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オール人力狙撃システム試作機

在沖海兵隊は日本に必要か?

2010年04月06日 17時47分24秒 | 防衛問題
どうにも出口の見えない状態となっている普天間問題ですが、最近の’海兵コネクション’はどうやら自信を深めているようですね。


それは、鳩山政権がこのまま放っておいても、自分で躓いて転ぶのが見えているから、でしょうな。

そうすると、ラフード長官なんかは「正当化路線」をひた走り、トヨタに制裁金を課すつもり、ということらしい。
中身はどうであれ、トヨタが「たったの一度でも謝ってしまいリコールに応じた」という事実は消せないわけで、これを最大限に利用しよう、という魂胆なわけですね。なるほど。

全くの推測ですが、凍結するほどの気温に低下すれば、結露によってアクセルペダルの戻りが悪くなる現象が発生することがある、というものだけが「現象」として観察されている事実なのではないかな。このことを「報告が遅れただろ」と、言っているんではありませんかね?
しかし、この事実は、昨年のサンディエゴの事故とは全く関係のない指摘なのだ。当然、凍結の起こる季節ではなかったし、この事実が指摘された車種とも異なるのではないか?
レクサスのアクセルペダルについてですか?

要するに、(指摘事実の)ごった煮、ということで、誤魔化すにはもってこい、ということだな。
米国における多くの消費者たちには、米運輸省からトヨタが何について罰せられてしまったのか、ということを正確に知るのが難しいからだ。

報道なんかで伝わることと、そこでの認識としては、「トヨタは何か違法なヘマをやらかして、罰金を最大に取られた」ということだけだからだ。中身なんて、誰も気にも留めやしない。ラフードの狙いはそこにある、ということさ。
ネットの印象操作と勝利宣言みたいなものと一緒なのだ。

米運輸省は正しかった、罰をトヨタに与えた、という事実を確実に残せる、ということなのだからな。指定外のマットの不適切使用とか、アクセルペダルの形状、とか、これらはトヨタ車固有の「車両の欠陥」という事実を基に米運輸省が指摘したことではないのだから。他社の車両でも起こっていることについて、恣意的に取りあげただけに過ぎないことだから、これをもって制裁金を課すことができないのだ。


もし、これを可能だとするなら、米運輸省が完璧に欠陥と事故を再現できるということを意味する。そうした立証もないままに、ただ単に罰するというのは法治国家のやることではない。

ま、いずれにせよ、拙ブログで指摘された(トヨタ問題で明らかになった米国の情報操作網)のが余程面白くなかった、ということだろう。大学なんかの同窓生みたいなコネ社会だろうから、おそらくは国防総省だの海軍だの海兵隊だのといった系列のコネがあるのだろうと思いますね。

そういうのをフル稼働させてやってきたので、最後の最後まで正当化することに拘るはずだし、恣意的な狙い撃ちという見方を少しでも払拭しておきたい、ということで、こうした行政上の処分を形式的にでも残したいということになるだろうと思うのですね。そういう戦術を当然やってきますわな。


さて、普天間基地の話に戻ろう。
以前に書いたけれども、海兵隊の工事って、どうなってるんですか?
ニュース映像なんかだと、ヘリを並べて置いてあるけど、滑走路の工事なんかをやってるようには見えないわけですが。本当にやったんですか?

嘘から出たまこと?(笑)~普天間基地補修工事

日米合同委員会の合意はどうしたの?
そういう手続きもできていたんですかね?
どう見てもあやしい、ということですな。因みに、海兵隊基地って、サンディエゴにもあったんでしたか?


ま、いいか。


問題は、本当に在沖海兵隊が必要なのか、という根本的な論点ですな。
基本的に、日本防衛には関係ない、という説を披露してくれていた「専門知識豊富な方々」がいたわけですが、そうすると日本にはなくてもいいですよね。

沖縄海兵隊はソマリアの二の舞を望むのか


彼らの言によれば、日本防衛用陸上戦力とは、ハワイの「第25歩兵師団」というのが常識、ということらしいですから。在沖海兵師団は台湾防衛用、ということで、必然性は下がるというのは当然ですね。なのに、なんで沖縄に置かねばならんの?米軍からは、そういう説明はないわけですな。彼らが言ってるのは、ひたすら「沖縄に必要だ」という抽象論だけ。

軍事機密上、本当のことなんて言えません、ってことかもね。まさか、日本を守るのに必要なわけじゃない、なんて、口が裂けても言えんわな。
それにしても、台湾有事に派遣する、とかいう割には、スーパースタリオンだかは2機くらいしかいないんでないの?
たった100名やそこらの投入で何をしようと?

あれですか、まるでSir ロバート・クライヴの如き、スーパー軍人でもいて、台湾を救ってくれる、とかいう目論見なのかもしれんがね。果たして、通用するかな?現代でも。



じゃあ、自分なら、どう考えるか、というのは言っておくね。


第一に、最優先されるのが米国人保護だろう。日本の防衛力云々とか、台湾有事の即応展開云々なんて話ではないでしょう。真っ先に、誰でも思い浮かぶでしょう?
まず、基地の米国人を守る必要があるのですよ。家族帯同で来ていることもあるので、事が起こった時には必ず脱出させる手段を残しておかねばならないでしょう。これが一番の存在意義ではないかと思いますけど。

第二に、基地周辺の暴動や、日本人などが基地を襲ってくる事態が発生しないとも限らないわけで、そういう基地防衛を陸上部隊がやらねばならない。海軍や空軍とは役割が異なるであろう。事態を鎮圧し、米国人の安全がある程度確保される程度には、守備的要員が必要とされるのではないか、ということ。人質にされたりしても困りますしね。

第三に、日本が本当にいつまでも信頼できるパートナーなんて保証はないので、「日本軍(笑)」が豹変して攻めてこないとも限らないわけで、ある程度の防備は必要であろうし、「日本で軍事クーデターが起こらない」なんて保証もないわけである。そういう「特殊な状況」というものが発生した場合には、遠くにいると不利になることが多いので、沖縄あたりに海兵隊がいた方がいい、ということはあるかもしれない。


つまり、想定される本当の理由としては、日本人が襲ってくるというのを主に防ぐ方が、意味があるんじゃないのかな、ということだな。あとは、在沖米国人の防御、これだな。



追加です。

今、ネット上で調べてみたら、こんな記事が。
米海兵隊:なぜ沖縄に-米軍高官の「本音」 「北朝鮮核が狙い」 - 毎日jp(毎日新聞)

これによれば、沖縄の海兵隊は北朝鮮の核を確保すべく、乗り込んでゆくつもりらしいです。ホントかなー?
参考までに、沖縄からヘリで北朝鮮に飛んでゆくと、どうなんですかね?
距離的に、ですよ(笑)。
直で届きますか?どうなんです?


なんで、こう取ってつけたような理由を、後付けで出してくるのかね。
だったら、最もいい場所はやっぱり「韓国」(参考:沖縄の海兵隊は韓国に置けばよい)ってことだし、近すぎるというのなら、沖縄よりもヘリで直接届く場所、というのが最善だろうに。

なので、このキース・スタルダー司令官の説明というのは、嘘ではないかもしれないが、最重要ということではないし、沖縄に置くことの正当性には使えない。全く、論外。軍事的な理由づけとしては、意味を持たない。



岩本教授の論を信じると、こう騙される~補足編

2010年04月06日 12時54分41秒 | 経済関連
追加されていたみたいなので、一応取り上げる。

「リフレ政策」に対する私見(とりあえずのまとめ) - 岩本康志のブログ - Yahoo!ブログ

最終的には、私見、と来ましたか。
東大教授という肩書はダテか?権威主義の象徴たる飾りものである、ということを立証した、ということなのかもしれません。
別に、世に溢れるピンキリの経済論説について、批判するなと言っているのではないよ。そうじゃない。

岩本教授は、ただ単にリフレ派を批判したから、その熱烈支持者とか工作員部隊(笑)とかに責められているんだ、みたいに勘違いしているのかもしれないが、そういうことではないよ。まず、己の主張というものを、よく見てみろ、と言っているのである。


少し前に戻って、岩本氏は何と言っていたのか?

