俺は、ずっと考えていた。俺たちはなぜ生まれ、なぜ死ぬのか......。だけどいくら考えてもちっとも答えなんか出やしねぇ。けど、俺たちはいつも何かを考える。例えば花や虫たちはそんなことを考えたりしない。花はただ、そこに咲いているだけだ。でも俺たちは、やがて枯れるその花が好きだ。永遠じゃないからだ。愛しく思い、大事に水をやる。
俺たちも永遠じゃない。やがては誰もが死んじまう。ただ花と違うのは考えることだ。もっと沢山の栄養を吸収したい。もっと太陽の光を浴びたい。出来れば独り占めしたい。嵐が来て、他人が流されても、同情はするが、助けることはない。俺たちは同情が好きだ。俺たちは他人の不幸が好きだ。俺たちはいつもいつも自分と他人を比べている。いつもいつも小さな不満がある。いつもいつも孤独で、自分の無力を嘆いている!
もうそんなのはやめにしよう。俺自身も比べられてきた。けど、俺も、俺自身も友達のことを比べていたんだ。知らない間に、そいつに同情して、そいつを...... デクを......。あいつは許してくれた。だから俺も始めからやり直すんだ。こんな事件を起こした俺でもやり直せる。俺の愛する人が教えてくれた。ただ精一杯そこに咲いていた彼女......。人間の価値をはかるメジャーはどこにも、どこにもないってことをだ!頭の出来や、体の出来で簡単にはかろうとする社会があるなら、その社会を拒絶しろ!俺たちを比べるすべての奴らを黙らせろ!おまえら、自分は無力だとシラける。矛盾を感じて、怒りを感じて、言葉に出してノーって言いたい時、俺は、俺のダチは、いつでも付き合うぜ。
~野島伸司 『未成年』より
学歴だとかだけでなく、あらゆることに関していえる言葉ですよね。
生きていちゃいけない人なんて、この世にはいない。
「人間として」世間に遠慮して生きなきゃならない人なんて、いないんです。
だから、私達の価値を簡単にはかろうとする社会があるなら、NOと言えるようになりたいですね。
難しいことだけど、でもそんなことから、少しずつ何かが変わってゆくのかもしれないから。