風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

京極夏彦 『塗仏の宴―宴の始末』

2006-03-30 20:08:15 | 



「それでは伺いましょう。意味があるということにどんな意味があるのです?得があることや、救いがあることや、根拠のあることは、損をすることや救われないことや無根拠なことより勝っていると云うのですか?そんなことはないでしょう。だからあなたに兎や角云われる筋合いはない。どんなものもどんな状態も、この世にある限り、この世に起きている限り―――それは日常です。この世には―――不思議なことなど何もないのです」
(京極夏彦『
塗仏の宴―宴の始末』)

京極堂の決め台詞、「この世には不思議なことなど何もないのです」。
一作目の『姑獲鳥の夏』の頃は、「この世には超常現象などないのだよ、関口君」くらいの意味かと思っていたのですが。。。シリーズを読みすすめていくうちに、じわじわじわじわと侵食されてゆき、この『塗仏の宴』に至って、やられました……。
さすが決め台詞にしているだけあるよ。実はとんでもなく深く、そして包容力のある言葉だったんですね、これ…。
名台詞です。

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