chuo1976

心のたねを言の葉として

「夕暮れ」 黒田三郎

2012-07-12 04:39:52 | 文学
「夕暮れ」 黒田三郎




夕暮れの街で
僕は見る
自分の場所からはみ出てしまった
多くのひとびとを


夕暮れのビヤホールで
彼はひとり
一杯のジョッキをまえに
斜めに座る


彼の目が
この世の誰とも交わらない
彼は自分の場所をえらぶ
そうやってたかだか三十分か一時間


夕暮れのパチンコ屋で
彼はひとり
流行歌と騒音の中で
半身になって立つ


彼の目が
鉄のタマだけ見ておればよい
ひとつの場所を彼はえらぶ
そうやてったかだか三十分か一時間


人生の夕暮れが
その日の夕暮れと
かさなる
ほんのひととき


自分の場所からはみ出てしまった
ひとびとが
そこでようやく
彼の場所を見つけ出す
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf