虹 鹿島太郎
逃げ場もない連続大空襲で
さすがの大都会も
一日にして灰塵に帰してしまった
驟雨の過ぎ去った夜
大阪城の上にきれいな虹がかかった
私と妻子は抱きあって黙って見ていた
何もかも焼けてしまったのだ
しかしもう一つ最も恐ろしいものが
残っていた
ああ 私は家と一緒に
何故焼けてしまわなかったのであろう
「あなたこれからどうするつもり」
妻の悲しげな問いに答える力もなく
黙って妻子と別れてしまった
妻は私の病気を知っていたから
私の心の底を見抜いている筈だ
こうして十年も消息を絶ってしまうと
さまざまな不安や苦悩が襲ってくる
蠅を払いのけるように
もがいているのだ私はいつも
ドキュメンタリー映画『広河隆一 人間の戦場』
「人間という大きなアイデンティティのなかに、ジャーナリストというアイデンティティが包まれている。だから目の前に溺れている人がいれば、カメラを置いて助けるべきなんです」
フォトジャーナリスト広河隆一の哲学は言葉こそ明快だが、厳しい。それを実践する自分自身に烈しい生き方を求めずにはいなかった――。その取材の歴史は1967年、イスラエル・パレスチナに始まる。82年、イスラエル軍に包囲されたレバノンのパレスチナ難民キャンプで起きた虐殺事件を撮影、その映像が証拠として世界に配信された。89年には西側のジャーナリストとして初めてチェルノブイリ事故によって立入禁止になった地区を取材し、隠された放射能汚染を告発した。人間の尊厳が奪われている場所を、広河は「人間の戦場」と呼ぶ。
ドキュメンタリー映画『広河隆一 人間の戦場』12月19日(土)より、K'sシネマほか、全国順次公開
札幌国際芸術祭
札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。
http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf