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日本復活の道を探る・6~日本人向きな投資とは…?

2008年02月15日 18時11分27秒 | 経済関連
少し空いてますが、続きです。

日本が今後改善すべき点としては、「投資」ということがあります。日本の保有する金融資産ということもありますし、年金の運用成績が将来の給付額や安定性にも大きく影響するからです。これらのことを考えつつ、どういった工夫ができそうなのか、書いてみたいと思います。


1)不安民族「ニッポン」

まず、様々な面で見られるのが、不安大国、みたいな面です。牛肉騒動の時もそうでしたし、昨今の「食の安全」というのがクローズアップされていることもそうです。耐震偽装のことも、他の国であればあれほど心配しないのではないかと思えましたが、「偽装されたマンションに居ると不安で…」といった意見が結構ありました。泣き出す人たちもおられたと記憶しています。実際に崩れたわけでもなく、倒壊したわけでもありませんね。でも、心配なのです。

他には、日本人の高い保険加入率などがあるかと思います。保険に入ってないと不安になるから、ということなのかもしれません。兎に角、心配になることがたくさんあるし、不安になりやすいということなのだろう、と思ったりします。

これは投資面でもそうした性質が窺えるかもしれず、心配が尽きることはないでしょう。人間であれば大体同じような傾向なのではないかと思うのですが、若干の違いみたいな部分はあるのかもしれません。日本人の場合には、「バカ勝ち」を過度に追い求めたりする人は案外と少ないのではないかと思います。投資リターンが多ければ多いにこしたことはないし、多く利益が出れば喜ぶのも当たり前ですが、どちらかといえば「大きな勝ち」よりも「マイナスになること」を嫌うのではないでしょうか。20万円勝つかもしれないけれど、元本より20万円負ける投資は嫌だ、みたいなことです。それよりも、2万円しか勝てないかもしれないけどマイナスにはならない、みたいな投資の方が好きだ、ということなのではないでしょうか。このような特性があるのではなかろうか、ということですね。


2)個々に適切に考えるのは難しい

前に、投資プログラムみたいな話を書きました>日本復活の道を探る・4~日本への直接投資とは

日本人の多くは前項に書いたように、マイナスになることを極度に嫌っているのではないかと思われます。それに加えて、全て自己責任で判断して、投資をやっていくということがそれほど得意なわけではないのです。そんな訓練を受けてもいませんし、そんなに面倒なことをやるのであれば、別にいいや、みたいに思っている部分はかなりあるのではないかと思えるのです。

ボナンザの話をリンク先記事で書きましたので、また将棋を例に書いてみます。

全員が個々に将棋のルールブックを買って勉強を始め、定跡書を読み、強くなるまで努力せねばなりません。これに失敗すると、サブプライム債券を掴まされたり(笑、個人には買えないのかもしれませんが)、プロのトレーダーたちに喰われてしまいます。これが大変なコストなのですよね。個々に強くなる努力をするよりも、自分の代わりに「ボナンザ」を立てると、素人とか初心者でもかなり勝てるようになる、ということだろうなと思います。今の取引市場の多くというのは、「プロ棋士」も「腕に覚えのあるアマ棋士」も「駆け出し素人」も同じ戦場で争わねばならないので、これは大変に決まっていますね。これがどうなのか、という話です。それなら、ある程度の強さ以下の人たちには、「自分は指さないけど、ボナンザが代わりに指します」ということになっている方が有利なのではないか、ということです。下手な素人が考える方が時間の無駄でしょう、ということです。


3)今後に求められる金融の役割

今は、腕に覚えのある人たちがデイトレードや普通の株式投資とか、外貨、投資信託、等々自分で考えて運用していると思いますけれども、これが果たして効率的なんだろうか、ということですね。

将棋の弱い人にも、全部自分で考えて指せ、と求めるようなもので、あんまり成績は芳しくないのではないかと思えたりします。それよりも、上手な人が決まってやるとか、プログラム的に指せる方が大半は強いんですよね。それと同じようなことではないか、と。

