chuo1976

心のたねを言の葉として

ただ生きる             谷川俊太郎

2024-12-26 06:07:41 | 文学
ただ生きる
            谷川俊太郎
 

立てなくなってはじめて学ぶ
立つことの複雑さ
立つことの不思議
重力のむごさ優しさ

支えられてはじめて気づく
一歩の重み 一歩の喜び
支えてくれる手のぬくみ
独りではないと知る安らぎ

ただ立っていること
ふるさとの星の上に
ただ歩くこと 陽をあびて
ただ生きること 今日を

ひとつのいのちであること
人とともに 鳥やけものとともに
草木とともに 星々とともに
息深く 息長く

ただいのちであることの
そのありがたさに へりくだる
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雪の夜の紅茶の色を愛しけり | トップ | もののけの銀行かこむ師走かな »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文学」カテゴリの最新記事