「四次元」(宮澤賢治友の会)四二号(昭和28年8月)に掲載された問題提起です。
文中で、筆者は二つの疑問を読者に投げかけています。
一つは、一郎が山猫の居場所を、栗の木、滝、きのこ、りすに尋ねたときに、それぞれが、東、西、南、南と、てんでんばらばらに答えたときに、それには従わずに(栗の木とは一致しているのですが)、最初から向かっていた東へ進んでいったことをあげています。
これに関しては、一応「物事を決めるときには人の話を聞くが、自分で決めることが大切である」という仮の答えを用意しています。
二つ目は、裁判の当事者でそこでは人格を持っていたどんぐりが、帰りには金のどんぐり(物)になってしまい、一郎はなぜ山猫からそれを裁判のお礼に貰ったのかです。
さらに言えば、金のどんぐりは家に戻ると普通のどんぐりになっていました。
これに関しても、不思議な世界と実世界とでは、同じものでも変わってくるという意見を紹介しています。