皆さんがいつもお世話になっているコンビニの弁当(いやいや、冗談です)を含めて、サケは大半が養殖物になってしまったそうです。理由は、安いから
さてさて、今日はなんでおいしいヤマメとそうでないヤマメがいるのかということについて考えてみたいと思います。
皆さんが今まで釣ったトラウトで、身が赤いのが釣れたことがあると思います。下流の方でね。
どうして、身が赤くなるんでしょうね。
「そんなの知ってるよ、エビやプランクトンを食べてたからでしょ?」って、皆さん思ったでしょ?!
でもでも、ちょっと待ってください。鮭・鱒が単純に甲殻類を食べたから身が赤くなったって、それだけじゃ説明がつかないと思うんです。だって、ものすごい赤さですよ、沖合いや河口近くで獲れるトラウトというのは。あの桜エビでさえ、すりつぶしただけじゃ絶対にあの赤さにはなりません。食べた本人が、食べられたエサよりも赤くなってるんです。これは何か理由があるに違いないです。
「濃縮」といえば、よく話題になる「水銀」ですが、カロテノイドとはちょっと事情が違っています。あれは魚に(というか生物全般に)水銀を排出する仕組みが備わっていないからです(必然的に、年をとればとるほど、また食物連鎖のピラミッドの上に行くほど、水銀が濃縮されることになります)。
ですからどう見ても何か目的があって、意図的に筋肉にカロテノイドを蓄えてるとしか考えられないわけです。それも半端じゃなく、脂肪が飽和するぐらいに。
カロテノイドというのはビタミンAとかリコピンとかの仲間の総称です。「カロテノイド類」といった方が直感的に分かりやすいかも知れませんね~。カロチノイドとも言いますね~。これはもともと植物が光合成をする際に利用している物質でして、プランクトンとかの甲殻類はそれを食べて体内に蓄える習性があるわけです。
で、鮭・鱒は、遡上を始めると今度は蓄えた脂肪を燃焼させるモードに切り替わるわけです。脂肪燃焼モードに入るとだんだんスリムになっていきますし、身の方も色がだんだん薄くなっていきます。これは、もちろんこれらのカロテノイドが卵に移行するからっていう理由もあるんですが、サクラマスの場合卵が色づくのはずっと後になってからです。どうも運動のためにカロテノイドを使って、それでも残った分が卵に移行するような気がしてなりません。
じゃあ、カロテノイドには脂肪を効率よく燃焼させる効果があるのか?って、このあたりはまだまだ全然解明されていません。でも、その効果は絶対にあると思います。
竹心も実際その種の魚を釣ったことありますけど、もう、外見からしてすでに赤みがかってるんです。婚姻色じゃないですよ。で、掛かった瞬間ピョーンって水面から飛び上がったんですけど、その時マジで赤く光ったんで一瞬ウグイかと思いました。「えーーっ、ウグイが跳んだ!?」って(笑)。
持って帰って捌いてまたびっくり。マジで、アタマからオッポの先まで、血合い以外の全身がマッカッカなんです。
考えてみると鮭鱒以外でこんなに身が赤くなる魚っていないんじゃないでしょうか。ソウダガツオも時期によっては身がピンクになることがありますが、背中までピンクになるというわけでもないようです。鮭鱒には、甲殻類から得たカロテノイドを高濃度に濃縮する仕組みが備わってるとしか考えられません。
みなさんご存じのように、鮭鱒は川に遡上して標高の高い渓流域で産卵します。産卵は秋です。産卵までには長期間の絶食が待っています。そして、なぜだかわからないけど鮭鱒の仲間は北極海近くまで回遊します。ベーリング海峡付近というのは、海洋深層水が混じり合った養分が豊富な海です。プランクトンもたくさんいます。良く考えてみれば、急流を遡って絶食に耐えられるだけのカロテノイドを効率よく蓄えるために、わざわざ遠いベーリング海峡まで行くんじゃないかという推測ができますね~。
ヒグマはこのサケが大好物です。厳しい冬を乗り越えるために、この特別なサケの栄養が必要なんでしょうね。アイヌ民族もサケをものすごく大事にしたそうです。ネイティブアメリカンの人たちは、サケを求めて太平洋を渡ったモンゴロイドだと言われています…。
また、日本には「冬至にカボチャを食べると風邪を引かない」とか、「柿が赤くなると医者が青くなる」などといったことわざがありますね…。
そう、やっぱり、何かがある!
で、ここが重要なんですけど、サクラマス(ヤマメ)とかベニザケ(ヒメマス)って、鮭鱒の中でもとりわけカロテノイド濃縮機能が発達してるんじゃないかと思うんです。
身が赤いヤマメって釣ったことないですけど、でもでも、ちょっと聞いてください、本当に旬のおいしいヤマメっていうのは、背中が黄色みがかっているんです。これホント。
もちろん胸ビレなんかは真っ黄っ黄です。それで塩焼きにすると黄色い油がしみ出てくるんです。お皿が黄色くなるぐらいに黄色い油です。レモンもいいけど、なぜか醤油を2~3滴垂らすと絶妙な味になるんですよね。日本人の知恵だな~。
おっと、脱線しちゃいました。こういうヤマメは例外なくヒラタばっかり食っていますね~。ラン藻→ヒラタ→ヤマメという流れですね。
黄色というのもやっぱりカロテノイドの色だと思うんですよね。色の違いは、海洋植物プランクトン由来のカロテノイドと糸状藍藻由来のカロテノイドの種類の違いだと思うんですよね。やっぱりヤマメの卵は最後まで赤くならず、黄色いです。
実際、川魚のカロテノイドはルテインというのが多いと言われていて、このルテインは黄色いんだそうです(※)。
鮎釣りでも石が黒光りしてるのが最高と言われてますけど、石が黒い川のヤマメはうまい!です。あの石の黒さって、たくさんの種類の藻類が複合体を作っていて、それがあの黒さを出してるんだと思うんです。吸光スペクトルの異なる複数類のカロテノイドが大量にあるからこそ黒く見えるんじゃないかと思います。で、もうひとつ。こういう場所ではヒラタが真っ黒!これホントです。
というわけで今日はこのへんで…。
※成山堂書店というところから、松野隆男『エビ・カニはなぜ赤い』という本が出ています(1600円)。甲殻類だけじゃなくてアユの話も載っています。この種の内容の本って、探しても全然ないんで、超お勧めです。
さてさて、今日はなんでおいしいヤマメとそうでないヤマメがいるのかということについて考えてみたいと思います。
皆さんが今まで釣ったトラウトで、身が赤いのが釣れたことがあると思います。下流の方でね。
どうして、身が赤くなるんでしょうね。
「そんなの知ってるよ、エビやプランクトンを食べてたからでしょ?」って、皆さん思ったでしょ?!
でもでも、ちょっと待ってください。鮭・鱒が単純に甲殻類を食べたから身が赤くなったって、それだけじゃ説明がつかないと思うんです。だって、ものすごい赤さですよ、沖合いや河口近くで獲れるトラウトというのは。あの桜エビでさえ、すりつぶしただけじゃ絶対にあの赤さにはなりません。食べた本人が、食べられたエサよりも赤くなってるんです。これは何か理由があるに違いないです。
「濃縮」といえば、よく話題になる「水銀」ですが、カロテノイドとはちょっと事情が違っています。あれは魚に(というか生物全般に)水銀を排出する仕組みが備わっていないからです(必然的に、年をとればとるほど、また食物連鎖のピラミッドの上に行くほど、水銀が濃縮されることになります)。
ですからどう見ても何か目的があって、意図的に筋肉にカロテノイドを蓄えてるとしか考えられないわけです。それも半端じゃなく、脂肪が飽和するぐらいに。
カロテノイドというのはビタミンAとかリコピンとかの仲間の総称です。「カロテノイド類」といった方が直感的に分かりやすいかも知れませんね~。カロチノイドとも言いますね~。これはもともと植物が光合成をする際に利用している物質でして、プランクトンとかの甲殻類はそれを食べて体内に蓄える習性があるわけです。
で、鮭・鱒は、遡上を始めると今度は蓄えた脂肪を燃焼させるモードに切り替わるわけです。脂肪燃焼モードに入るとだんだんスリムになっていきますし、身の方も色がだんだん薄くなっていきます。これは、もちろんこれらのカロテノイドが卵に移行するからっていう理由もあるんですが、サクラマスの場合卵が色づくのはずっと後になってからです。どうも運動のためにカロテノイドを使って、それでも残った分が卵に移行するような気がしてなりません。
