chuo1976

心のたねを言の葉として

もつれ蝶        原よし志

2016-12-16 03:43:23 | 文学

もつれ蝶        原よし志

 

 

癩者の肉体は着ている衣より早く損ね変貌し、一夜の中に昨夜の面影を失うこともたびたびである。そして、その肉体の変化につれて、お互の友情にも微妙なる動きがある。


会う度に縺れあい

縺れあう度に深まる友情であったが

なぜか

いつのまにか

顔をそむけるようになった


たまたま訪れた日

花園には

薔薇が咲き

香りが甘くただよっていても

二人のへだたりは

どうすることもできなかった


二人は

あじさい色のしじまの底に

深く深く沈んで行くのだった


かつて「チューレリイ宮の噴水が欲しいね」と

読みあった小説の風景を

いっしょに描いたのも

とうとうむかしの思い出になってしまった


ぼくはやわらかな午後の風をうけて

もつれた蝶が

遠くへとんで行くのをながめながら

時間について考えた

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf