Always Autumn

Letter from Perth

おひな様

2008-03-03 23:42:44 | Weblog
オーストラリアで、日本の風習を維持し続けるのは難しいけれど
結構、こだわって続けていることがある

例えば年越し蕎麦だとか、お正月のお餅を食べることだとか。

ただ、こちらで年越し蕎麦の場合、その季節が真夏なので
ソバが“ざるそば”になることもあるけれど

そして3月3日に、おひな様を飾ることも、私のこだわりの一つ

この写真のおひな様は、元々私の物だったけれど
娘が生まれて2か月目に、様子を見にパースに来てくれた父が
実家から、わざわざ持って来てくれたわけ

息子が生まれた時には、父は息子の初節句のお祝いにと
こいのぼりを買って送ってくれたけれど
そのことでは、孫たちにちょっと不公平だと気にしていたようす。

「あのおひな様はお前のだったろう?やっぱり、新しいのを買ってあげれば良かったなぁ」と。

でも、私はこのおひな様が大好きだし、娘も気に入ってくれている
小さいけれど、何ともほのぼのとした可愛い顔しているんだもの。

人形って、ちょっと間違えると不気味で怖いものだけど
これだけは、いつまでも眺めていられるし、見ていると
本当に心が安らいで幸せな気分になれる。
やっぱり、両親の真心がこもっているのかなって思う。

忘れもしない、これを初めて見た時の、あの超大感動

幼い時の自分は、あまり、あれが欲しいこれが欲しいって言わない子供だったと思うけど
なぜか、おひな様だけは欲しかったんだよね。
でも、ああいうのは高いものだからって、子供心にいつしか諦めていた。

そして、確か私が小学校2年生ぐらいの時
両親は、このおひな様を内緒で買ってくれた。

私は、その当日まで何も知らなくて、想像もしていなくて。
ただ、ある日、何か得体の知れない荷物(=おひな様)が突然届き
その中身を開けようとしない母を見て、不思議に思っていた。

3月3日前夜。
真夜中にふと目が覚めてしまい、眠れなくなったので
階下に下りて行ったら、まだ茶の間の明かりがついていた。

「ママ、寝れないんだけど・・・」って声をかけてふすまを開け
その目の前の光景に、心臓が止まるかと思ったほどに驚いた

母が、おひな様を飾ろうと格闘している真っ最中じゃないですか

「あーーっ」って言う叫び声に、兄まで起きて来ちゃって。

かなり長く、その場にボーゼンと立ち尽くしていた私。
おひな様を手に、いたずらが見つかった時のように“しまった”という風な母。
後ろから兄が「あれぇ、おひな様じゃん」ってのんきな声。

3人でぼ~っとしていたけど(あの時父はどこにいたのかは、永遠の謎
やがて母ががっくり肩を落として
「なぁ~んだ・・・起きちゃったか。せっかく、驚かそうと思ってたのに・・・」って。

あの残念そうな母の顔は、今も忘れられない。
あの時、起きなきゃ良かったなって、まだ思っている。

子供心に、母の計画(たくらみ)をおじゃんにしたことは、申し訳なく

3日の朝に、無事に並び終わったおひな様を見て
「わーーっおひな様だぁ」と、わざとらしく驚いて無理やりはしゃいで見せたら、母が
「お前ねぇ 夜中にそれ、もう見たでしょう」って苦笑していたっけ。

自分はどうも、昔から演技と言うやつはできないらしい。

話を聞いたらどうやら、母にはおひな様を並べるのが難解だったらしく
あの時、既にものすごく時間がかかっていたそうだ

親っていうのは大変なものだね


おひな様たちは、ちゃんと専用のガラスのケースに飾るようになっていたけれど
それはパースには持って来れなかった。

で、写真のおひな様は、どうやって飾ってあるかと言うと
ビデオテープを重ねて作った段々に、赤い布をかぶせて
そこに、お人形たちをそれなりの位置に並べてあるだけ

娘が小さかった時は、毎年このおひな様と娘の写真を撮っていたのに
今年、我が家の雛は、大学へ行って疲れて帰って来て
ご飯を食べて、テレビを見て、さっさと寝てしまって
簡単にカメラから逃げられた

何だよ、つまんないなぁ
このママだって、せっかく真夜中にがんばってセッティングしたのに

とは言え、自分だって、もう3月3日だということを
実はほとんどド忘れしていたのだけどね

全国の娘さんたちに、幸あれ













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