政権交代ついでに、というわけではないが、こういう政治評論家然とした方々が、日本の政治を腐らせてきた一端を担ってきたのは間違いないだろう。多くの有権者たちに、必要なことを提示してこなかったからだ。もしも、こういう政治評論家の言うのが正しくて、彼らのアドバイスが正しいものであり、多くの有権者が適切に判断する為に必要な情報がきちんと提供されていたなら、もっと以前に改善されても良かったのではないか。それができなかったのは、評論家やマスコミの政治担当記者たちが、政治家や官僚や財界と一緒になって、誤った方向に突き進んできたからではなかったか。
自民党が、派閥政治が、瓦解してゆく中で、旧態依然の政治評論家連中だけが居残る理由などあるまい。全くの役立たずであった政治評論家たちは、共に去るとよい。一緒に「チェンジ(笑)」するべきだ。
『民主圧勝、自民激減』報道の裏で 置き忘れられたもの 時評コラム nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
田原は記事中で、「日本の借金が膨れ上がってゆくのに、自民党も民主党も何も策を示さないのはどういうことだ、バラマキ批判どころではないぞ、バラマキ競争なんてやってる場合ではないぞ、もう日本は終わってしまうぞ」(超訳です)みたいなことを言っているわけである。この人は、今頃何を言っているのかと思う。債務残高の話なんて、ずっと前からでしょう?麻生政権下になって増えた増えたって、九官鳥みたいに繰り返しているが、そんなもんは微々たるもので大勢にさしたる影響なんかない程度の、ハナクソみたいなもんでしょう。それがあってもなくても、国家財政破綻なんて事態には大して関係がない。そういう問題なんかじゃないんだわ。
まず、こういう政治評論家みたいな、マスコミで名前を売ってるような連中が、揃いも揃ってウソや間違いをばら撒くわけである。それで多くの一般国民とか、企業経営者とか財界人などにも、同じく「過った認識、情報」が拡散されてしまうのである。超強力なウイルスみたいなものである。財政破綻危機を煽りたて、人々の将来不安を増強するのを助長してしまっているのである。余計に消費が減退し、経済停滞を招くということになるわけである。そういう言説はいらない。当人にはそうした自覚がないが故に、性質が悪いのだ。自分のせいではない、政治が悪いのだ、或いは官僚が悪いのだ、と思っているだけだ。
田原は、個人的に直接総理大臣に会って、情報交換をしたり、個人的意見を述べる機会を得てきたような人物である。もしも、政治のやり方が間違ってるとか問題があるということならば、いくらでも意見が言えて、いくらでも助言できる立場にあって、しかも長年自民党有力議員と旧知の間柄にあって、田原個人が政治について何らの影響力も行使できたことなどなかった、などということがあるだろうか?
これは田原だけではないだろう。その他の評論家連中とて同じであろう。
料亭政治に共に加わり、共にメシを食ったり酒を飲んだりしてきた間柄ではないか。それを今更何だというのか。その無責任さに、無自覚さに、腹立たしく感じるのを抑えられないのである。それなりの意見を言うつもりならば、「まず勉強してから言え」とは思う。よく知りもしないことを、テレビ用のコメントとして「ワンフレーズで言ってくれ」と求めるだけなら、誰でもできる。
田原でも、他の政治評論家でもよいが、次の質問を考えたことはあるのか?自分ならば何と答えるか、考えたことはあるのか?
()米国の累積債務は減ったか?
()米国の一般政府の累積債務残高の推移を知ってるか?
よく日本の債務残高は先進国ではぶっち切りのダントツだ、とか言うわけだ。確かに、他の先進国より飛び抜けて高いGDP比であるが、それは比で見ているからそうなるだけだ。
米国は「双子の赤字」を長年言われ続けてきたわけだが、その割には債務残高が日本よりは「良好」と見なされているであろう。日本のように、もう数年もすれば200%に到達しようかという国と、100%にも達しない程度の米国では、誰がどう見ても米国の方が成績優秀だと考えても不思議じゃない。
だが、ちょっと待ってほしい(笑、どこだか新聞社説の得意のフレーズだったか?)。
過去40年間に、米国の財政収支がプラスであったのは一体何年くらいあったか?
クリントン政権下での、僅か数年しかなかったのではなかったか?それ以外は、ほぼ財政収支赤字が「恒常的」だったのではないのか?さて、こういう借金の借り手がいた場合に、元本は減っていると思うか?(笑)
調べたわけではないが(検索では、すぐには出てこなくなってしまったのだ)、累積債務の純粋な残高は90年代にごく微量の減少があった以外では、ほぼ増加の一途を辿ってきたのではないのか?要するに、利払いだけ続けてきて、債務元本を減らしたことなんて殆どなかったんじゃないのか、って話なんですわ。
クリントン政権下ではどうして財政収支が改善したかといえば、冷戦終結後だったので軍事費を減らせたし、極端な保護貿易主義をとったからだろう?それは、対日貿易赤字を暴力的削減に踏み切ったからだ。彼らは、国内企業を守るという名目で日本製品の締め出しを図ったのだ。尚且つ、日本に無闇矢鱈と高額防衛装備を購入させたり、基地費用負担を強制したり、赤字を「日本に肩代わりさせた」という方向に舵を切ったからであろう?日本の貿易黒字から削り取っていったからこそ、マクロの数字が改善し、その期間だけは財政収支の黒字化が達成できたというわけだ。
で、日本はバブル後遺症に悩まされていた時期に、対日強硬路線を強めつつ日本企業の株式購入を着々と増加させていったのだ。海外投資家の保有比率は10%を切る水準でしかなかったのが、世界同時不況直前までの30%超まで増加していった、ということさ。これは本題ではないので、今はいい。
結局のところ、米国の債務なんて減ったことなどほぼない、ってことだよ。
平たく言えば、「過去40年間、借金の元本は減ったことが殆どない」ということだ。
それでも、日本より債務が少なく優秀なのか?(笑)
田原にしてみると、それがどういうことなのかさえも判らないのだろう。
どうして、日本よりも良好なのかというと、日本はデフレで債務負担が大幅増加したのに対し、米国ではインフレがあったから、だ。名目GDPが大きくなってきたからこそ、債務残高の名目GDP比は抑制されてきた、ということだよ。借金が増えるよりも経済成長が上回ってきたので、名目GDP比でのグラフ描画では優秀だね、ということになっているだけである。
従って、日本では「名目GDPを成長させること」というのが、財政再建の最短距離の解決策に決まっているのである。米国だけではなく、その他の先進国でも似たようなものだろう。だからこそ、デフレを脱却させろ、名目GDPを大きくせよ(=物価上昇率を2%以上の高めにとれ)、というのが、最も効果的な処方箋ということになるのだよ。それが、日銀は愚か、政府も、政治評論家も、日本の経済ナントカの大半も、みんな判っていない。クルーグマンが4%を10年続けろ、と言ったのは、まさに”正しい”のだよ。
名目GDP成長率が少なくとも4%あれば、実質成長率とかが0.5%とか1%といった低成長であろうと、運悪くマイナス成長であろうと、どうにか「耐えられる経済」にはなっているわけだよ。
長期金利が上昇するって?
確かに。そうなんだけれども、日本人は預貯金が好きだから、6%とか7%もの金利がつくとなれば、そっちに飛びつこうとする人たちは大勢出てくるわけなんだよ。そうなれば、上昇圧力にはブレーキがかかるし、税収が増える効果が大きくなるのと過去債務負担は縮小してゆくので、持続可能性は改善するであろう、というのが私の考え方である。もし、それが無理というのなら、米国の債務は持続なんかできなかったであろう、と思いますな。プライマリーバランスの赤字幅は、日本以上に大きい期間が相当あったはずですからね。
今度は、()の質問について考えてみよう。
米国債の残高というのはある水準に留まっていると思うが、これが米国の債務かといえばそれだけではないはずである。日本でいうところの地方、すなわち「州政府」の借金というのがあるはずだ。これがどの程度の水準になっているのか、というのは、謎のままである。というか、公表されているのかもしれないけれど、資料を見つけられなかったので、米国の一般政府の債務残高水準がどのくらいなのか、というのを知りたいわけである。
日本と比較すれば、州政府の力がそれなりに強い、ということになると、多分財政収支もかなりの大きさになっていることが予想され、そうなると50州あるわけですから累積債務残高がかなりの額に達していても不思議ではないであろうね、と。最近の話題であると、加州の借金問題というのが出されていたと思うけれども、そういった話が他にもあるんじゃないですか、ということです。なので、米国の一般政府の累積債務残高の推移を30年分とかグラフにしてもらえれば、「ああ借金って、こうやって増えてきたんだね」ということがよく理解できるんじゃないでしょうか(笑)。そのグラフは、果たして「借金が減っていっている」グラフになっているであろうか?
財政規律云々とか、債務残高云々、という話に行く前に、ベースにインフレ率というのがあるわけである。
そういうのを「考えられない人間」が、破綻がどうのとか言い出すのは疑問に思うわけである。じゃあ、米国でも英国でも、その他先進国でもいいので、グラフにしてみてごらんなさい、と。元本が減ってる国はどの程度ありますかね、と。名目GDP比というのは、騙されやすい人々には効果的だよね、というだけの話。割とインフレ率の高い地域では、尚の事ラッキーだよね、という話だわな。それがどこの国ですか、といのは、今はおいておくけど。
名目成長率4%達成を目指して運営すべき、と言っているのは、そういうことですから。
日本がそういう方向に進むには、まず「狂ってしまった”レギュレーション”を変更させるまで、人為的に策を講じる必要がある」って百万回言ってるんだよ。
それは喩えて言えば、「お前の給料はこんだけだ」と誰かがマイナス査定するのは止めて、マクロ経済の原則に従って「誰も手を加えない」賃金査定をすればいいよ、ってこと。現在の100の賃金から2%減らして98にするんじゃなくて、100の賃金のままでもいいので、インフレ率が2%ならば、実質賃金は「2%分減った」のと同じですから。それは誰の手を借りずとも、自動的に起こってしまう実質賃金の調節なので、怨みも少なければ反対圧力もないし権益死守も通用しないでしょう、って言ってるんです。
判ってない連中は、理解してからテレビで話せ。
過った情報を流すくらいなら、マスメディア上で言及するな。
追加です(28日21時頃):
田原にとって、債務残高の話は、以前はどう考えていたのかね。
00年頃は?
05年の郵政選挙の時には?
もう何年も前から、国家財政破綻危機、とか煽られていたじゃないですか。その間、自民党大物とか、総理総裁とか、話す機会なんか百万回あったに決まっておろうが。どうしてその時から、自民党に聞いておかなかったのか?
僅か4年前だって、国の債務残高は国債だけでも500兆円超とかの規模で、特別会計の借金とか地方の債務とか、基本的には今と似たようなものでしょうよ。そんときゃ、心配してなかったんか?(笑)
要するに、調子いいことしか言わないか、その場その場で都合よく話のネタを作っていくだけ。政治を語っているフリをしているだけ。政策について論じているマネをしつつ、政治家を追及したり批判したりする真似事だけをやりつつ、実際には、何らの話もしてないのと同じなんじゃないのか。
笑ってしまうね。
資料の追加ですが、参考記事です。
>
異常な経済運営が続く国~ニッポン
>
異常な経済運営が続く国~ニッポン・2
同じことを、しつこく書いてもまだ足りないのだよ(笑)。