いよいよ「琵琶湖は呼吸する」の本が、一般に販売され始めた。
早速、読者からメールが届いた。
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御著書につきましては、1冊、個人用に購入させていただきました。
さっそく拝読させていただいておりますが、まず第1章に、堀江 正治 先生に関するご記述があるのが、私の目を引きました。
どういうわけか、私の周囲には堀江 先生のことを良く言わない日本人研究者が多くて困ります。
けれども、かくいう人びとは、堀江 先生より優れた成果をあげておられるのかといえば、必ずしもそうでない場合がほとんどです。
改めて私が申し上げるまでもなく、ほかのひとの仕事を正当に評価することなしに、日本の研究者が世界舞台へ躍り出るようなことはできないと、私は
思います。
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そのとおりだと思う。
1991年に初めて、私がアメリカで最大のウッズホール海洋研究所を訪れた時のことだった。
「日本の滋賀県琵琶湖研究所から来ました」
という私の自己紹介に
応対をしてくれた海洋研究所の教授がこう言った。
「よく知っているよ。所長は堀江正治だろう」
思わず、「えっ」と聞き返した。
堀江先生がいたのは「京都大学琵琶湖古環境実験施設」であって、琵琶湖研究所とは全く別の施設だったのだ。
それほどに、琵琶湖と言えば、堀江正治先生が世界的に有名だ。
なぜ堀江先生が有名になったかについては私の本を買って読んでもらうとして、琵琶湖が有名になったのは堀江先生のおかげなのだ。
だから、滋賀県は、もっと堀江先生に敬意を払うべきなのに、残念ながらほとんど記述されていない。
日本人は、他人の業績を正当に評価しない。
悪い点だ。
だからこそ、私は、あえて第1章に堀江先生の話を持ってきた。
この本を買うと、印税がモンゴル少年の火傷を直す費用になる。
本を読んで賢くなり、なおかつ人助けにもなるのだ。
最高ではないか。
バイカル湖では急激な水位低下で、多くの動植物に被害が出ているそうだ。
私たちのちょっとした貢献が、困った人や自然破壊を救うのだ。
そう思うと、日常生活が豊かに感じられるから不思議だ。