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『なぜ人の感情は、第一印象より声によって動かされるのか?』

2021年12月05日 | 伝える力

                 参考文献:東 豊著『セラピストの技法』   佐藤 伝著『初対面3秒の魔法』


【今回の重要なキーワード】
1、第一印象は見た目、しかし感情を動かすのは音声
2、成功を左右するのは容姿ではなく『自信』
3、人間の声、特に歌声は進化の過程で残っている古い脳に直接響く
4、伝えることを突き詰めると、歌声にたどり着く
5、生き方を伝える、究極の形、宗教には、それぞれの宗教音楽が存在する
6、送り側、受側双方で感情は影響しあう


『なぜ人の感情は、第一印象より声によって動かされるのか?』

人は、見た目が9割とよく言われる。

確かにそうで、この人とお近づきになっていいのか?どうなのか?の判断は、

ほぼ第一印象で決まってしまうと言っていい。

清潔感のある身だしなみかどうか?

見かけがいいのか、そうでないのか?

ファッション、身につけているものが、

似合っているのか、それとも、ダサいのか?

持っているものが、価値のあるものなのかどうなのか?が、

第一印象を決定付け、人との出会いの判断材料の大きな部分を占めているのは、

否定することはできない。

さらに、見た目のよさが、人の成功に、大いに影響しているのは、研究結果でも示されている。

容姿端麗で魅力的な人の収入は、男性で3%、女性で4%高くなるのだという。

逆に、魅力的でない人の収入は、女性で3%、男性ではなんと、20%も低くなる。


                               


『歌声と、話し声どちらが感情に与える影響が大きいのか?』

しかし実は、ここで生じた違いは、単に容姿が好まれたために、できた差ではないのだと言う。

では、何が影響したのかというと、それは・・・

『自信だ!!』

これは、容姿のことに関して、幼小のころから、大人からかけられる言葉によって、承認欲求が満たされれることで、

自己肯定感が高くなり、生まれやすくなったものと、推測できる。

そして、コミュニケーションにおいて、自信の影響が最も忠実に現れるところ、

それが、相手に自分の意思を伝えるのに、絶対不可欠なものである、

『声だ!!』

人間の声、特に歌声は、脳内の情動に関わる部位、

帯状回、尾状核、島、眼窩回、小脳の活動に影響し、

それによって、人間の感情の前段階の情動、『快』、『不快』を決定している、

扁桃核の判断にも影響を及ぼす。

特に脳の中心に近い、進化の過程で人間の中に残る古い時代の脳、

大脳辺縁系や、基底核などが関与していることから。


音声を聴いた瞬間に、本能で感じて影響されてしまうイメージだ、

フィーリングと言い換えることができるかも知れない。

だから、音声の刺激からは、人間は逃れることができない。

そしてさらに、相手への気遣い、尊敬、自信、高揚感、喜怒哀楽のような、

心理的エネルギーや、体の状態の変化なども、言葉に乗る。

これによって、受けとる側が受ける影響が大きく変化する。


                 


今回、引用させていただいた、論文の中では、

話し声<歌声の順で、感情への影響が大きく違うことが記されている。

あなたも、きっとなんとなく、感じていることだと思うのだが、

何かを相手に伝えることを突き詰めていくと、歌声にたどり着く!

そして、ちょっと冷静に、まわりを見てみると、世界は、歌声によるメッセージであふれている。

たとえば、YouYUbeの歴代再生回数のTop10を見てみると、すべてが楽曲で占められている。

えっ、YouTubeって、動画じゃなかったっけと思った人、ごめんなさい、それ正解。

そう、動画なんだけど、そのTop10が、全部歌声なんだよね、映画でもなく、アニメでもなく、

バラエティでもなく、歌声によるメッセージ、これって偶然じゃないよね!そう思わない。

https://www.udiscovermusic.jp/stories/youtube-most-watched-video-alltime



じゃー、次は、人間のもっと根源的なところに踏み込んでいくね、歴史もさかのぼっていくと、

哲学や、宗教でも、この歌声による、メッセージが重要な役割を担ってきたことに気づく。

あまり、身近じゃない人も多いかもしれないけれど、

お葬式の中の出来事で、お経が読まれているシーンを思い浮かべて、何か気づくことはないだろうか?

そう、お経って、棒読みじゃなく、何かよくわからない節がついてる事、そしてお坊さんによって、

その節が、微妙に違うことに、これって何なんだと思った人も、きっといたと思う。

じつは、これって、お経が中国や、朝鮮から伝わったときに一緒に入ってきた、『声明(しょうみょう)』言われるもの。


ウィキペディアより抜粋
声明(しょうみょう、śabda-vidyā[1])とは、古代インドにおける五つの学科のひとつで、サンスクリットなどの音韻論文法学を指す[1]

転じて、仏典に節をつけた仏教音楽を指す[1]。日本では、梵唄(ぼんばい)・梵匿(ぼんのく)・魚山(ぎょざん)ともいう。


もちろん、日本に伝わってきたのは、パーリ語などのインドの言葉の響きを、漢字読みに変えた経典で、

節も、中国声明、「梵唄」で、古代インドで、生まれたものとは違うわけだが、

驚いたのは、仏教音楽という点で、共通していることだ。

日本でも、この声明が、音楽のルーツとされており、能や、語りの音楽などにつながっていく。

声明が生まれてきた経緯は、自分は、専門化ではないので、確たることは紹介できないが、

一説では、ブッタの教えを伝える際に、当時、文字を読める人が少なかったこともあり、

音楽に乗せて、教えを伝えることにより、広まりやすくなったといわれている。

当時は、文頭でもお話したように、歌声が、人間の脳の感情を動かす部位に、

働きかけることを、知るすべはなかったと思うので、いろいろ試す中で、

経験則で感覚的に、生まれてきたのではないかと考えられる。

その証拠に、キリスト教では讃美歌、イスラム教では、アザーン、ヒンドゥー教では、バジャンと呼ばれる、

宗教音楽が存在している。


        


【人間には感情までも乗り移る、ミラーニューロンが存在する】

 声から、感情を読み取ることを対象にした研究は、かなり多くあるようだが、


声を聞いた時の、感情に与える影響についての研究は、数が少ないようである。

もちろん、音声を発する側の感情が、受ける側に自然に移ってしまうことは、

ミラーニューロンの関係で、普通に起こってしまうが、

歌声では、音声の大きさ、高低、スピード、

抑揚、間の空け方、響かせる場所、音声に混じる空気の量、舌の位置、

語尾の音声の上げ下げ、言葉の選択、音符と音符の間の音を歌うことなどによって、

受け手側に、伝わる感情の量、種類がさらに大きく変わってしまう。

アーティストは、これらを駆使して、自分の思いを伝える作業をしていると考えられる。

今回紹介の論文では、話し声と、歌声について、科学的に、

その違いで
、音程を交えた声の方が、感情により大きな影響を及していることを示している。


脳活動測定による歌声と話し声に関する非言語特徴の研究
https://dspace.jaist.ac.jp/dspace/bitstream/10119/8117/7/paper.pdf


音が与える心理的影響

http://open.shonan.bunkyo.ac.jp/~hatakama/zemi/zakiyama.pdf


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