書店員採用試験問題(1987年版) - みんなの25時より引用
『『本屋さん』読本』(本の雑誌社、1987)。書誌データベースなどの一部環境変化を除けば素晴らしくうなずかされる内容が満載で、私のようなゼロ年代のへっぽこ書店員にも十分ためになり、絶版が惜しまれます。特に、多くのページが割かれている出版流通について、これが笑うに笑えない。記事が書かれて20年経過してるのにぜんぜん問題が解決されてない。出版不況を国語力(笑)やケータイやwebやAmazonだけのせいにするのはよくないと思います。
『『本屋さん』読本』は当然本屋さんの中のお話がメインなわけですが、どれかおもしろい記事をここに引用できないかと思い選んだのがこちら「書店員採用試験問題をつくる」。書店員と読者の4名が飲み屋話的に考察したネタですが、今にも通じる本質を突いた部分も多々あり。くどいですが1987年作成です。原文ママ。
【実技・体力テスト】
1 「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を正しい発声で言えるか?
2 正しい姿勢を5時間続けられるか?
3 30キロの荷物を持てるか?
4 両手で、文庫や新書30冊をはさんで持ち上げることができるか?
5 自転車に60キロ以上の荷物を積んで運べるか?
6 1階から5階まで10キロの荷物を持ってのぼり、なおかつ息切れがしないか?
【身体検査】
腰に持病がないこと
脂性でないこと
【一般教養】
1 書評欄のない週刊誌を次の中から選べ。 (週刊文春 週刊朝日 週刊宝石 週刊ポスト 週刊新潮 週刊大衆 アサヒ芸能)
2 最近創刊された雑誌を知っているだけ列記せよ
3 戦後のベストセラーを知っているだけ列記せよ
4 好きな作家をあげよ
5 次の作品の作家は誰か?
『消しゴム』
『蒲団』
『オリバーツイスト』
『縮図』
『てんやわんや』
『草の葉』
6 ベストセラー作家・西村京太郎の作品名を3つ列記せよ
【応用問題】
某出版社がつぶれた(取次で取引停止になった)という極秘情報を入手した時の、正しい対応に○をつけよ
1 その出版社の本をすばやく返品する
2 全店注文を出して、さよならフェアを企画する
3 値引きして売る
4 店主にだまって古本屋に売り払う
5 「本日つぶれました」とポップを立てる
6 方々に電話をして面白がる
7 そっと川に捨てに行く
【応用問題】
しょたれ本(取次、出版社にさまざまな事情で返品できない本)を処分する正しい対応に○をつけよ
1 出版社にもう一度電話して丁寧に返品をお願いする
2 出版社に高圧的な態度で返品了承を求める
3 あくまでシラを切る
4 本を破って乱丁落丁ということにする
5 客注品にして、客が死んだことにする
6 近くの書店に他の本と交換しに行く
7 そっと山に埋めに行く
【面接試験】
1 あなたは週に何回本屋に行くか?
2 月に何冊本を読むか?
3 好きな趣味は何か?
4 トイレは近いか?
5 日曜日はどうやって過ごすか?
6 食事は速いか?
7 家族構成を簡潔に述べよ
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本好きの人なら”図書館の司書さんと書店員さん”というお仕事に、一度は憧れるんじゃないでしょうか?私も中学生の頃になれたら好いなぁと思った事があるんですが、20年前の冗談で作られた採用試験問題とはいえ、私、ほぼ全問落第です・・・(凹)これは人としてヤバイんじゃないのかしら?特に「実技・体力テスト」と「一般教養」が全滅です。実は西村さんの作品は、一冊も読んだ事ないんですよね~(笑)やっぱり憧れの職業に就くには、努力が必要なんだな。
*さっぱり判らなかったので調べました。
『消しゴム』 ?まったく判らない!
『蒲団』 田山花袋作
『オリバーツイスト』 チャールズ・ディケンズ作
『縮図』 徳田秋声作 問題作として中断のまま作者死亡
『てんやわんや』 獅子文六作
『草の葉』 ウォルター・ホイットマン作 詩集
でも、これらの作品の共通項は、どうやら「問題作」という点にあるようです。同性愛や性癖を語っていたり、社会制度の批判を取り上げていたり。なので「消しゴム」も恐らくそういった作品なのだろうと思います。確かにねぇ、宗教や政治や犯罪に関する知識や社会的な認識が無いと、書店に本を置く判断に困りますよね。でも20年前だからって、これらは相当教養のハードルが高いですよ(苦笑)