厳しい情勢の中で、ひとまず安心、というニュースだったでしょう>全国の産科関係者の方々
無資格助産の院長ら11人起訴猶予へ…現場の実情考慮 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
(記事より一部引用)
最高検などと協議し、違法としたが、社会情勢から刑事罰を科すケースに当たらないと判断したとみられる。ほかの医療機関でも同様の行為が相次いで明らかになっており、捜査による医療現場の混乱回避を優先させたといえる。名古屋市の女性(当時37歳)ら17人に2003年12月~06年5月、産道に手を入れて胎児の下がり具合を調べる内診などを看護師らが行ったとして、神奈川県警は昨年11月、院長や看護師、准看護師を書類送検。内診について厚生労働省が02年と04年の2度、「看護師では違法」とした通達を出しているのが根拠となった。
しかし、厚労省が05年に設置した諮問機関「保助看法あり方検討会」では、看護師が内診を行っていいかどうかなどについて統一見解を示せず、医療関係者から通達の見直しを求める動きも出ている。これらのことから、検察当局は院長ら個人を罰するほどではないと判断したとみられる。また、産科医やお産を扱う医療機関が減っており、刑事罰を科せば産科医の減少につながると言われかねず、医療現場に混乱を招くことがないように配慮したらしい。
それから、東京新聞の記事。
無資格助産 「医療の構造的問題」
(以下に、一部引用します)
国内有数の出産規模を誇る横浜市瀬谷区の産科婦人科「堀病院」の無資格助産事件で、横浜地検は一日、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀健一元院長(79)と看護師らの計十一人を不起訴(起訴猶予)処分とした。地検は元院長らの違法行為を認める一方、無資格助産は産科医と助産師の不足が深刻な「周産期医療の構造的な問題」であり、「厚生労働省などが改善に向けて施策を進める中で、元院長らを刑事処分して一般予防をするのは相当ではない」と判断した。
地検は、堀元院長が長年、無資格の看護師らに妊婦への「内診」を行わせ、違法状態が院内で常態化していた事実を認めたほか、一部で、卵膜を破る「人工破膜」を看護師にさせていた事実も認定した。一方で無資格内診は、堀病院に限らず周産期医療の構造的な問題であると指摘。さらに(1)堀病院の無資格内診が妊婦の母体に具体的な危険があったとは認められない(2)現在は是正措置がとられている(3)堀元院長が医師免許を返上し、医師を引退する意向を示している-などを起訴猶予処分とした理由に挙げた。
(中略)
事件発覚後、県や横浜市の調査で、十の医療機関でも無資格内診が判明。日本産婦人科医会などが「捜査は医療現場に打撃を与える」と県警の捜査を批判していた。無資格助産事件をめぐる刑事処分では、千葉地検が〇四年に千葉県茂原市の産婦人科院長を略式起訴し罰金五十万円が確定。一方、名古屋地検豊橋支部は昨年十一月、豊橋市の産科婦人科病院長ら三人について起訴猶予処分とした。
これまでの参考記事はこの辺>
助産師・看護師の業務に関する法的検討
頂いたコメントへのお返事~「元検弁護士のつぶやき」様
厚生労働省通知の判例中での取扱い
不戦敗宣言はまだ早いのでは
不戦敗宣言はまだ早いのでは・2
上記読売新聞と東京新聞の記事から、ポイントだと思う部分を挙げてみます。
特に東京新聞の記述は、良いです。検察側の意向がきちんと伝わってきます。
・最高検と協議し、違法と認定
・違法の根拠は厚生労働省通達(←多分「通知」が正しいと思うけど)
・周産期医療の構造的問題
・厚労省は改善に向け施策を模索中(通知内容も含めて→あり方検討会では示せず)
・「刑事処分して一般予防をするのは相当ではない」
更に、個別には
・具体的危険性を認めなかった
・是正措置がとられている
・主たる責任者(院長)は医師免許返上
ということから、起訴猶予へと固まった、ということです。
「刑事処分して一般予防するのは相当ではない」――私は、この文言を何度も読み返しました――という判断に至ってもらえたことについて、深い感謝があります。学会関係者たちや地元の方々の働きかけなんかが、やっぱり大きかったのだろうと思います。また、実際どうなのか不明ではありますが、モトケン先生の所での積み上げは決して無駄ではなかった、と思いたいです。Yosyan先生をはじめ多くの医師たちの悲痛な叫びが、大きな岩を動かしたのだろうと思います。
今まで、色々と文句ばかりを言ってごめんなさい>司法の世界のみなさま
でも、検察の人々だって、良心的な、善良な、そういう人はいっぱいいるのですよ。一生懸命やっている、国民のことを思ってやってくれている人たちは検察官にだってたくさんいるのです。なので、意見や主張を理解してもらうことが可能になれば、それは通じるものがあると思うのですよね。
やっぱり正義はあるものなのだ、と信じたい。