今後には、個々の独立的な家庭が多いだろうし、昔みたいに親が高齢となって金を孫に残すということがあるとしても、世帯は別に暮らしているから、お金の管理運営というものが必要になると思うのですよね。高齢者を狙った悪徳商法や犯罪も後を絶ちませんし。なので、これらお金の管理にまつわる業務が充実している方がいいのではないかな、ということです。自分で「ない知恵」を絞ってあれこれ儲ける手法を検討するよりも、もっとトータルで考えてあげられる方がいいのではないかな、ということです。

以前に朝日新聞に出ていた記事では、高齢の人がライブドア株を買って大損した、みたいなことが出ていた(ライブドア株主の訴訟に思うこと)と思いますけれども、こんなのもまさに悲劇でしかないのではないかと思えます。

こういう「一山当てる」みたいなことではなくて、お金の目的とか今後の予定とか、そういうのを相談に乗ってあげて、できるだけ悲劇にならないような投資を誰かが代わってやってあげて欲しいんですよね。現在は大金持ちだけはラップ口座とかで充実したサービスを受けられるのではないかと思いますが、そこまで持ってない人たちにも適度に簡便な投資相談みたいなものをやるのがいいのでは、ということです。しかも、その時々に都合よく金を持ってこさせるとか、特定の金融商品を勧めるとかではなくて、顧客との長い付き合いと継続的な運用ということがあるのが望ましいのでは、と思います。


4)勤労者こそ株主となれ

多くの日本人は株式投資には向いていないか、抵抗感がある、ということなのではないか、と思うのです。なので、中々資産の株式への投資割合は増えていかない。そういう環境に長く暮らしてきたからではないのかな、ということです。なので、大勢から集めるみんなのお金からできるだけ株式投資に回すとか、知らず知らずに長期投資ができる方法とか、そういう仕組みがあればいいのかな、と思います。

1月の急落局面では、自分だけ損をするのがイヤなのでみんな換金してしまったりするので、余計に下げがキツくなりますし、年金運用のマイナス幅が喧伝されたりするのも心理的にはかなりマイナスに作用してしまうだろうな、と思うのです。もっと長期間で考えられるような仕組みや商品が必要だろうな、ということですね。これは後述するとして、まず、できることは自社株をみんなで買おう、ということです(笑)。

これを可能にするのは、昔式だと怒られると思うんですが、長期間会社に勤めるということなんですよね。日本人は積立みたいなものが割りと好きなんじゃないか、と思うのですね。銀行の積立預金なんてやらない方がマシだ、とか書いたことがあったと思いますけれども、どうせ積み立てるなら自社株とかインデックス商品みたいなものをみんなで買って、会社も日本経済も支える立場になればいいと思うのですよ。けど、大抵はキャッシュアウトしようとすることが多くて、本当に長期間の投資というのが日本では育ちにくいんですよね。そこをもっと改善できないものだろうか、ということなんですね。

例で書いてみます。
まず従業員が給与の一部―3000円でも5000円でもいいんですが―を必ず積み立てるものとしましょう。証券会社がきちんと商品を組んでくれればいいと思いますけど、1000円分はTOPIXのようなインデックスを買い、2000円は自社株を買い、2000円は公社債などで投資するものとしますか。積立預金の利息よりは多くなると思いますね。で、ドルコスト平均が効くので、長期投資の効果は上がるでありましょう。会社は、自社株買い部分について、積立額の5%を補助するとして100円分を自社株購入費として従業員にあげるんですよ。すると、従業員にとっては、会社からその分だけ多く給与をもらえたのと同じ効果が期待できるでしょう。値下がりリスクは当然ありますが、自分たちが一生懸命頑張って働いて成果を出せば、会社の業績も向上するので配当が増えるとか、株が値上がりするかもしれませんよね。配当分は公社債に回してもいいし、インデックスでも自社株でもいいんですが、分散してみてもいいと思います。この積立をみんなでやるんですよ。日本企業の従業員こそ、自社株を率先して買うのがいいと思えるんですよね。

