久々に見た>速報/脅さず年利80%…「ソフトヤミ金」暗躍 市民や零細業者、不況で頼る - FujiSankei Business i/Bloomberg GLOBAL FINANCE
いやあ、懐かしいね。というか、ダジャレ、ごめん。
というか、都合のよい断片情報だけを流して、自分の主張を正当化したいということなのではないかと勘繰ってしまったよ。もしも本気で調べるというのなら、学問とか研究の手続に則ってきちんと出せばいいものを、どうしてそういうのが出されないのか、ちょっと不思議。経済学分野では、こういう姿勢が当たり前なのかもしれないが。ああそうか、ペーパーっていっても(林家ペー&パーじゃないよ)、研究論文としての体裁には無頓着だったんでしたか。何たって、論文にブログ記事の引用OK(「ソツロン」って何ですか?)、という分野らしいから(笑)。
別に、「ソフトヤミ金」とかいうのを取り締まれ、というのに反対しているわけじゃないよ。
でも、「貸さなければ、ソフトヤミ金に行く」というのをどうやって防げるのよ?それって、だから何遍も言うけど「借りたい人には、全部貸すしかない」ってことになってしまうんじゃないのか?
それとも、「オマエは借りるな」と説教して、改心させるのか?
これまでにも指摘したが、再び書いてみる。
参考記事:
堂下浩先生の論説に関して
池田信夫の解説なんていらない(爆)
堂下式経済学理論によれば、金利規制によって「リスクの高い層が借入できなくなり」→「締め出された借り手はヤミ金に走り」→ヤミ金被害が増加する、というものであったはずである。だから、上限金利規制や上限引き下げで、「ヤミ金は増える、被害も増える」というのが、堂下先生の主張であるだろう。
例の筒井他(阪大グループの)ペーパーを取り上げた記事がこちら。
>貸金業の上限金利問題~その17
(リンク先のpdf参照して下さい)
このp31~32の記述にヤミ金に関するものがあり、次のように書かれている。
『われわれは、借入経験者と債務整理者に「あなたはこれまでにヤミ金融から借りたことがありますか」と尋ねている。それによると、ヤミ金融から借りた人は、消費者金融借入経験者では2.4%、債務整理者でも12.6%にすぎない。われわれのアンケート結果はヤミ金融の存在を確認しているものの、ヤミ金融利用者は、現時点では多くないことを示唆している。』
現時点では多くない、と書かれているのに、堂下先生の主張というのは「2000年の金利引下げでヤミ金は増加した」というものですね。このペーパーに協力していた立場であったはずなのに、どういうわけか食い違いと見えなくもないですな。
それと、このペーパーの中でも取り上げられているのが苦情相談件数だ。
①金融庁の苦情相談件数(無登録業者に係る件数)
03年 26231件
05年 29364件
07年 14978件
08年 14243件
法改正に揺れたのは06年~07年初め頃でした。
さて、法改正後に苦情相談件数は、増えたんでしょうか?減ったんでしょうか?
経済学理論って、本当に凄い!
②自己破産者は減少
間接的な数字でしかありませんが、いくつかのアンケート結果や聞き取り調査結果では、ヤミ金融利用者率は債務整理者とか自己破産者で高く、単なる消費者金融利用者では低い、ということが多いでしょう。単純に自己破産者の一定割合がヤミ金利用を行うと仮定すれば、自己破産者の絶対数が少なければヤミ金被害者は減少することになります。果たしてそんな単純な話なのかというのはあると思います。
が、合法業者に断られるからこそヤミ金を使ってしまう、ということもあるので、既に複数借入をしてしまっていて借入先の乏しくなった多重債務者は、自己破産や債務整理となる可能性は高くなるでしょう。つまり、その絶対人数が減少しているなら、ヤミ金利用者数も減っているであろう、ということは有り得ない話ではないのでは、と。
③ヤミ金融事犯の被害人員等の数は減少
これも幾度か取り上げた。摘発件数が多いか少ないかというのは、取締強化などで変わるので、一概には言えないのではないかと思う。ただ、03~04年の人数が32万人超とか約28万人といった高水準であったので、何らかの傾向は見て取れるかもしれない、と。
これも、05年173399人、06年154511人だったのが、07年148543人、08年141394人、と減少してきた。つまり、必ずしもヤミ金融被害が拡大している、ということは窺われてはいないのではないか。
④弁護士会の相談件数
弁護士会神田相談センターのヤミ金被害の相談件数は、02年をピークにして04年以降減少傾向であることが判る。07年は500件を切り、04年の半分程度まで減った。02年の2000件超に比べると、4分の1くらいまで減少した。
実際にヤミ金被害の実態を捉えるのは困難な部分は多いので、これらはあくまで状況証拠でしかないけれど、それでも上記①~④からすると、「ヤミ金が増加した、ヤミ金被害は拡大している」といったことが推定される証拠は、ない。むしろ、減ったんじゃないか、と思わせる証拠の方が多く見つかるんじゃないですか、ということだわな。
サンケイ記事にあった堂下先生ご指摘の、利用者アンケートの数字が「08年5.5%→09年7.3%」という証拠ですけれど、これって07年とか06年の数字がどうなっていたのか、というのは大変気になるわけでして。
それがないとしても、せめて有意差の有無といった部分くらいは、堂下先生が示してくれればよかったものを、それもないのに「ヤミ金被害が増加した」とか本当に言えるのかな、と疑問に思いますね。それは研究者としての誠実さとしてどうなのよ、と思わないでもない。あくまで数字の提示しかしてないのに、記者氏が都合よく見せているだけ、ということも有り得るので、研究成果をきちんと公開するなり他の研究者たちの批評に晒すなりすればよいのではないかと思いますね。
ああそうか、早大消費者金融サービス研究所の坂野先生とか、GRIPSの鶴田・福井先生とか、そういう内輪だけの評価になってしまって、まともに評価するなんてことはないかもね。だって、周囲の人間は「これが正しい」ということしか言わない人たちばかりだったからこそ、これまでのような有様だったわけで(笑)。
それから、堂下式理論を再び振り返っておきますか。
消費者金融の潜在的借り手がいる、とする。堂下式に従って、金利を横軸に取った時にある分布になっている、と。
その人たちを、リスクの低い方から、Aグループ、Bグループ、以下C、D、Eと階層ごとに分けるものとする。金利規制がない時には、全ての階層の人たちが借入できることになる。金利規制によって、上限の引下げが行われると、最もリスクの高いE層がまず排除され、市場からは締め出される、と。次の引下げではDグループが、更に引下げでCグループが排除されてゆく、と。
さて、集団を考える時、初めの状態であったA~E層の全部を含む集団を便宜的に「Q」と呼ぼう。もう一つは、上限引下げを繰り返すことでC~E層を締め出して、借入できないように排除した集団を「P」と呼ぶことにする。集団Pはどんな構成になっているかといえば、金利水準で切り分けたA層とB層しか存在しないわけである。それよりもハイリスクグループは全て排除されているからだ。
さて、この集団Pと、全ての階層が入っている集団Qとを比較した時、どちらが「貸倒率」が高いと思うか?
普通に考えれば、集団Pでは貸倒率が下がるはずであろう。何故なら、リスクの高いグループを予め排除してあるからである。それならば、かつての上限金利引下げ前に比べると貸倒率は低下する、ということになると考えられるわけである。ところが、上限金利引下げによって「貸倒率が高くなる」というのは、どうしたことであろうか?(笑)
例えば2000年の「上限金利引下げによって、貸倒率が上がった・自己破産が増えた」と実しやかに言うヤツラがいるのだが、それは本当なのであろうか?借り手側のハイリスクグループを排除すると貸倒率が上がるのか?格付けみたいに、AとBしか存在しないのに、集団Pの方が集団Qよりも危険だとでも言うつもりなのであろうか?
それから、もっと面白い理論があるんですよ。
早大消費者金融サービス研究所だとか坂野先生あたりによると、貸倒は金利にはよらない、とかっていう独自理論があるみたいですよ。平凡にしか考えられないけど、普通は「貸倒率が高いと金利が高い」のかな、と思うんですよ。
すなわち、
金利の高い人=貸倒率が高い
ってことですよ。
たとえばA層とE層ならば、どっちが金利が高いでしょうか、というと、E層に決まってますよね(定義としてそうなんだから)。そうすると、貸倒率はE層がA層よりも高いだろうね、と考えるでしょう?ところが違うんですと。「貸出金利水準は貸倒率には関係ないよ、貸出金利じゃなくてライフイベントだよ」というのが、彼らの言い分なんだそうですよ(笑)。だから、貸出金利が高くても低くても、貸倒する可能性なんて大して違いなんかないね、ということらしいですぜ。
堂下式だか早大坂野式だか知らんけど、どっちも経済学としてどうよ、というのは疑問に思うね。
つまりですね、金利水準なんて貸倒リスクでなんか決まってないよ、ということを肯定しているわけなんですわ(笑)。そりゃまあそうだわな、現実は。
いやあ、懐かしいね。というか、ダジャレ、ごめん。
というか、都合のよい断片情報だけを流して、自分の主張を正当化したいということなのではないかと勘繰ってしまったよ。もしも本気で調べるというのなら、学問とか研究の手続に則ってきちんと出せばいいものを、どうしてそういうのが出されないのか、ちょっと不思議。経済学分野では、こういう姿勢が当たり前なのかもしれないが。ああそうか、ペーパーっていっても(林家ペー&パーじゃないよ)、研究論文としての体裁には無頓着だったんでしたか。何たって、論文にブログ記事の引用OK(「ソツロン」って何ですか?)、という分野らしいから(笑)。
別に、「ソフトヤミ金」とかいうのを取り締まれ、というのに反対しているわけじゃないよ。
でも、「貸さなければ、ソフトヤミ金に行く」というのをどうやって防げるのよ?それって、だから何遍も言うけど「借りたい人には、全部貸すしかない」ってことになってしまうんじゃないのか?