”学界”という病~「日本の経済学界」は信頼できるか?

主張1:『学界で割れている議論ならば,学界での議論に耐えられるような,きちんとしたモデル分析に裏打ちされた提言でなければ,説得力がない。』

何が問題なのかって、それを他人に求めていながらにして、自らは実行していないことだ。そんな専門家がいるか?
岩本氏の解説してくれた記事の中身は、「学界での議論」なんて以前に、ド素人の議論にさえも耐えられないんじゃありませんか、と問うているわけですよ。モデル分析に裏打ちされた提言、なんてものが、岩本氏の言辞にはありましたか?自ら課した条件は、自分の主張にはきちんと反映されているのですか、と問うているわけですよ。

説得力がない、って、そういう以前の話でしょうよ。モデル云々じゃなく、ド素人でも判る話を間違っているとか理解できてないとか、そういうことなのではありませんか、と問うているわけですよ。事実誤認、無知、といった類のものと、どう違うのですか?と疑問に思うわけです。
試験の穴埋め問題みたいな断片知識の寄せ集めで、あることないことを言っているのと何が違うんですか、って問うているわけですよ。素人目には、全く見分けがつかない。専門家としての信頼性は、ほぼゼロに等しい、って言ってるの。

こんな医者がいたらどうする?
①Aを飲めば~という症状がでる→ウソ
②Bを注射すると、血圧は~となる→ウソ
③Cを飲むと~が悪化する→ウソ
④Dを投与すると~が増加する→ウソ
で、最後には、⑤「”○○療法”という治療法は効かない」と言った時、この医者の言う最後の結論が正しいと信じられると思うのか?⑤を信じる人間はどれくらいいると思うか?(笑)

①~④がウソだ、ということは、一般人にはすぐに判らないんだよ。だから、こういう出鱈目な医者ですら、通用してしまうということなのさ。しかも、①~④の説明が全て間違っているのに、最後の⑤だけは正しい説明&結論である、なんてことがあると思うか?
もし、そういう程度のものであるとすれば、それは競馬の予想屋のオヤジみたいなもんじゃないのか。理屈はつけようがある、ってことさ。当たるかどうかは、判りません、という程度のものだということだろ。つまり、学問でも何でもないってことだ。

私がこのブログで思いつきを書いているのと、何が違うと思うか?
だったら、学界の議論に耐えられるだの、モデル分析の裏打ちだのという欺瞞はやめろ、ということだな。その前に、己の無知と未熟を恥じろ。衆愚を嗤う資格など東大教授にはない、ってことを、まず知るべきだろう。


気を取り直して、今回の記事で岩本氏の主張を見てみよう。

『経済を良くする政策は2種類に分類できる。景気後退の痛みを和らげる安定化政策と,体質を強くする構造政策(成長戦略)。どちらも必要である。
 あとは,個別の政策手段の是非であるが,今回の記事の趣旨から安定化政策にしぼる。しかし,構造政策も,流動性の罠脱却の時期を早めるという,重要な意味をもつ。
 私の考え方をまとめると,金融政策の一層の緩和策では,ゼロ金利の解除条件の明確化,とくに量的緩和解除条件よりも緩和が継続する形での条件の導入が考えられる。財政政策は,財政状況を考えると,大規模なもの,無駄な支出がともなうものには反対,為替介入は実行が難しいと評価している。しかし,いずれも最終的には政治判断である。』

