賢治の一生を、豊富な写真(賢治やその家族、直筆原稿、縁の場所など)と評伝(詩人で賢治の研究者でもある天沢退二郎が、編集も含めて担当しています)で辿ります。
以下の各時期について、非常に良く構成されていて、まるで花巻にある賢治の記念館を訪れたような気分にさせてくれます。
幼少年時代(明治29年から大正3年まで)
高等農林時代(大正4年から大正9年まで)
出京・花巻農学校教師時代(大正10年から大正15年)
羅須地人協会時代(大正15年から昭和4年)
晩年(昭和5年から昭和8年まで)
さらに、巻末の黒井千次の「大人と童話」というエッセイは、子ども時代には賢治の作品に出会わなかった大人が賢治の作品を読む上で、多くの示唆を含んでいます。
全体として、賢治ファンよりは、これから賢治の作品を読もうと思う読者に有益で、さらに言えば賢治の作品を読もうという気を起こさせてくれます。