それとも、「オマエは借りるな」と説教して、改心させるのか?
これまでにも指摘したが、再び書いてみる。
参考記事:
堂下浩先生の論説に関して
池田信夫の解説なんていらない(爆)
堂下式経済学理論によれば、金利規制によって「リスクの高い層が借入できなくなり」→「締め出された借り手はヤミ金に走り」→ヤミ金被害が増加する、というものであったはずである。だから、上限金利規制や上限引き下げで、「ヤミ金は増える、被害も増える」というのが、堂下先生の主張であるだろう。
例の筒井他(阪大グループの)ペーパーを取り上げた記事がこちら。
>貸金業の上限金利問題~その17
(リンク先のpdf参照して下さい)
このp31~32の記述にヤミ金に関するものがあり、次のように書かれている。
『われわれは、借入経験者と債務整理者に「あなたはこれまでにヤミ金融から借りたことがありますか」と尋ねている。それによると、ヤミ金融から借りた人は、消費者金融借入経験者では2.4%、債務整理者でも12.6%にすぎない。われわれのアンケート結果はヤミ金融の存在を確認しているものの、ヤミ金融利用者は、現時点では多くないことを示唆している。』
現時点では多くない、と書かれているのに、堂下先生の主張というのは「2000年の金利引下げでヤミ金は増加した」というものですね。このペーパーに協力していた立場であったはずなのに、どういうわけか食い違いと見えなくもないですな。
それと、このペーパーの中でも取り上げられているのが苦情相談件数だ。
①金融庁の苦情相談件数(無登録業者に係る件数)
03年 26231件
05年 29364件
07年 14978件
08年 14243件
法改正に揺れたのは06年~07年初め頃でした。
さて、法改正後に苦情相談件数は、増えたんでしょうか?減ったんでしょうか?
経済学理論って、本当に凄い!
②自己破産者は減少
間接的な数字でしかありませんが、いくつかのアンケート結果や聞き取り調査結果では、ヤミ金融利用者率は債務整理者とか自己破産者で高く、単なる消費者金融利用者では低い、ということが多いでしょう。単純に自己破産者の一定割合がヤミ金利用を行うと仮定すれば、自己破産者の絶対数が少なければヤミ金被害者は減少することになります。果たしてそんな単純な話なのかというのはあると思います。
が、合法業者に断られるからこそヤミ金を使ってしまう、ということもあるので、既に複数借入をしてしまっていて借入先の乏しくなった多重債務者は、自己破産や債務整理となる可能性は高くなるでしょう。つまり、その絶対人数が減少しているなら、ヤミ金利用者数も減っているであろう、ということは有り得ない話ではないのでは、と。
③ヤミ金融事犯の被害人員等の数は減少
これも幾度か取り上げた。摘発件数が多いか少ないかというのは、取締強化などで変わるので、一概には言えないのではないかと思う。ただ、03~04年の人数が32万人超とか約28万人といった高水準であったので、何らかの傾向は見て取れるかもしれない、と。
これも、05年173399人、06年154511人だったのが、07年148543人、08年141394人、と減少してきた。つまり、必ずしもヤミ金融被害が拡大している、ということは窺われてはいないのではないか。
④弁護士会の相談件数
弁護士会神田相談センターのヤミ金被害の相談件数は、02年をピークにして04年以降減少傾向であることが判る。07年は500件を切り、04年の半分程度まで減った。02年の2000件超に比べると、4分の1くらいまで減少した。
実際にヤミ金被害の実態を捉えるのは困難な部分は多いので、これらはあくまで状況証拠でしかないけれど、それでも上記①~④からすると、「ヤミ金が増加した、ヤミ金被害は拡大している」といったことが推定される証拠は、ない。むしろ、減ったんじゃないか、と思わせる証拠の方が多く見つかるんじゃないですか、ということだわな。
