現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ハート・ロッカー

2021-12-12 20:28:16 | 映画

 2009年のアカデミー賞で、俳優関連を除いた主要部門を独占した作品です。
 イラク戦争における爆弾処理班を描いていて、人間ドラマよりも戦場シーンの迫真性を追求しています。
 ハンディカメラを多用して画面も粗く、ドキュメンタリータッチで撮影されています。
 アカデミー賞受賞後に、戦場のシーンの正確さに欠けていると批判されましたが、それもこの作品がリアリティを追及しているが故であって、例えば「地獄の黙示録」の様にドラマを重視した作品だったら、そこまで要求されなかったでしょう。
 児童文学の世界でも、描写を重視するか物語を重視するかで書き方は異なってくるので、前者の場合はよりリアリティを要求されるでしょう。

ハート・ロッカー (期間限定価格版) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイ・アム・サム

2021-12-12 17:40:31 | 映画

 知的障害のある主人公の、七歳になった娘の親権をめぐる物語です。
 主人公と娘、ひょんなことから弁護を引き受けることになった有能な女性弁護士と息子の関係を通して、親子とは何かを考えさせられます。
 女の子に対する愛情を持ち主人公にも理解のある里親の設定など、ご都合主義な点はありますが、芸術映画ではないのでそれもOKでしょう。
 深刻になりそうなテーマを、ユーモアあふれるエンターテインメントまとめ上げた監督の手腕と、主人公やその友達の知的障碍者を見事に演じた俳優陣に感心させられました。

I am Sam アイ・アム・サム [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒトラーに盗られたうさぎ

2021-12-12 13:53:40 | 映画

 2019年のドイツ映画です。

 ドイツの絵本作家のジュデュス・カーの自伝的小説を映画化したものです。

 ナチスドイツ下におけるユダヤ人家族の物語というと、戦争中の弾圧や収容所の問題がよく映画化されますが、この映画はそれよりも前のナチスが政権を奪取した1933年から1934年にかけての物語です(児童文学的に言うと、ケストナーの「飛ぶ教室」(関連する記事を参照してください)が書かれた頃です)。

 生まれ育ったドイツ(ベルリン)からスイス、フランス(パリ)、イギリス(ロンドン)と、迫害や貧困を逃れるために流転するユダヤ人家族の生活を、10才ぐらいの主人公の女の子の目を通して描かれています。

 ナチスに批判的だった演劇評論家の父は、逮捕されるのを避けて(実際にその後指名手配されて懸賞金がかけられます)スイスに亡命し、ひそかに家族(母、中学生ぐらいの兄、主人公)を呼び寄せます。

 しかし、そこでは収入を得る道がなくて、家族はパリへ移住します。

 そこでの主人公たちの困難な生活(スイスではドイツ語が通じましたが、パリでは子供たちは全く知らないフランス語を使わなければなりません)が、この作品ではメインに描かれています(主人公はフランス語のハンディキャップに負けずに、作文で賞金を得るまでになりますし、兄は成績で一番になります)。

 しかし、ここでも父が十分な収入を得られなかったために、父が書いた戯曲が売れたロンドンへ引っ越すところでこの物語は終わります(今度は、英語を覚えなければなりません)。

 いろいろな困難の中で、時にはぶつかり合いながらも、たくましく生きていく主人公や家族の姿が、過度に感傷的にならずに淡々と描かれているのが好感が持てました。

 また、当時の風物を再現した映像が素晴らしく、作品にリアリティを与えています。

 変わったタイトルは、ベルリンの実家から逃れるときに荷物が制限されたために、主人公が一緒に連れて来られず、その後、当局に没収されてしまった愛するピンクのうさぎのぬいぐるみからきています。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする