うーん、確かに当たっている部分はあるが、誤解みたいな部分もあるかも。いや、私自身が農業のスペシャリストでも何でもないので、明確には言い切れないのですけれども。
はてなブックマーク - NHKクローズアップ現代:「国産農産物を食べる方がCO2削減につながる」……これはウソだ!
気になったのは、元記事のこの記述。
『国産農産物しか使わない北海道の外食チェーンの例を挙げて、外国の農産物を使うと輸送などに石油を使うので国産農産物を食べれば二酸化炭素の削減につながるとの報道。これはどう考えても間違っている。』
実際にどうなのか計算してもらわないと判りませんけれども、トラック輸送の距離の問題とかあるのではないかと思ったりしますが、どうなんでしょうか。「地産地消でCO2排出量が増加する」というのは必ずしも当てはまらないわけで。別に、北海道の農業が悪いわけでもありますまい。
あと、fromdusktildawnさんのコメントで
『石油漬けの農業が、地産地消とか、食糧自給率とか言っても説得力ないよね。石油の輸入ができなくなったら食料生産が止まるような農業の自給率をいくら高めても、たいして国家の安全対策にはならないんじゃ?』
これもちょっとアレだな、と思ったので、書いておきたい。
まず散人氏の方は勘違いなのか、農業についてなどよく知らないのに知ったかぶりなのか不明ではあるが、農業が割りと多い北海道に対する偏見か何かではないのかな。ま、麻薬を警察で売れ(
警察が麻薬の売人になるって?)、とか仰る方ですので、ナンですが。
野菜などのハウス栽培だが、北海道はめちゃ寒いので、冬期間には殆ど栽培されないでしょう。真冬にハウスで栽培して採算が取れるわけがない(笑)。主に出回るのは内地のものだけであろうと思われます。ハウス栽培が行われるのは雪解け期くらいで、春先~5月頃くらいでしょうね。大抵は、高知、宮崎、千葉や茨城産などが主流ではないかと思われます(調べたわけではないので不正確かも)。
脳内想像ではかまくらみたいに雪の中にハウスが建っているようなイメージを抱いているかもしれませんが、そんなことはできっこないでしょう。潰れますよ。重みで(笑)。なので、冬期間にハウス栽培をやれる地域というのは、日本でもかなり限定的な地域(気温が高いとか大消費地が近いとか)ではないかと思いますが。北海道は地面ごと凍結するのが普通でしょうし(笑)。
一つ言っておきますが、ケーキにイチゴとか食べるのを止めて頂ければ。クリスマスケーキ不買運動でもやって下さい。
あと、国産のトラック輸送の野菜を食うのを止める宣言をすれば、農家はハウスにエネルギーを使うな、という主張も説得力が大変増すでしょう。路地物が出回る期間以外では、キュウリやトマトやピーマンとか食べるのを止めて下さい。漬物専門でお願い致します。外食産業のお世話になるのも止めて下さいね。輸入物が多く使われていますので。
「石油漬け農業」を批判するには、それ相応の自覚でお願いしたいな、とは思います。fromdusktildawn氏もその覚悟はおありでしょう。
因みに、輸入物を使うのは大手外食産業が多いのではないかと思いますが、輸入野菜というのは多くは「船便」なんかではやってきませんので、ヨロシクです。航空便なんですよ。イマドキ、野菜が船で来ませんわな。船で運んだら、殆どがダメになってしまいます(笑)。大手企業であれば、海外からの大量買付けみたいなことが可能なので、国産で調達するよりもコストが抑えられる、という理由で、空輸等輸送コストを払っても安定的に安く買えるということでしょう。
あと、仮に船便で来るとして、港に到着後、そこに消費地があるんでしょうか、って話だわな。これは空輸でも同じですけど。トラックの輸送コストやCO2排出はゼロにできるんですかね?まあ、「日本全国どこにでも船着場があるはずだ、船便で横付けできる」みたいな幻想でもあるのかもしれませんが。それから、トラック輸送云々を言うのであれば、ネットで買うとか宅急便を使うとか、そういうのも一切止めてくれれば削減効果はかなりあるでしょう。野菜の輸送よりも、はるかに小口の輸送が圧倒的に多いでしょうからね(笑)。昔みたいに、チッキで届いた荷物を駅に取りに行く制度に戻すべきでしょうね。自分の足で歩くとか、自転車で駅まで取りに行ってもらえると大きく削減できるでしょう。
農業を企業化すると、ハウスの性能をアップできる可能性はあるので、電力化に移行するなど熱効率を改善できる余地は大きいということになります。また、メロン1個に灯油缶一缶必要だとして、その消費量は微々たるものでしょうね。夕張メロンでどれくらい石油を消費しているのか知りませんが、全体に占める割合は微々たるものだろうと思います。通常は夏場の収穫ですので。ただ初セリにかかるようなメロンなんかだと栽培開始が早い為に、ハウス栽培で石油を使うと思いますけどね。それでも生産個数は少ないので、使用量はたかが知れているでしょう。大半は大都会なんかに住んでいて、年がら年中野菜を食べているような人々の為に、多くのエネルギーが消費されているでしょう。農業にエネルギーを使うのを止めろ、とか言う人たちが率先して外食産業の利用は一切止めて頂けることでしょうから、効果が期待できますね(笑)。
あと、牛肉ね。牛丼だの、ハンバーガーだの、焼肉だの、牛肉消費を止めてもらえれば、かなり効果があるでしょう。輸入牛は特にエネルギーが多く使われているので、食べないようにしてもらえれば有り難いです(参考:
アメリカ凋落の日、この記事にはCO2が多いと書いてしまいましたが、ゲップはメタンが多いみたいです)。
石油の輸入が止まれば食糧が生産できなくなる、ということはないでしょうね。効率的ではなくなりますが、昔と同じような農業をやれば、食べていくことは可能でしょう。現在の食生活とか便利さとか、そういうのを捨てると食べることはできるでしょう。そもそも石油の輸入が止まれば、農業どころの問題ではなくて、電力供給そのものが原子力とか水力などになってしまい、消費量を賄えなくなります。一般の社会生活に甚大な影響が出るでありましょう。
環境問題を考える上で、農業だけに石油消費を止めろとか言われても、みなさんが納得するものなのでしょうか?
細かい話は別としても、国産の地物野菜を消費することは、トータルで見ればCO2削減効果はないわけではないと思いますが、いかがでしょうか。
「これはウソだ!どう考えても間違っている」とか、「説得力がない」とか言うのは自由ですので別にいいですし、農業批判をしたいとかも構いませんが、農業だけにその責任がある訳ではないこと、誤った認識に基づいた農業批判は説得力に欠けること、というのが率直な感想です。