What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

作家 北 杜夫さん死去

2011年10月26日 08時53分17秒 | 
 実家の母が、短歌好きで同郷の大歌人である斎藤 茂吉さんを尊敬していて、たぶん北 杜夫さんの著書は全作持っているはずです。それを私は小さい頃からちまちまと読んでいたので、なんだか親戚のおじさんが亡くなったような寂しい気持ちがします。

北 杜夫さんの著作では、壮大な抒情詩のような『楡家の人々』、静かな狂気がとにかく恐かった『夜と霧の隅で』、それと烈母(笑)輝子さん(斎藤 茂吉夫人)との旅行記や対談記、友人で作家の故・遠藤 周作さんとの対談記、同じく友人で作家の故・阿川 弘之さんとの対談記が大好きでした。

輝子さんの正真正銘のブルジョワぶりとハイセンスな暮らしぶりは、読んでいて夢のようでしたし、遠藤さんも阿川さんも、自著では厳しい辛口の作風なんだけれども、北さんとのお話しだと、本当に愉快なおじさんたちがばかばっかりやっている感じがとても好きでした。阿川さんが、北さんの実兄・斎藤 茂太さんは飛行機マニアで、部屋は足の踏み場も無いほどパーツだらけだと言えば、阿川さんは筋金入りの海軍マニアだとちゃかしたり、星 新一さんは素面でもはんぱない行動で友人を振り回すとか、実父の斎藤 茂吉はすっごく恐い父親だったけれども、いろいろと気の毒な人でもあったとか。

躁・鬱病で、ご本人もご家族も、随分ご苦労されてきましたが、近年の愛娘・斎藤 由香さんの著作の中では、娘さんに叱咤激励されつつ毎日を過ごす、好いおじいさんとして過ごされておいでのご様子で、読んでいてほっとしていました。

北 杜夫さんの著作のどれかで、「死ぬ時は、南の島で蝶を追いかけて死にたい」と書かれていたんですが、今は天国で賑やかな先輩方に囲まれて、えもいわれぬ美しい蝶を追いかけておられることでしょう。

長い間、たくさんのお話をありがとうございました、心からご冥福をお祈りします。


★「gooニュース / 『どくとるマンボウ』北 杜夫さん死去」( http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/20111026-567-OYT1T00081.html )より引用

 ユーモアあふれる“どくとるマンボウ”シリーズや、大河小説「 楡家 ( にれけ ) の人びと」で知られる作家、芸術院会員の北杜夫(きた・もりお、本名・斎藤宗吉=さいとう・そうきち)氏が、24日死去した。84歳だった。告別式は親族で行う。

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2 コメント

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出勤前 (酔漢です)
2011-10-26 09:00:36
JWAVEを聞いておりまして、今しがたその訃報を知りました。
一度、「くだまき」にもいたしましたが、小学校六年次の担任が、事あるごとに「さみしい王様」を朗読してくれました。そのおかげで?「さみしい乞食」とを中学時代に読みました。
前書きが長くて、遠藤先生とのやり取りに腹を抱えて笑っておりました。

「すみませんお蕎麦三人前大至急!」
「三日はかかります」
「どういう事?」
「材料そ仕入れて、作り方を習い、それから蕎麦を作るとなりますと最低でも三日はかかるかと、斯様に存じますが」
「お宅蕎麦屋さん?」
「少なくとも蕎麦屋ではありません」

間違い電話のやり取り。
本人のユーモアが偲ばれます。

ここに謹んでご冥福をお祈りいたします。
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他には無い、優しい作風の作家さんでした。 (すず)
2011-10-26 18:08:42
>酔漢様

 『さみしい王様』や『船乗りくぷくぷ』を読むと、北 杜夫さんの優しさがしみじみ文章から語り掛けて来る様で、「身近な親戚のおじさん」のように感じていました。

遠藤 周作さんこと狐狸庵先生とのお話しには、さんざん笑わされましたね~。なので、後になって『沈黙』ほかの著作を読んで、その落差に面食らったものでした(苦笑)
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