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多重債務者は減少したか~3

2009年08月11日 13時19分03秒 | 社会全般
自分に都合の悪いデータなどを一切言わずに、ただ「~が増加した」というような煽動情報だけを載せる卑怯者がいるわけだが、世の中の多くはそういう「エセ学者」の妄言に引っかかってしまうようだ。これはまあいいか。

さて、米英では消費者ローンの焦げ付きが心配の種となってきているようだ。

カード破産が招く負の連鎖:日経ビジネスオンライン

失業率を超えるデフォルト率というのも、予想だにしなかった事態、ということなんでしょう。
経済学でいうところの市場の機能はどうしたのさ、ってな話はあるけれど、これも市場の機能なのだよ。貸し過ぎ、借り過ぎは、自制が効かない、というだけなんじゃないの?(笑)

とりあえず、海外状況はいいとして、日本ではどうなのかということだね。
幾度か取り上げて書いてきたが、データを見よう。御馴染みfsa金融庁の資料(下段の方の『関連資料』)から、比較は数字のある最初の19年2月と、最後の21年5月。


              19.2月    21.5月       増減

4件           116.0万人    87.3万人    -28.7万人
5件以上        176.8万人    58.9万人    -117.9万人
延滞情報有      174.9万人   225.1万人    +50.2万人
1人平均残高     117.8万円    93.0万円    -24.8万円


信用情報機関に登録されている人たちのうち、①【4件以上借入先のある人の数は減少した】。特に、5件以上の人は約3分の1に減少。このデータからは、多重債務者は減った、というふうに読み取れる。
ただし、延滞情報有の人数は約50万人増加しており、必ずしも全てが順調に返済できているということではないかもしれない。あとは、信用情報機関からの脱退が多いので、その部分で減少している割合がどの程度なのか注意する必要がある。

別な数字としては、最高裁の破産申請者数がある。
これも幾度か取り上げたが、08年は連続して前年同月比で減少を続けた。09年は5月までのデータしかなかったが、②【1~5月のいずれも前年同月比で減少】、5ヶ月間の累計数では08年の58063件に対して09年の54350件と約6.4%減少。09年1~5月では失業率が急速に上昇してきていたが、自己破産件数は減っている。法人の破産は増加していても、【個人債務者の自己破産申請数は減った】ようだ。

参考記事:
多重債務者は減少したか~2


米英では消費者ローンのデフォルトが増加している中で、日本では自己破産件数が減少してきた、ということだ。これにはいくつかの要因があるであろうが、そのうちの一つは「無闇矢鱈と貸さなかった」ということなのではないのか?
最も大きな要因としてあるのが「過払い返還金」の存在であろう。テレビCMでも判るように、今では弁護士サイドが掘り起こしに躍起になっていて、弁護士界の「過払い返還バブル」状態なのであろう。これは事前の予想以上に弁護士側が食いついてきたと言えるかもしれない。


それと、失業率との関係について、もう一度よく検討してみるべきなんじゃないのか?

また貸金業関係を書いてしまった

失業率との相関は、今の日本ではどうなのよ?
米英ではどんな相関になっているのか?
経済学者が真剣に研究に取り組んで、何らかの結論を得られたのか?(笑)

要するに、学問でもなければ研究でもない、ただの「妄言垂れ流し」だ。言ってる連中とうのは、肩書きに「~大学 経済学教授」とか何とか、偉そうなハッタリが付いているというだけ。
で、時流に乗って、政策変更の検討の度に「○○は間違っている!!」とか、もっともらしいことを言うだけの為に出てくるというわけだ。


上限金利規制をすれば自己破産者が増える、と解説していたヤツラはどこに行った?(笑)
米英ではスコアリングモデルに基づいて適正に審査し貸し出すから問題ない、とか講釈垂れてたヤツラは、今の状況でどういった解説を付けてくれるのか楽しみだな。米英では、網羅的にカウンセリングでも実施するのか?(笑)
貸さなければヤミ金に行く、とか言ってた一知半解氏が大勢いたと思うが、米英でもやはり「借りられないのでヤミ金に行く」のか?(爆)

選択肢は2つ。
・貸す
・貸さない

貸さないならヤミ金に行くんだと。そうであれば、全員に貸す、という以外にはないだろ(笑)。究極的には、借りたいという人は全員「借りられる」というのが、エセ理論信奉者の言い分になるだろ?いいか、もう1回言うけど「全員に貸す」がヤツラの言い分では正しいんだよ。


あとは、ヤミ金を定義からなくせばいい。全部合法ならばヤミ金なんか存在し得なくなるもんね。それはどんな金利でも許される、ということさ。どうしてかといえば、借り手側が正しく判断できるからだよ。べら棒に高すぎる金利を提示されたら、借り手が借りるのを自制して自ら止めるから、だ。そうすると、高い金利提示の業者は存在しえなくなるもんね。競争で敗れ去るから。だが、現実がそうなっていると思うか?本当に、そんな自制が効くのですかね?


単に競争力に乏しい高コスト業者が排除されていくだけなら、何が問題になるのか?
違法性ギリギリの業者とか、そういうのを淘汰して何が不都合があると?

デフォルト率は100%が上限で、「キッチリ上限が存在している」のに、「有り得ない金利」が存在できるはずはなかろう?経済理論の通りの世界なら、上限金利なんぞなくても自動的に「限界金利」みたいな上限はできてしまうんじゃないのか?しかし、現実は違う。
どうしてか?
コスト率が異なるから、だ。

金利には、コストが反映されているのであって、それはデフォルト率だけではないからだ。コスト率が200%なら、デフォルト99%でも300%で貸し出せば、利益が出るからね。ヤクザとかであれば、コスト率が500%とか1000%とかの高い水準で存在できるからだ。金利だけの関数で利益は決定できない。貸出残高の大きさが「十分大きい時」という条件下でのみ、経済学者たちの「御伽噺世界でしか通用しない経済学理論」が説明に用いることができる、というだけなんじゃないのか。競争が十分働いているとどの業者で借りても、同じコスト率であるし、同じ金利提示しかないのだから。唯一の金利が決まる。
だが、現実世界では、貸出残高がある水準以下でしかない時には、コスト率を高くせざるを得ない貸し手が存在するのだ。例えば、1万円を100人に貸し出し残高合計が100万円である時、金利が20%なら年に20万円しか入ってこないので「貸し手が生きて行けない」という水準に落ちてしまうからなのだ。これを、金利300%とすれば、年に300万円入ってくるので、生存可能な水準が維持される、ということになるわけである。



日本の経済学界の実力は、こんなもんなんですか?
早大や阪大という、所謂一流と呼ばれる大学の経済学者たちが、何か一つでも明らかにできた「事実」というものがあったのか?あったのであれば、理論に基づいて説得できるであろう。現実の説明も過不足なくできるであろう。そういう理論を出すべきだ。