新宿歌舞伎町で、女の子たちをキャバクラや風俗に紹介するスカウトたちの生態を描いた映画です。
人気漫画の映画化なので当たり前なのですが、設定やストーリーはマンガ的で荒唐無稽です。
くだらないと言ってしまえばそれまでですが、興業的には成功して続編も予定されているようなので、今の若い人たちが映画に何を求めているかがよくわかります。
暇つぶしになる気楽な(深刻にならず頭も使わない)娯楽、自分自身の(平凡な)日常ではない非日常世界(裏世界も含めて)への興味(自分自身はそれらから安全な位置にいられることが前提です)などです。
こういった欲求を満たす映画は、かつて映画が娯楽の王者だった時代(1920年代から1960年代ぐらいまで)にもたくさんありました。
ただ、そのころは映画産業はもっと豊かでしたし、才能を持った人材も豊富だったので、別途芸術的だったり社会的だったりする映画も作れました。
中には、芸術性や社会性を娯楽性と共存させる作品(例えば黒沢明の諸作品など)までが存在しました。
しかし、今は違います。
ほとんどの映画は、様々なスポンサーの出資によって作られています。
そのため、製作費に対するリターンだけが重視されて、無難に観客動員でき、さらにビデオレンタルやテレビ放送でも稼げる作品しか作られません。
また、映画産業に携わっていても、主演級の俳優を除いては十分な収入が得られませんから、才能のある人間が集まりようがないです。
そのため、ますますつまらない映画しかできないようになる負のスパイラルに陥っています。
この状況は、現在の児童文学業界も、まったく同様です。
1980年代から1990年代初頭までの出版バブルの時代には、現在のような娯楽的な作品だけでなく芸術性や社会性を持った多様な作品も出版されていましたが、現在では売れそうもない作品を出版するような余裕は児童書の出版社にはありません。
新宿スワン コミック 全38巻完結セット (ヤングマガジンKC) | |
クリエーター情報なし | |
講談社 |