遅ればせながら、少し書いておきたい。
今回の事件では防衛省の対応の拙さや、海自の度重なる不祥事が非難されている。これはその通りであり、弁解の余地はないだろう。今後事故原因や過失の有無などが検討されていくであろうが、果たしてどの程度まで真実が明らかになるかは判らない。
地元漁師たちが怒るのも無理はない。初期対応が拙かったし、情報統制に問題があった。あやふやな証言などが出されてしまい、余計に悪印象を与えることになったであろう。こういう時の情報は、判明している事実関係のみを公開し、それ以外については「詳細は調査(捜査)中です」と突っぱねるようにしないと、誤解や混乱を生じやすくするだけであり、所謂言葉の「切り取り」「一人歩き」などで非難を浴びる結果となろう。
初期対応に問題を生じたのは、事前に決まっていないからだろう。
この記事に書いたように、情報の分類とかグレードがきちんと定められていないからであると思うし、その手順とかがキッチリと決まっていないが故に情報伝達に時間がかかっていたのだと思われる。
例の北朝鮮のミサイル発射騒動があった時にも、ミサイル防衛のことに書いたとおり、「事前の周知徹底と準備が全て」ということが重要だと考える。
救急の「たらい回し」の記事(続・奈良の妊婦死亡事件について)でも同じく、「緊急事態というのは、火災・防火訓練と同じで、大抵どのような場合でも「日頃からの訓練」、「事前準備」、「決め事の周知徹底」、これらに尽きると思います。これがない場合には、「混乱」を招くことになるでしょう。」と、何度も同じことを言っているのだが、行政にはそうしたことは伝わらないのである。政治のスピードのなさが、こうした事態を招く一因となっているだろう。
仮に、事故が発生した場合の緊急手順がきちんと定まっていたらどうだったか、ということを考えてみる。
情報の質というか、分類としては、何かのコード分類のように割り当ててもいいとは思う。軍事的なもの、非軍事的なもの、とか大きく分類して、そこから細分類で分けられた一部に「衝突事故」と定められている、ということ。しかし、グレード分類では緊急事態、に該当している、と。
こうした場合、艦内手続(直属上司に伝達、更に艦長に伝達、等々)と命令を同時進行で行うだろう。情報分類で緊急に知らせなければならない、という決まりになっているのであれば、そこから艦隊司令部とかに緊急連絡し、司令部は「現場」ではないので割と冷静に判断したりできるだろう。有効な指示をイージス艦側に行えばよいのである。イージス艦内では事態把握、被害状況や船の安全性確認とか、救助作業に取り掛かるとか、やるべきことが多く艦内は混乱しがちなので、適切な指示を司令部側から適宜サポートしてもらえると有り難いに決まっているのである。更に司令部側では、緊急情報を受けたら、手順に従い即座に上層部に緊急連絡を回す、ということになるだろう。これも決まっていれば迷うことなく行えるものなのである。また、関係省庁との連携、この場合で言えば、海保に遭難情報を送って出動要請し捜索活動を大至急始めてもらうとか、海難救助船(あったかな?なかったかな?)の出動要請とか、そういうことは司令部側でやっていかねばならないのだから。
こうした情報の取扱いや緊急時の手順が決められていれば、即座に初期行動をそれぞれが一斉に起こせることになるので、時間の無駄が少ないのである。火事になった時に、どうするか決まっていないとどうなると思いますか?
まず、火事を発見したお母さんはお父さんに連絡、お父さんは3軒向こうの班長さんの家に行き「どうしましょうか」と尋ね、班長さんは「会長さんに聞いてくる」と言って走っていき、会長さんに聞いたら「まず人手を集めて消火してみよう」と言い、どうにか隣近所の人を叩き起こしてバケツリレーを開始したものの、火の勢いは強くなり過ぎて手も付けられず、それからおもむろに会長さんが「消防車を呼ぼう」と言い出して119番に電話するようにお父さんに言い、消防車が到着する頃には家が全焼して隣家にも飛び火していた、みたいなものなのだ(笑)。
要するに、事前の取り決めが定まっていないとこうなってしまう、というような悪い見本のようなものであると思う。これを教訓として、そうした緊急時の伝達や指揮系統の決め事を徹底し、日頃から訓練する以外にはない。火災現場では当事者であると混乱しがちだし、頭はパニックになるし、冷静に判断するのが難しくなりがちなのである。けれど、火元からは遠く離れた家の野次馬とかにしてみれば、頭は冷静でいられるから「消防に電話したの?」みたいに落ち着いて考えることができるのである。なので、現場から遠くなれば離れている人たちほど余裕を持って考えることができるだろうと思う。そういう人たちが的確に行動すれば、よりよく指示が行える可能性はあるだろう。
事故情報を受けた司令部側では、艦側からの情報を整理したり指示を出す人間と、関係部署と連絡を取り合う人間がいればよく、少なくとも艦内のような大慌ての状況にはならない。当事者(今回はイージス艦)に難しい複雑な連絡手順なんて必要ではなく、現場に近い程単純な伝達でいいのだ。現場からは「何はなくとも司令部に緊急連絡」というたった一つのことさえ守られていればいいわけだから。そこから先は、現場から遠くにいる落ち着いた人たちが情報を回していけばいいのですから、そんなに難しいことではないだろう。
今回の事件を見て思うことは、自衛隊というのはそもそも軍事組織として大きな欠陥を抱えたままなのではないか、ということだ。あまりに杜撰な出来事が多い。このような有様で本当の危機に直面した時に、果たして機能するのだろうか、という疑念がある。それほど「危機に弱い組織」ということである。
