chuo1976

心のたねを言の葉として

「虹」   まどみちお

2012-10-15 05:19:55 | 文学
  「虹」   まどみちお



ほんとうは
こんな 汚れた空に
出てくださるはずなど ないのだった
もしも ここに
汚した ちょうほんにんの
人間だけしか住んでいないのだったら

でも ここには

何も知らない ほかの生き物たちが
なんちょう なんおく 暮らしている
どうして こんなに汚れたのだろうと
いぶかしげに
自分たちの空を 見あげながら

その あどけない目を
ほんの少しでも くもらせたくないために
ただ それだけのために
虹は 出て下さっているのだ
あんなにひっそりと きょうも
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