主張2:『体質を強くする構造政策(成長戦略)』『構造政策も,流動性の罠脱却の時期を早める』

構造改革派の連中がよく言うお決まりのセリフですな。岩本氏が学者なら、「構造政策が流動性の罠脱却時期を早める」ということを学術的に証明できるはずだ。当然、モデル分析の裏打ちのあるもの、だな。しかも、その個別の構造政策というものが、うまくゆくという証明を伴うのも当たり前。政策のコストとベネフィットを提示し、実証の裏付け、モデル分析の裏付け、そういうのを証明できてから言えって話だわな。夢のような政策だ。企業家なら、大儲け間違いなしって投資話みたいなやつだな。


あと、岩本氏の考えとしては、金融政策については、ゼロ金利解除条件の変更くらいなもので、財政政策は必要なし、というのが基本だろう。まあ、彼にしてみれば、そうなるはずだわ。だって、おそらく「(なんにもせずとも)3年後にはインフレになる」という放置が正解と考えているのだろうから。平たくいえば、なんにもしなくたって、何年かして景気が回復すればインフレになるから、だ。そうならないのは、「”構造政策”がなく体質が強くなってないから」、というものだ。日銀派の連中にありがちなセリフと一緒ということである。

実際、本人自身がそう言ったわけではないので定かではないが、そういう確信を抱いているであろうことは、これまでの言辞からすると十分推測できるわけである。
そもそも放置しておけ、ということなら、日銀の金融政策そのものが不必要、ということであって、それにも答えていない。本物のア○だな。体質強化でインフレが直せるとか、素晴らしい教義を披露してくれそうだ。


もう、こうなると、狂信集団と何ら変わりがない。ヘンな宗教と何が違うのか、見分けがつけられない。
日本よりも、構造政策がないとか、体質の弱い経済という国々はたぶん多数あるんじゃないかと思うが、構造問題派の連中はそういうのは無視ということらしい。彼らが学術的な比較検討を提示して、日本固有の問題というのを明らかにしたことなど、ただの一度も見たことがないが。そういう国々では、全部デフレになっているんだね?(笑)


岩本氏の言辞が妄言などではない、ということなら、必ず立証できるはずだ。なんたって、東大の経済学教授さま、だからだ。まさか、経済学を学んだことのないド素人に指摘される
程度ではあるまいね?


彼のいう、供給オペでマネタリーベースは増加する、とかが本当なのか証明してみろ。
構造政策は流動性の罠脱却を早める、というのも、どんな政策を実行するのか証明せよ。
ということは、やはり日銀は愚かだったというわけか?

何で10年以上にも渡って、そういう構造政策をやれ、と政府に教えてやらなかったわけ?答えを知っていながらにして、これまでは誰ひとり「○○という構造政策を実施すれば流動性の罠から脱却できる」と言わなかったと?
なんて、間抜けな専門家どもなんだよ。

答えが判っているのに言わない、実施しないということに、一体どんな意味があると?


滅茶苦茶だな、この国の経済学界って。
日銀も、実施するべき構造政策を知っていたのに、それを言わないって、どんな組織ですか?国民への嫌がらせですか?揃いも揃って、○○ばかり、ってことなんだね。




続々・岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

2010年04月05日 13時21分05秒 | 経済関連
この前の記事に関して。

岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

先日読んだ時の岩本教授の記事内容と異なるのではないだろうか、と、ちょっと思ったが、どうなんだろ(拙ブログ記事を読んで加えたのではあるまいね?)。
あまり詳しく覚えてない(内容が読むべき価値のあるものとも思えなかったので、しっかり見てなかったのかも?)のと記憶違いだったらゴメンなさい。

再び読んだ感想としては、もう一度高校の勉強をやり直してきたらいいのではないか、と思えた。それは、高校生でも「買いオペ」と「売りオペ」くらいは習っているだろうからである。
それとも、東大の「学界」とやらで言う「経済学」というのは、文学か何かの一種なのでしょうか?あること、ないこと、空想世界で、言葉遊びをやっているという代物なのでしょうか?意味のない解説とか、間違った言説とか、そういうのを繰り返し登場させてくるというのは、一体全体どういうことなのでしょうか?
これこそが、自らの誤りを認められない、己の正しさだけを言いたいが為につかう言辞である、ということなんじゃないのか。そして、ウソの上塗りか、間違いを拡大してゆくという、まさしく悪循環に陥っている典型ではないのか。これが、学問と呼べるのか?学術的探求というのは、こういうものなのか?
教育というのは、こんなんでいいのか?
東大ですら、こんな水準なのか?


ともかく、記述されてる内容について書いておく。
以下のように述べられている。

『理解を深めるために,ヘリコプター・ドロップではなく,日銀が国債を大量に買う(供給オペをおこなう)政策を最初に考えてみよう。そして,その政策ではインフレが起こらないが,政策とは別の要因で(例えば,景気の自律的回復で3年後に)インフレが起こると想定してみよう。当初にゼロ金利だとして,国債を大量に買うと,マネタリーベースが大きく膨らむ。インフレが起こったときにはゼロ金利を解除することになるだろうから,適正なマネタリーベースの水準に戻すために,当初に大量に買った国債を市場に売却しなければならない。これは,かつて日銀がとった量的緩和政策を解除する過程に似ている。量的緩和政策時に貨幣を大幅に増やしても,それに見合う物価上昇はまったく起こらなかったわけだから,量的緩和政策と同様のことをすれば同様に物価は上がらない,と市場は予想するだろう。その結果,この政策によってインフレが起こらない,という仮定と矛盾しない帰結が得られる。』

ポイントを大雑把に挙げると次の通り。

 ①日銀が国債を大量に買う供給オペを行う
 ②国債を大量に買うとマネタリーベースが膨らむ
 ③適正なマネタリーベース水準に戻す為に国債を市場売却
 ④市場はインフレが起こらないと予想
 ⑤この政策ではインフレが起こらない

では、以下に指摘事項を書いてみる。


1)日銀が「供給オペを行うと、マネタリーベースが膨らむ」は正しいか?

出鱈目なんじゃないのか。いや、こちとら、経済学教授でもなけりゃ、金融実務家でもないわけだから、正確なことは知らないのだけど。
マネタリーベースが増える、というのは、ウソではないか?供給オペって、所謂「買いオペ」のことだろうから、市場から国債を吸収しても見合いの現金が供給されるということになるだけである。

2)「適正なマネタリーベース水準」を定義し、日本経済についてその適正額を出せ。

岩本教授ならば適正額というのを算出できるらしい。だったら、即座にその答えを言えるはずだ。その額目指して、「市場で国債を売却」するんでしょう?(笑)

3)市場が「インフレは起こらない」と予想してるが、何故か「自律的景気回復でインフレが起こる」という、その機序はどうなっているのか?

もう、このヘンになると岩本教授は何を言いたいのか、何の立証を目指しているのか、まるで判らない。市場は「インフレは起こらない」と予想し、現実もインフレが起こらない、とか言っていながらにして、自律的景気回復ではインフレが起こる、というのは、これ如何に?
こんなことを言う学者って、なんなの?
02年以降の日本で、景気回復局面ではインフレが起こったか?


参考までに、岩本教授式経済学理論によれば、上記手法を取ると「インフレは起こらない」と市場は予想し現実にもそのようになるということなので、そうであるなら、常にその方法を実行するとインフレにはならないんじゃないの。中銀がインフレを心配する必要なんてないじゃないってことだな。
何て素晴らしい方法なんだ!


一応、東大なんかの経済学界とやらに、言っておきたい。
まず、マネタリーベースは、発行紙幣+貨幣+当座預金残高ということなので、買いオペをやったからといって増えるわけでもなかろうて。そもそも、どうして売りオペ、買いオペというのを行うのか、という本質部分が、理解できてないからこそ、こんな誤った解説を付けているのではないのか?

日銀の主要な政策って何さ?
金利の「上げ下げ」なんじゃないの?学校で習うだろう?公開市場操作とか、そういうのも習わなかった?
どうして市場から国債を買うのか、というと、「政策金利を下げる」という目的の為だろうよ。金融政策決定会合で金利引き下げということになれば、何もせず黙っていて下がるわけでもあるまいに。単純化していえば、市場から国債を買い取る代りに現金を供給すると、マネー量が増大するから需給が緩くなる、すなわち金利が下がる、ってことなんだろ。これが、金融緩和、ってことなんじゃないの?
逆に、引き締めが必要という局面では、政策金利の引き上げが行われるからこそ、売りオペが行われるわけで、市場からマネー量を減らすと需給は締まり、すなわち金利上昇ということになるわけでしょう?

中央銀行の基本的な機能を理解できていないんだよ。
インフレになってないのに、「政策金利を引き上げる」って、それは何?
岩本式理論では、「インフレ期待がなく現実にインフレになってない」にも関わらず、ゼロ金利解除=政策金利の引き上げ、というのを行う、と。
なんじゃ、この理論は。日銀式と一緒で、インフレ予想がないのに引き上げを正当化する詭弁ですかね?(笑)

大体、買現先の決済(オペで買った国債を市場に戻す)なんて、日常的に行われているんじゃないですか?そういう日銀の実務はよく知らないんだけどさ。買いオペで日銀が持った国債は、期間の違いはあると思いますけれども、そんなに長く保有しているとは思えませんけど。だって、政策金利は「オーバーナイトもの」であって、長期国債なんかではないですし。

思いつきを適当に書く(ウチのブログではいつも大体そうだけど)、ということであっても、基本的な部分が完全に崩壊している経済学理論って、一体なんなんですか?これが専門家ですって?


「適正なマネタリーベース水準」の額なんて、判るもんなんですか?計算できるとか言うつもりなんだろうね、きっと。そういう「適正なマネタリーベース水準」に戻す為に市場に国債を売却するのではないだろうよ。
多分、需給の問題なので、政策金利から外れそうかどうか、というのが一番なんじゃないの?何の為の「政策金利」なんだよ。


もう経済学云々とか、そういう問題ではないと思う。
どうして金利を引き上げるのか、とか、そういう根本部分からして、理解ができてないとしか思えない。



ダメ理論だのといったものに、後から屁理屈をいくら追加しようとも、ダメなものはダメなんだろうよ。矛盾を解消しようとして、無理な解説をひねり出そうとするからこそ、余計に新たな矛盾や誤魔化しや嘘が発生してゆくのだろ。
そうすると、これまでは見えてなかった正体までもが露わになってしまう、というようなものだな。



中国の実質GDPはいくらが妥当なのか?

2010年04月04日 17時55分03秒 | 経済関連
米国は、中国の為替操作国認定を当面は「うやむや」にしておきたい、という意向のようです。ガイトナーがヘタレだから、とか、そういう理由ではないでしょう。もっと外交的かつ政治的な理由からでしょう。裏でいうと、中国側が何かについて若干の譲歩を示したから、ということなのではないかと勝手に推測しています。
ま、これは別にいいですが。

テレビとかの報道なんかでは、「中国に抜かれる!」とかいう大袈裟なご意見をよく目にするわけですが、だから何だっていうの?こういう気質の人たちばかりだと、隣の家の亭主の給料が上がって、「隣の御主人は給料が倍になって羨ましわ。アナタの稼ぎは抜かれたわよ」とか嫌味を言う奥さんみたいなもんですか(笑)。いいじゃん、別に。
稼ぎが増えて良かったね、でいいじゃないの。そんな程度のものを、いちいち比べて気にしてたら、生きていけないだろよ。病気になるぞ?

人口規模と国土面積だけ考えたって、どう見ても中国の方がデカイんだから、多くても当たり前なんだって。それは普通さ。他人を気にする前に、日本は自分たちはどう生きるかということを考えた方がいい。他人を気にしている場合ではない。


で、問題のGDPなんですが、名目GDPばかりが取り上げられるから、よく判らないんですよね。長期系列とかも、基準年がどこかということで、変わってくるだろうし、データの信頼性とかも関係するだろうしね。

ジェトロや日本の政府統計などから判る部分を挙げておくと、次の通り。

《名目GDPのドル換算値と現地通貨ベース値》

年 (10億$)  (千万元)  
98  1019.5  
99  1083.3
00  1198.5    992146
01  1324.8    1096552
02  1453.8    1203327
03  1641.0    1358228
04  1931.6    1598783
05  2235.9    1832175
06  2657.9    2119235
07  3382.2    2573060
08  4327.0    3006700
09  4910.0    3353530

※但し、
1.09年は現地通貨ベースのみの公表データであったので、1ドル=6.83元の平均レートの想定で4兆9100億ドルと推計
2.98年と99年は現地通貨ベースの名目GDPは調べてない


この名目額の増加の仕方を見れば、一見して「ああ、随分と多いのだな」ということが判るはずです。問題は、名目額だけが公表されているものの、実質額は正確に判らない、ということなのですね。

次は、実質GDP成長率と消費者物価指数、そして、名目GDP(元ベース)の増加率を並べてみる(名目の増加率は、(01年GDP-00年GDP)/00年GDP×100の%表示)。

 実質成長率  CPI    名目増加率

00   8.4    0.4    ―
01   8.3    0.7    10.5
02   9.1    -0.8    9.7
03   10.0    1.2    12.9
04   10.1    3.9    17.7
05   10.4    1.8    14.6
06   11.6    1.5    15.7
07   13.0    4.8    21.4
08   9.0    5.9    16.9
09   8.7    ?     11.5

こうなっているので、合わないような感じなんですよね。インフレ率は不正確、とか、統計調査そのものが全般的に不正確とか、そういうことなんでしょうか?
うーん、どうなんだろ。


実質額について、スタートの額が00年の9兆9214.6億元と仮定して、人民元ベースで01年以降の上記実質成長率で計算してみると、05年で15兆6739.3億元、09年でも23兆4404.3億元、ということにしかならないんですよね。名目値の33兆5353億元とは大幅にかけ離れており、公表されている33兆元超と比較すると、約69.9%でしかないわけです。つまり、約3割は底上げされた名目値なんじゃないのか、という話ですね。

よく世銀なんかの数値とかで、購買力平価というのもあるわけですが、確かに一部の大金持ちには該当しているのではないかと思えるが、本当にこんな程度なのだろうか、ということは思いますね。インフレ率が低い、というのも、香港、上海、北京などの大都市部でもそうなのかといえば、かなり違うように思えるからです。香港は香港ドルがあるから若干違いはあるが、それ以外で考えても、都市部の物価上昇率や賃金上昇率は数%などという水準ではないように思われる。

だとすると、名目GDPが大きいというのは、こうしたインフレ率による嵩上げの結果、というのと(物価上昇率が低く算出されている)、実質GDPは思いのほか小さく、中国全土での統計ということで、格差が大きいだけなのではないのか、という予想が否定できないのではないかな。
大都市部は、高いインフレ率と名目GDPを牽引する経済、しかし実情というのは実質GDPが低いままなのではないのか。全土に均等化してゆけば、それは確かに消費者物価の上昇率が低下する、ということになるのではないかなと。

因みに、実質額が23.4兆元程度であれば、6.83元のレートで計算した場合だと、3.432兆ドルにすぎないので、日本と比べてもかなり小さい経済、ということになると思うが(笑)。


以前に記事を書いた時にも、データを見て計算したと思うが、ネットで調べただけだったので、忘れた。
どうすれば、日本はデフレを脱却できるか?~その5

ただ、00年から08年とか09年という倍率を見ても、当方の予想数字で大体合っているような気がするけどね。平均で年率10%成長を続けたとしたって、やはり名目GDP値の増大の仕方はあまりにおかしい、ということは判るわけだから。

なので、嵩上げされた名目値だけを見ても、あまり意味はない。
実質GDPが23.44兆元に過ぎないのだとすると、円換算(1元=13.3円として)でも312兆円くらいに過ぎない。これは日本経済の大きさの約6割程度でしかない、ということである。ただ中国の場合には、日本と違って、極々少数の金持ちに富が集中している。それは、最も憎むべき共産主義の敵であるはずの、資本家階級の連中、ということである。共産党独裁国家の憂鬱は、まさにここにあるのだ。