また、会社は3年とか5年、10年みたいに、経過年数に応じて、自社株購入の補助ボーナスを出すんですよ。長く勤めていれば、ボーナス額が多くできるので早期退職を思いとどまらせることができるかもしれませんよね(笑)。あと、退職金の一部も自社株で払えばいいんじゃないでしょうか。1000万円の退職積立金ならば、900万円分はキャッシュで、残り100万円分は会社が自社株を積み立てていくんですよ。長期勤務後に自社の業績が良ければ、自社株100万円の部分は大幅に評価額が増加しているかもしれませんよね。

少ない年数で退職したり取り崩す場合には、この補助部分を大幅に減額するようにしておけば、従業員全体の額は大きく減少したりはしないので、安定的に長期間積立られるのではないかな、と思いますがどうでしょうか。途中でお金が必要になったり、どうしても取り崩したい、というような場合には、これまでの積立を温存したままで、これを担保として一時的なローンを組めると不意な出費にも対応可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。


これまでにも似たような仕組みはあったと思うのですけど、あまり広まっていないとか、廃れてしまったりとか、そういうことが多かったんじゃないかな、と思います。どういった商品構成といいますか、仕組みになっているといいのかというのがよく判らないのですが、ポイントとしては、長期積立、取り崩し困難、株式に投資する、ということですね。特に、自社株です。会社は自社株購入の補助もしてあげましょう、ということです。株価が下がるのは、自分たちに責任があるんだ、ということが実感できるかも。結果がダイレクトに跳ね返ってくるので、意欲向上に繋がるかもしれませんし。でも、多くの従業員を派遣とか、使い捨て戦力としか見てないのであれば、こうした投資はできません。会社と共に頑張るぞ、という人たちが働いてこそ可能なことなのです。


5)もっと融合が必要

既に書いたように、個々に判断して投資するのはとても難しいと思えますので、誰でも安価にそうしたサービスを享受できる方がいいでしょう。今は、銀行に預けても殆ど増えませんけど、多くの人たちは「何か入用になるかもしれないし」と思ったりして、何となく預けていることは多いのではないかと思えます。忙しくて時間が取れないとか、金融商品を調べたり探したりするのが面倒とか、よく判らないとか、自分で考えるのは難しすぎるとか、そういったこともあるかもしれません。であれば、できるだけ自動的にサービスを提供してあげる制度になっている方がよいと思えるのですね。

普通の人たちが最も気にするのは、元本割れだと思います。何度もしつこくて申し訳ありませんが。これが確保されていると、もっとみんな投資にお金を使おうという気になると思います。

銀行は主として決済サービスに重点を置き、お金を集める玄関といいますか、出入り口になっていればいいのではないでしょうか。アクセスのしやすさでも、他の金融機関に優っていると思いますし。

また例で書いてみます。
これまでだと、口座に給与振込されて、知らないうちに何となく100万円くらい貯まっている人たちも結構いたりするんじゃないか、と思うんですよ。そういう時、普段滅多に使わない余剰部分を自動的に別な投資商品に振り替えるサービスとかがあってもいいんじゃないか、ってことなんですよ。基準を予め決めておき、自分の変動幅が小さくて、30万円以上の部分はあんまり動かさない、みたいな人であれば、30万円を超える部分は自動的に別な投資商品に回される、ということになります。その投資先はきちんと決めておかねばならないでしょうけど、元本割れリスクがほぼゼロで普通預金利息よりも多いものがいいですよね。そういう商品を証券会社とかが考えてくれればいいんですよ。MRFみたいなものでも、短期公社債みたいなものでも、何だっていいんですが、定期預金よりも低い利息でもいいのだし、普通預金金利より多ければいいんですから。元本を保証する為のヘッジコストを載せてもいいのだし、何かそういう仕組みを考えてもらえると、銀行にただ積んであるお金は投資に回っていくと思うのですよね。

