偶然、この本が2015年の神奈川県の読書感想文コンクールの課題図書になったことを知り、再読したくなりました。
こうしたいろいろな読書感想文の課題図書は、純文学的な「現代児童文学」をたくさん売るほとんど唯一の方法です。
どういういきさつで、1986年に初版が出たこの本が30年近くたった2015年の神奈川県の課題図書になったかは知りませんが、今でも苦労しながら(時には自費出版で)「現代児童文学」の創作を続けていらっしゃる作者のために素直に喜びたいと思いました。
この本の冒頭には、以下のような「はじめに」という文章があります。
「人生は、たのしいもの。
けれども、くるしいことや、
かなしいことや、心をなやますことも
また、たくさんあります。
人は、そのようなさまざまなことを
体験しながら、ほんとうの<人間>
になるのだと思います。
ひとの心のいたみがわかる
<人間>に。」
30年の間に、子どもたちが読書に求めるものは大きく変化し、たんなる一時の暇つぶし的な娯楽にすぎない場合が多くなっています(大人たちも同様ですが)。
しかし、時には本書に載っているような作品群を読むことは、今の時代だからこそ大切なことなのではないでしょうか。
ぼくのお姉さん (偕成社の創作) | |
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偕成社 |