現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

高山榮香「ひまわりの里」あける28号所収

2017-04-29 09:34:23 | 同人誌
 人付き合いが苦手で、生涯独身だった地方公務員の男性が、母親の影響でひまわりを育て、退職後は野球場ほどの広さのひまわり畑に育て上げる話です。
 初めは地元の人たちにも馬鹿にされながら、数少ない理解者と共にひまわり作りに丹精していく姿が感動的です。
 彼のひまわり畑はやがては観光名所になり、鉄道の廃線で寂れていた地元をよみがえらせます。
 人にほめられることを期待せずに、自分の信念を貫き通す主人公は、児童文学にとって大切な人物像(キンセルの「シューレス・ジョー」(フィールド・オボ・ドリームスの原作)など)のひとつでしょう。
 特に、ひまわりの迷路を子どもたちが歓声をあげて走り回る姿は、宮沢賢治の「虔十公園林」の杉林やサリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(その記事を参照してください)のライ麦畑を子どもたちが走り回るシーンを彷彿とさせます。

横丁のさんたじいさん (鈴の音童話)
クリエーター情報なし
銀の鈴社

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