろうか?
実はwikipediaで簡潔に書かれている。
基軸通貨
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%9A%E8%B2%A8
> ・軍事的に指導的立場にあること(戦争によって国家が消滅したり壊滅的打撃を受けない)
> ・発行国が多様な物産を産出していること(いつでも望む財と交換できること)
> ・通貨価値が安定していること
> ・高度に発達した為替市場と金融・資本市場を持つこと
> ・対外取引が容易なこと
たしかにそのとおりかと。
現時点においては簡単に外貨と両替できない人民元は5番目の用件を満たしていないので、しばらくは基軸通貨あつかいはされないということだろう。
(中国人は中国政府を全く信用していないので、いま人民元が自由に取引できるようになると、中国の裕福層が退去して換金に走り、貿易黒字にもかかわらずとんでもない経常赤字になるかもしれない)
では、基軸通貨になると何のメリットがあるのか?
1つは、決済用に外貨を持っている必要がなくなること。
見せ金として外貨準備を積み上げておかなければ痛い目にあうことは、かつてのアジア通貨危機で我々は経験した。
ようは
「こいつ、実は銭がなくて、俺が売ろうとしている物の代金を実は支払えないんじゃね?」
とガチで思われるとくたばるということだ。
外貨を1ドルも持っていなくても全然平気な国は、世界中でもアメリカだけの特権なのだ。
実はもう1つある。
他の国の外貨決済を牛耳れるということだ。
たとえばどういうことかというとだな。
アメリカは北朝鮮の資産を凍結しているのだが、こんなことアメリカにいながらがなぜできるかというと、北朝鮮が持っている米ドルの決済用口座を凍結しているということだ。
ようは
「こいつ、実は決済方法がないから、俺が売ろうとしている物の代金を実は支払えないんじゃね?」
とガチで思われるとくたばるという意味において、見せ金を消失したのと同じくらいヤバい状況に追い込まれる。
世界中のどの国と国交断絶しても全然平気な国は、世界中でもアメリカだけの特権なのだ。
では、アメリカはドルを基軸通貨として維持するインセンティブはあるのか?
アメリカは、シェールガス革命により、天然ガスは既に自給し、そのうえ余ってダブついていて市場価格が暴落しているくらいである。
シェールオイルもやや遅れて同様のことが起こりつつあり、20年後にはアメリカは原油を自給自足し、輸出国になっているだろうと言われている。
おまけにアメリカは穀物も輸出する側だ。
そして最近は製造業も中国から撤退して国内回帰しつつある。
これがどういうことかというと・・・
アメリカは貿易において外国に対価を支払う必要性がどんどんなくなってきているということだ。
ではもう1つのほうはどうかというと・・・
最近はイランへの経済制裁で口座の凍結をやっている。
だがアメリカがエネルギー問題から開放されれば、アメリカは中東への関心を失うかもしれない。
昨日のコメントにあったように
> 勝手にしてくんね?
と。
20年後にはサウジでスンニ派が公開処刑されようがアメリカは知らん振りするようになっているかもね。
では、ドル以外の決済用通貨を使うことは可能なのか?
現時点において、原油を買うのに使える通貨は、米ドル、日本円、ユーロ、人民元の4種類だそうだ。
ようはドルでなくても他の3つで決済することは不可能ではないということだ。
(ここで注目すべきは英ポンドが入っていないところだろうか)
だが。
中国政府の管理する口座に多額の外貨準備をほうりこんでおき、それを決済用として恒常的に使いたいかというと・・・
それは自ら中国に生殺与奪権を渡すことに等しい。
そんなことを自ら進んでやりたいヤツなどいるわけがない。
これを自分の立場になって考えてみればどれだけ恐ろしいかがよくわかる。
自分の銀行預金のほとんどを中国国内の銀行に人民元で預けたいと思うヤツがいるだろうか? ということだ。
いや、いた。
韓国は、中国との貿易を、ドルを介さずに人民元で直接取引きするのだとか。
これは、韓国くらい中国の子分に成り下がることをダイレクトに意味するわけで、当面はせいぜい北朝鮮くらいしか追従者は現れない。
米ドルは、アメリカの都合ではないところで、しばらくは基軸通貨として使われ続けよう。
実は決済でドルが好まれる理由がもう1つあるというのを最近聞いた。
恒常的に経常赤字で通貨が常に下落方向に圧力がかかっているもののほうが、支払う側が後払いするには有利だということだ。
米ドルは経常赤字が非常に大きい。
日本円は貿易赤字ではあるものの、経常黒字である。
ユーロは黒字になったり赤字になったりだったような。
人民元は為替操作で米ドルに対して少しづつの値上がりとしている。
もしどれで払ってもいいとすれば、後払いならこの中では米ドルがいいに決まっている。
たしかにそういう意味でも米ドルが基軸通貨として好まれなくなる理由にはならない。
(ただし制裁されて米ドルで決済しにくいイランは原油の代金を日本円でよこせと言っている)
米ドルのかわりに金で決済するにしても、その金ののべ棒を輸送して手渡して決済するのかという技術的な問題に阻まれて実現は容易ではない。
もしやるとしても米ドル建ての金のETFみたいなもので電子決済するようになるのがせいぜいか(それがアメロというのかもしれんけど)。