今回の事件では防衛省の対応の拙さや、海自の度重なる不祥事が非難されている。これはその通りであり、弁解の余地はないだろう。今後事故原因や過失の有無などが検討されていくであろうが、果たしてどの程度まで真実が明らかになるかは判らない。
地元漁師たちが怒るのも無理はない。初期対応が拙かったし、情報統制に問題があった。あやふやな証言などが出されてしまい、余計に悪印象を与えることになったであろう。こういう時の情報は、判明している事実関係のみを公開し、それ以外については「詳細は調査(捜査)中です」と突っぱねるようにしないと、誤解や混乱を生じやすくするだけであり、所謂言葉の「切り取り」「一人歩き」などで非難を浴びる結果となろう。
初期対応に問題を生じたのは、事前に決まっていないからだろう。
この記事に書いたように、情報の分類とかグレードがきちんと定められていないからであると思うし、その手順とかがキッチリと決まっていないが故に情報伝達に時間がかかっていたのだと思われる。
例の北朝鮮のミサイル発射騒動があった時にも、ミサイル防衛のことに書いたとおり、「事前の周知徹底と準備が全て」ということが重要だと考える。
救急の「たらい回し」の記事(続・奈良の妊婦死亡事件について)でも同じく、「緊急事態というのは、火災・防火訓練と同じで、大抵どのような場合でも「日頃からの訓練」、「事前準備」、「決め事の周知徹底」、これらに尽きると思います。これがない場合には、「混乱」を招くことになるでしょう。」と、何度も同じことを言っているのだが、行政にはそうしたことは伝わらないのである。政治のスピードのなさが、こうした事態を招く一因となっているだろう。
仮に、事故が発生した場合の緊急手順がきちんと定まっていたらどうだったか、ということを考えてみる。
情報の質というか、分類としては、何かのコード分類のように割り当ててもいいとは思う。軍事的なもの、非軍事的なもの、とか大きく分類して、そこから細分類で分けられた一部に「衝突事故」と定められている、ということ。しかし、グレード分類では緊急事態、に該当している、と。
こうした場合、艦内手続(直属上司に伝達、更に艦長に伝達、等々)と命令を同時進行で行うだろう。情報分類で緊急に知らせなければならない、という決まりになっているのであれば、そこから艦隊司令部とかに緊急連絡し、司令部は「現場」ではないので割と冷静に判断したりできるだろう。有効な指示をイージス艦側に行えばよいのである。イージス艦内では事態把握、被害状況や船の安全性確認とか、救助作業に取り掛かるとか、やるべきことが多く艦内は混乱しがちなので、適切な指示を司令部側から適宜サポートしてもらえると有り難いに決まっているのである。更に司令部側では、緊急情報を受けたら、手順に従い即座に上層部に緊急連絡を回す、ということになるだろう。これも決まっていれば迷うことなく行えるものなのである。また、関係省庁との連携、この場合で言えば、海保に遭難情報を送って出動要請し捜索活動を大至急始めてもらうとか、海難救助船(あったかな?なかったかな?)の出動要請とか、そういうことは司令部側でやっていかねばならないのだから。
こうした情報の取扱いや緊急時の手順が決められていれば、即座に初期行動をそれぞれが一斉に起こせることになるので、時間の無駄が少ないのである。火事になった時に、どうするか決まっていないとどうなると思いますか?
まず、火事を発見したお母さんはお父さんに連絡、お父さんは3軒向こうの班長さんの家に行き「どうしましょうか」と尋ね、班長さんは「会長さんに聞いてくる」と言って走っていき、会長さんに聞いたら「まず人手を集めて消火してみよう」と言い、どうにか隣近所の人を叩き起こしてバケツリレーを開始したものの、火の勢いは強くなり過ぎて手も付けられず、それからおもむろに会長さんが「消防車を呼ぼう」と言い出して119番に電話するようにお父さんに言い、消防車が到着する頃には家が全焼して隣家にも飛び火していた、みたいなものなのだ(笑)。
要するに、事前の取り決めが定まっていないとこうなってしまう、というような悪い見本のようなものであると思う。これを教訓として、そうした緊急時の伝達や指揮系統の決め事を徹底し、日頃から訓練する以外にはない。火災現場では当事者であると混乱しがちだし、頭はパニックになるし、冷静に判断するのが難しくなりがちなのである。けれど、火元からは遠く離れた家の野次馬とかにしてみれば、頭は冷静でいられるから「消防に電話したの?」みたいに落ち着いて考えることができるのである。なので、現場から遠くなれば離れている人たちほど余裕を持って考えることができるだろうと思う。そういう人たちが的確に行動すれば、よりよく指示が行える可能性はあるだろう。
事故情報を受けた司令部側では、艦側からの情報を整理したり指示を出す人間と、関係部署と連絡を取り合う人間がいればよく、少なくとも艦内のような大慌ての状況にはならない。当事者(今回はイージス艦)に難しい複雑な連絡手順なんて必要ではなく、現場に近い程単純な伝達でいいのだ。現場からは「何はなくとも司令部に緊急連絡」というたった一つのことさえ守られていればいいわけだから。そこから先は、現場から遠くにいる落ち着いた人たちが情報を回していけばいいのですから、そんなに難しいことではないだろう。
今回の事件を見て思うことは、自衛隊というのはそもそも軍事組織として大きな欠陥を抱えたままなのではないか、ということだ。あまりに杜撰な出来事が多い。このような有様で本当の危機に直面した時に、果たして機能するのだろうか、という疑念がある。それほど「危機に弱い組織」ということである。