で、必要になった時には、自動解約になっていればよくって、ドーンと引き出して旅行に行くとか、株を買いたいとか、色々とあるでしょうけど、30万円以下の残高になれば他の投資に回されていたお金が自動的に戻ってくる、ということですね。今の銀行では、証券会社とは別になっているので、いちいち銀行口座から証券会社の口座にお金を移して運用してもらわねばならないので、みんながそんなにマメにできるとも思えないんですよ。銀行に置いても、勧められるのは特定の投資信託とかしかないし、それも「損するかもしれないから…」と二の足を踏む人たちも大勢いると思うんですよ。結局、そうやって投資機会を失っている人たちは沢山いるし、少額であるが故に投資になんて回せない、って人たちが大勢いると思うんですよね。けど、本当は「お金が少ない人」ほど効率よく少しでもお金を増やすことが必要なのですよね。大金持ちは、利息が1000円多かったか少なかったか、なんてことは大した影響を受けないし、どっちでもいいかもしれないが、一般庶民こそこうした1000円の違いというのが大きな意味を持つのですからね。

なので、大勢の庶民が持つ「ちょっとのお金」を全国的にガーッと集めてきて、それを運用することに意味があるのではなかろうか、ということです。知らず知らずのうちに、「ああ、何となく増えたよ」みたいな仕組みになっているのが一番いいのです。自動化されてる方がいいんですよ。


素人考えなので全然ダメなんですが、とりあえず書いてみますね。
例えば転換社債みたいに、会社が払えないという時以外にはお金が戻ってくる確率の高い投資がありますよね。これを10億円分証券会社が買うものとしますか。資金源は先の銀行で集めた余剰分でもいいし、1年定期預金なんて止めて1年間は換金不能の投資でもいいんですけど、そういうのを銀行で販売することにしてもいいでしょう。証券会社は残期間1年の転換社債を保有して、クーポンを受取るとか、転換価格を上回るのであれば権利行使して株式に転換し売却すれば儲けられますよね。転換価格が下回るのであれば満期まで保有して元本を受取れば値下がりリスクは回避されます。これらリスクとか手数料とか管理コストなどを除いて、資金提供者であるところの一般の人々に普通預金金利よりも多くの利息を払うことは可能なのではないかな、と思えるのです。個々人は単独で転換社債を購入して保有しておくほどの余裕もなければ、投資機会もない、といったことになっているのを、自動的なサービスでそれを補ってみてはどうでしょうか、ということです。1人が2万円とか5万円程度出すだけで、何十人か集まれば一つの転換社債を保有するのと同じ効果をもたらせるのではないでしょうか。リスクの引き受け手が存在してこなかったので、一般の人々には投資に参入する障壁となっているだろうと思うのですよ。それを、証券会社なら証券会社が商品の仕組みを考えて、リスクをまとめて引き受け、資金はそれぞれの個人が出し、リスクに見合う手数料なりなんなりを引いた上で投資者に戻せばいいのですから。

あと、過去の投資なんかだと、会社が利益を生む為に投資者を利用していた面がなきにしもあらずだったのではないかと思え、そうではなくて、顧客も儲かる、会社も儲かる、みたいになってないとやはり長続きしないんだろうな、ということですね。多くの手数料収入が入ってくるのは、みんなが儲かっている時ですもんね。

一般投資家の中には、自分でやりたい、自分でやる方がいい、という人もいるでしょう。そういう人向けには、今と同じような投資環境があればいいと思います。プロのレーサーたちと同じサーキットを走れ、とか言われても普通は難しいわけで、「俺は腕に自信がある」という人たちはそういう走れるサーキットにアクセスできればよく、「普通でいいです、大怪我しなければいいです」という安全運転タイプの人たちには、より安全なコースを提供した方がいいですよね、ということです。それが投資の裾野を大きく広げられることになるのではないかな、と。今のところ、一般の人たちが走行するには危険が大きすぎて、あんまり参入してみようと思う人たちは少ないのではなかろうか、ということです。


もうちょっと日本人の好みそうな投資ということについて考えてもらった方がよいのではないかと思いますね。巨額の年金資金の運用も含めて、長期投資の可能な環境や仕組みを整備してもらうことが必要だろう、ということです。たくさんのお金を集められる金融機関や保険会社なんかにもっと頑張って考えてもらいたいな、ということです。日本人が日本の未来に投資せずして、海外の投資資金を呼び込みましょう、というのはムシガ良すぎです。お金は日本国内にも十分あるが、回ってないだけなのですからね。それらをまず活用していくことを考えてもらいたいです。