じゃあ、カロテノイドには脂肪を効率よく燃焼させる効果があるのか?って、このあたりはまだまだ全然解明されていません。でも、その効果は絶対にあると思います。
竹心も実際その種の魚を釣ったことありますけど、もう、外見からしてすでに赤みがかってるんです。婚姻色じゃないですよ。で、掛かった瞬間ピョーンって水面から飛び上がったんですけど、その時マジで赤く光ったんで一瞬ウグイかと思いました。「えーーっ、ウグイが跳んだ!?」って(笑)。
持って帰って捌いてまたびっくり。マジで、アタマからオッポの先まで、血合い以外の全身がマッカッカなんです。
考えてみると鮭鱒以外でこんなに身が赤くなる魚っていないんじゃないでしょうか。ソウダガツオも時期によっては身がピンクになることがありますが、背中までピンクになるというわけでもないようです。鮭鱒には、甲殻類から得たカロテノイドを高濃度に濃縮する仕組みが備わってるとしか考えられません。
みなさんご存じのように、鮭鱒は川に遡上して標高の高い渓流域で産卵します。産卵は秋です。産卵までには長期間の絶食が待っています。そして、なぜだかわからないけど鮭鱒の仲間は北極海近くまで回遊します。ベーリング海峡付近というのは、海洋深層水が混じり合った養分が豊富な海です。プランクトンもたくさんいます。良く考えてみれば、急流を遡って絶食に耐えられるだけのカロテノイドを効率よく蓄えるために、わざわざ遠いベーリング海峡まで行くんじゃないかという推測ができますね~。
ヒグマはこのサケが大好物です。厳しい冬を乗り越えるために、この特別なサケの栄養が必要なんでしょうね。アイヌ民族もサケをものすごく大事にしたそうです。ネイティブアメリカンの人たちは、サケを求めて太平洋を渡ったモンゴロイドだと言われています…。
また、日本には「冬至にカボチャを食べると風邪を引かない」とか、「柿が赤くなると医者が青くなる」などといったことわざがありますね…。
そう、やっぱり、何かがある!
で、ここが重要なんですけど、サクラマス(ヤマメ)とかベニザケ(ヒメマス)って、鮭鱒の中でもとりわけカロテノイド濃縮機能が発達してるんじゃないかと思うんです。
身が赤いヤマメって釣ったことないですけど、でもでも、ちょっと聞いてください、本当に旬のおいしいヤマメっていうのは、背中が黄色みがかっているんです。これホント。
もちろん胸ビレなんかは真っ黄っ黄です。それで塩焼きにすると黄色い油がしみ出てくるんです。お皿が黄色くなるぐらいに黄色い油です。レモンもいいけど、なぜか醤油を2~3滴垂らすと絶妙な味になるんですよね。日本人の知恵だな~。
おっと、脱線しちゃいました。こういうヤマメは例外なくヒラタばっかり食っていますね~。ラン藻→ヒラタ→ヤマメという流れですね。
黄色というのもやっぱりカロテノイドの色だと思うんですよね。色の違いは、海洋植物プランクトン由来のカロテノイドと糸状藍藻由来のカロテノイドの種類の違いだと思うんですよね。やっぱりヤマメの卵は最後まで赤くならず、黄色いです。
実際、川魚のカロテノイドはルテインというのが多いと言われていて、このルテインは黄色いんだそうです(※)。
鮎釣りでも石が黒光りしてるのが最高と言われてますけど、石が黒い川のヤマメはうまい!です。あの石の黒さって、たくさんの種類の藻類が複合体を作っていて、それがあの黒さを出してるんだと思うんです。吸光スペクトルの異なる複数類のカロテノイドが大量にあるからこそ黒く見えるんじゃないかと思います。で、もうひとつ。こういう場所ではヒラタが真っ黒!これホントです。
というわけで今日はこのへんで…。
※成山堂書店というところから、松野隆男『エビ・カニはなぜ赤い』という本が出ています(1600円)。甲殻類だけじゃなくてアユの話も載っています。この種の内容の本って、探しても全然ないんで、超お勧めです。