「お花畑」とか言われるかもしれないけれど(笑)。
無資格助産の院長ら11人起訴猶予へ…現場の実情考慮 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
(記事より一部引用)
最高検などと協議し、違法としたが、社会情勢から刑事罰を科すケースに当たらないと判断したとみられる。ほかの医療機関でも同様の行為が相次いで明らかになっており、捜査による医療現場の混乱回避を優先させたといえる。名古屋市の女性(当時37歳)ら17人に2003年12月~06年5月、産道に手を入れて胎児の下がり具合を調べる内診などを看護師らが行ったとして、神奈川県警は昨年11月、院長や看護師、准看護師を書類送検。内診について厚生労働省が02年と04年の2度、「看護師では違法」とした通達を出しているのが根拠となった。
しかし、厚労省が05年に設置した諮問機関「保助看法あり方検討会」では、看護師が内診を行っていいかどうかなどについて統一見解を示せず、医療関係者から通達の見直しを求める動きも出ている。これらのことから、検察当局は院長ら個人を罰するほどではないと判断したとみられる。また、産科医やお産を扱う医療機関が減っており、刑事罰を科せば産科医の減少につながると言われかねず、医療現場に混乱を招くことがないように配慮したらしい。
それから、東京新聞の記事。
無資格助産 「医療の構造的問題」
(以下に、一部引用します)
国内有数の出産規模を誇る横浜市瀬谷区の産科婦人科「堀病院」の無資格助産事件で、横浜地検は一日、保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検された堀健一元院長(79)と看護師らの計十一人を不起訴(起訴猶予)処分とした。地検は元院長らの違法行為を認める一方、無資格助産は産科医と助産師の不足が深刻な「周産期医療の構造的な問題」であり、「厚生労働省などが改善に向けて施策を進める中で、元院長らを刑事処分して一般予防をするのは相当ではない」と判断した。
地検は、堀元院長が長年、無資格の看護師らに妊婦への「内診」を行わせ、違法状態が院内で常態化していた事実を認めたほか、一部で、卵膜を破る「人工破膜」を看護師にさせていた事実も認定した。一方で無資格内診は、堀病院に限らず周産期医療の構造的な問題であると指摘。さらに(1)堀病院の無資格内診が妊婦の母体に具体的な危険があったとは認められない(2)現在は是正措置がとられている(3)堀元院長が医師免許を返上し、医師を引退する意向を示している-などを起訴猶予処分とした理由に挙げた。
(中略)
事件発覚後、県や横浜市の調査で、十の医療機関でも無資格内診が判明。日本産婦人科医会などが「捜査は医療現場に打撃を与える」と県警の捜査を批判していた。無資格助産事件をめぐる刑事処分では、千葉地検が〇四年に千葉県茂原市の産婦人科院長を略式起訴し罰金五十万円が確定。一方、名古屋地検豊橋支部は昨年十一月、豊橋市の産科婦人科病院長ら三人について起訴猶予処分とした。
これまでの参考記事はこの辺>
助産師・看護師の業務に関する法的検討
頂いたコメントへのお返事~「元検弁護士のつぶやき」様
厚生労働省通知の判例中での取扱い
不戦敗宣言はまだ早いのでは
不戦敗宣言はまだ早いのでは・2
上記読売新聞と東京新聞の記事から、ポイントだと思う部分を挙げてみます。
特に東京新聞の記述は、良いです。検察側の意向がきちんと伝わってきます。
・最高検と協議し、違法と認定
・違法の根拠は厚生労働省通達(←多分「通知」が正しいと思うけど)
・周産期医療の構造的問題
・厚労省は改善に向け施策を模索中(通知内容も含めて→あり方検討会では示せず)
・「刑事処分して一般予防をするのは相当ではない」
更に、個別には
・具体的危険性を認めなかった
・是正措置がとられている
・主たる責任者(院長)は医師免許返上
ということから、起訴猶予へと固まった、ということです。
「刑事処分して一般予防するのは相当ではない」――私は、この文言を何度も読み返しました――という判断に至ってもらえたことについて、深い感謝があります。学会関係者たちや地元の方々の働きかけなんかが、やっぱり大きかったのだろうと思います。また、実際どうなのか不明ではありますが、モトケン先生の所での積み上げは決して無駄ではなかった、と思いたいです。Yosyan先生をはじめ多くの医師たちの悲痛な叫びが、大きな岩を動かしたのだろうと思います。
今まで、色々と文句ばかりを言ってごめんなさい>司法の世界のみなさま
でも、検察の人々だって、良心的な、善良な、そういう人はいっぱいいるのですよ。一生懸命やっている、国民のことを思ってやってくれている人たちは検察官にだってたくさんいるのです。なので、意見や主張を理解してもらうことが可能になれば、それは通じるものがあると思うのですよね。
やっぱり正義はあるものなのだ、と信じたい。
「お花畑」とか言われるかもしれないけれど(笑)。