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続々・岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

2010年04月05日 13時21分05秒 | 経済関連
この前の記事に関して。

岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

先日読んだ時の岩本教授の記事内容と異なるのではないだろうか、と、ちょっと思ったが、どうなんだろ(拙ブログ記事を読んで加えたのではあるまいね?)。
あまり詳しく覚えてない(内容が読むべき価値のあるものとも思えなかったので、しっかり見てなかったのかも?)のと記憶違いだったらゴメンなさい。

再び読んだ感想としては、もう一度高校の勉強をやり直してきたらいいのではないか、と思えた。それは、高校生でも「買いオペ」と「売りオペ」くらいは習っているだろうからである。
それとも、東大の「学界」とやらで言う「経済学」というのは、文学か何かの一種なのでしょうか?あること、ないこと、空想世界で、言葉遊びをやっているという代物なのでしょうか?意味のない解説とか、間違った言説とか、そういうのを繰り返し登場させてくるというのは、一体全体どういうことなのでしょうか?
これこそが、自らの誤りを認められない、己の正しさだけを言いたいが為につかう言辞である、ということなんじゃないのか。そして、ウソの上塗りか、間違いを拡大してゆくという、まさしく悪循環に陥っている典型ではないのか。これが、学問と呼べるのか?学術的探求というのは、こういうものなのか?
教育というのは、こんなんでいいのか?
東大ですら、こんな水準なのか?


ともかく、記述されてる内容について書いておく。
以下のように述べられている。

『理解を深めるために,ヘリコプター・ドロップではなく,日銀が国債を大量に買う(供給オペをおこなう)政策を最初に考えてみよう。そして,その政策ではインフレが起こらないが,政策とは別の要因で(例えば,景気の自律的回復で3年後に)インフレが起こると想定してみよう。当初にゼロ金利だとして,国債を大量に買うと,マネタリーベースが大きく膨らむ。インフレが起こったときにはゼロ金利を解除することになるだろうから,適正なマネタリーベースの水準に戻すために,当初に大量に買った国債を市場に売却しなければならない。これは,かつて日銀がとった量的緩和政策を解除する過程に似ている。量的緩和政策時に貨幣を大幅に増やしても,それに見合う物価上昇はまったく起こらなかったわけだから,量的緩和政策と同様のことをすれば同様に物価は上がらない,と市場は予想するだろう。その結果,この政策によってインフレが起こらない,という仮定と矛盾しない帰結が得られる。』

ポイントを大雑把に挙げると次の通り。

 ①日銀が国債を大量に買う供給オペを行う
 ②国債を大量に買うとマネタリーベースが膨らむ
 ③適正なマネタリーベース水準に戻す為に国債を市場売却
 ④市場はインフレが起こらないと予想
 ⑤この政策ではインフレが起こらない

では、以下に指摘事項を書いてみる。


1)日銀が「供給オペを行うと、マネタリーベースが膨らむ」は正しいか?

出鱈目なんじゃないのか。いや、こちとら、経済学教授でもなけりゃ、金融実務家でもないわけだから、正確なことは知らないのだけど。
マネタリーベースが増える、というのは、ウソではないか?供給オペって、所謂「買いオペ」のことだろうから、市場から国債を吸収しても見合いの現金が供給されるということになるだけである。

2)「適正なマネタリーベース水準」を定義し、日本経済についてその適正額を出せ。

岩本教授ならば適正額というのを算出できるらしい。だったら、即座にその答えを言えるはずだ。その額目指して、「市場で国債を売却」するんでしょう?(笑)

3)市場が「インフレは起こらない」と予想してるが、何故か「自律的景気回復でインフレが起こる」という、その機序はどうなっているのか?

もう、このヘンになると岩本教授は何を言いたいのか、何の立証を目指しているのか、まるで判らない。市場は「インフレは起こらない」と予想し、現実もインフレが起こらない、とか言っていながらにして、自律的景気回復ではインフレが起こる、というのは、これ如何に?
こんなことを言う学者って、なんなの?
02年以降の日本で、景気回復局面ではインフレが起こったか?


参考までに、岩本教授式経済学理論によれば、上記手法を取ると「インフレは起こらない」と市場は予想し現実にもそのようになるということなので、そうであるなら、常にその方法を実行するとインフレにはならないんじゃないの。中銀がインフレを心配する必要なんてないじゃないってことだな。
何て素晴らしい方法なんだ!


一応、東大なんかの経済学界とやらに、言っておきたい。
まず、マネタリーベースは、発行紙幣+貨幣+当座預金残高ということなので、買いオペをやったからといって増えるわけでもなかろうて。そもそも、どうして売りオペ、買いオペというのを行うのか、という本質部分が、理解できてないからこそ、こんな誤った解説を付けているのではないのか?

日銀の主要な政策って何さ?
金利の「上げ下げ」なんじゃないの?学校で習うだろう?公開市場操作とか、そういうのも習わなかった?
どうして市場から国債を買うのか、というと、「政策金利を下げる」という目的の為だろうよ。金融政策決定会合で金利引き下げということになれば、何もせず黙っていて下がるわけでもあるまいに。単純化していえば、市場から国債を買い取る代りに現金を供給すると、マネー量が増大するから需給が緩くなる、すなわち金利が下がる、ってことなんだろ。これが、金融緩和、ってことなんじゃないの?
逆に、引き締めが必要という局面では、政策金利の引き上げが行われるからこそ、売りオペが行われるわけで、市場からマネー量を減らすと需給は締まり、すなわち金利上昇ということになるわけでしょう?

中央銀行の基本的な機能を理解できていないんだよ。
インフレになってないのに、「政策金利を引き上げる」って、それは何?
岩本式理論では、「インフレ期待がなく現実にインフレになってない」にも関わらず、ゼロ金利解除=政策金利の引き上げ、というのを行う、と。
なんじゃ、この理論は。日銀式と一緒で、インフレ予想がないのに引き上げを正当化する詭弁ですかね?(笑)

大体、買現先の決済(オペで買った国債を市場に戻す)なんて、日常的に行われているんじゃないですか?そういう日銀の実務はよく知らないんだけどさ。買いオペで日銀が持った国債は、期間の違いはあると思いますけれども、そんなに長く保有しているとは思えませんけど。だって、政策金利は「オーバーナイトもの」であって、長期国債なんかではないですし。

思いつきを適当に書く(ウチのブログではいつも大体そうだけど)、ということであっても、基本的な部分が完全に崩壊している経済学理論って、一体なんなんですか?これが専門家ですって?


「適正なマネタリーベース水準」の額なんて、判るもんなんですか?計算できるとか言うつもりなんだろうね、きっと。そういう「適正なマネタリーベース水準」に戻す為に市場に国債を売却するのではないだろうよ。
多分、需給の問題なので、政策金利から外れそうかどうか、というのが一番なんじゃないの?何の為の「政策金利」なんだよ。


もう経済学云々とか、そういう問題ではないと思う。
どうして金利を引き上げるのか、とか、そういう根本部分からして、理解ができてないとしか思えない。



ダメ理論だのといったものに、後から屁理屈をいくら追加しようとも、ダメなものはダメなんだろうよ。矛盾を解消しようとして、無理な解説をひねり出そうとするからこそ、余計に新たな矛盾や誤魔化しや嘘が発生してゆくのだろ。
そうすると、これまでは見えてなかった正体までもが露わになってしまう、というようなものだな。