サンケイ記事にあった堂下先生ご指摘の、利用者アンケートの数字が「08年5.5%→09年7.3%」という証拠ですけれど、これって07年とか06年の数字がどうなっていたのか、というのは大変気になるわけでして。
それがないとしても、せめて有意差の有無といった部分くらいは、堂下先生が示してくれればよかったものを、それもないのに「ヤミ金被害が増加した」とか本当に言えるのかな、と疑問に思いますね。それは研究者としての誠実さとしてどうなのよ、と思わないでもない。あくまで数字の提示しかしてないのに、記者氏が都合よく見せているだけ、ということも有り得るので、研究成果をきちんと公開するなり他の研究者たちの批評に晒すなりすればよいのではないかと思いますね。
ああそうか、早大消費者金融サービス研究所の坂野先生とか、GRIPSの鶴田・福井先生とか、そういう内輪だけの評価になってしまって、まともに評価するなんてことはないかもね。だって、周囲の人間は「これが正しい」ということしか言わない人たちばかりだったからこそ、これまでのような有様だったわけで(笑)。
それから、堂下式理論を再び振り返っておきますか。
消費者金融の潜在的借り手がいる、とする。堂下式に従って、金利を横軸に取った時にある分布になっている、と。
その人たちを、リスクの低い方から、Aグループ、Bグループ、以下C、D、Eと階層ごとに分けるものとする。金利規制がない時には、全ての階層の人たちが借入できることになる。金利規制によって、上限の引下げが行われると、最もリスクの高いE層がまず排除され、市場からは締め出される、と。次の引下げではDグループが、更に引下げでCグループが排除されてゆく、と。
さて、集団を考える時、初めの状態であったA~E層の全部を含む集団を便宜的に「Q」と呼ぼう。もう一つは、上限引下げを繰り返すことでC~E層を締め出して、借入できないように排除した集団を「P」と呼ぶことにする。集団Pはどんな構成になっているかといえば、金利水準で切り分けたA層とB層しか存在しないわけである。それよりもハイリスクグループは全て排除されているからだ。
さて、この集団Pと、全ての階層が入っている集団Qとを比較した時、どちらが「貸倒率」が高いと思うか?
普通に考えれば、集団Pでは貸倒率が下がるはずであろう。何故なら、リスクの高いグループを予め排除してあるからである。それならば、かつての上限金利引下げ前に比べると貸倒率は低下する、ということになると考えられるわけである。ところが、上限金利引下げによって「貸倒率が高くなる」というのは、どうしたことであろうか?(笑)
例えば2000年の「上限金利引下げによって、貸倒率が上がった・自己破産が増えた」と実しやかに言うヤツラがいるのだが、それは本当なのであろうか?借り手側のハイリスクグループを排除すると貸倒率が上がるのか?格付けみたいに、AとBしか存在しないのに、集団Pの方が集団Qよりも危険だとでも言うつもりなのであろうか?
それから、もっと面白い理論があるんですよ。
早大消費者金融サービス研究所だとか坂野先生あたりによると、貸倒は金利にはよらない、とかっていう独自理論があるみたいですよ。平凡にしか考えられないけど、普通は「貸倒率が高いと金利が高い」のかな、と思うんですよ。
すなわち、
金利の高い人=貸倒率が高い
ってことですよ。
たとえばA層とE層ならば、どっちが金利が高いでしょうか、というと、E層に決まってますよね(定義としてそうなんだから)。そうすると、貸倒率はE層がA層よりも高いだろうね、と考えるでしょう?ところが違うんですと。「貸出金利水準は貸倒率には関係ないよ、貸出金利じゃなくてライフイベントだよ」というのが、彼らの言い分なんだそうですよ(笑)。だから、貸出金利が高くても低くても、貸倒する可能性なんて大して違いなんかないね、ということらしいですぜ。
堂下式だか早大坂野式だか知らんけど、どっちも経済学としてどうよ、というのは疑問に思うね。
つまりですね、金利水準なんて貸倒リスクでなんか決まってないよ、ということを肯定しているわけなんですわ(笑)。そりゃまあそうだわな、現実は。