本来打倒すべき資本主義の犬である大金持ちは、世界の長者番付のトップに並ぶほどであり、その人間がいることで中国経済の繁栄を支えているという皮肉である。
共産主義という欺瞞は、統制の為に用いられるだけであり、ごく一部の金持ちが特権を享受するという、中国では数千年前から繰り返されてきたことが、今もまさしく起こっているというだけに過ぎないのである。これが悲しいかな、現実なのだ。


まあ、政治的な話は別として、実質に目を向けるべきなのではないか、と改めて言っておきたい。



池尾教授の危惧に答える

2010年04月03日 15時01分35秒 | 経済関連
いや、そんなに自信があるとまでは言いませんし、どこぞの妄言吐き釣り師の如く豪語癖があるというほどでもないので、断定できたり確約するとまでは言いませんがね。

コレね>はてなブックマーク - デフレ脱却は信用できる確約か--池尾和人 : アゴラ

学者というのは、ド素人の考える程度のことを、まず自分の頭でよく考えて考察したりはしないものなのでしょうか?
まあよい。

長期的には、名目成長率と名目利子率の上昇程度がほぼ同じくらいになる、という可能性はあるのかもしれない。


第一に、インフレ率が上がると財政破綻を招く、という点について。池尾教授が言うには、インフレ率が上がると、名目利子率が上がるので
・利払費も増える
・税収増効果よりも返済負担の方が重くなる
ということで、結局は「国家財政破綻ー!!」と言いたいのかもしれない。


多分、そういうことを言い出す人がいるであろうことは私でも予想できたわけで、その点を回避するための対策は元から入れてある。

日本経済復興の処方箋~その3

この中で、税収増を図るべく対策を盛り込んでいる。
『①名目成長率が4%(とりあえず、この水準ということで)を達成したら、消費税を毎年1%ずつ引き上げ(乃至2年毎でも可)。引き上げ開始は、半年以上前に事前に予告。』

なので、税体系が一定ということを前提としているわけではない。これが第一点。



もう一つは、国債金利上昇抑制というブレーキの組み込みである。

続・岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

中央銀行が国債を買入する、ということで金利上昇を抑制可能とする、ということである。
以下のように書いた。

『中央銀行が買った国債はどうなるのか?
金庫で眠らせておけばいいだけなのでは。持ってる分には別に問題ないわけで。10年後に政府が金で払えるなら払えばいいだろうし、毎年一部は償却でもいい。20年後とか30年後にインフレ率が順調に経過しているのであれば、払えるはずです。政府はインフレ率がプラスになる間に利払いを確実に続けると共に、プライマリーバランスの黒字化をできるだけ早期に達成しておくことが必要になります。目標としては、大体5年程度、ということになるでしょうか。インフレ率が2%に上昇してくるということになると、これはかなり大変ではないかな、と思いますからね。1年では難しいだろうな、と。

この国債買入をどの時点までやるかというと、少なくとも2~3%くらいにコアコアCPIが到達するか、名目GDP成長率が4%以上を連続で達成できるようになり、名目GDPと実質GDPが完全に逆転するまでは行う、といったことを宣言しておく、というようなことですかね。』


なので、経済環境が安定的な姿となるまでは、そうした運営を続けるということである。よって、「名目利子率が上昇する」ということは起こることになるけれども、必ずしも返済負担が過重になって財政破綻を招く、ということにはならないようにできるであろう、というのが、私の基本的な考え方である。


したがって、税収を増やす方法は考えていること、第二に名目金利上昇を抑制する対策も入れてあること、これらを覆せる論点や対策の考えられていない論点を出してくるのが、プロの経済学者の役割なのではないかと思うが、いかがであろうか。むしろ、専門家とかいう立場の経済学者ですら「この程度かよ」、と落胆してしまうな。素人考え以上ではない、ということだからだ。


別な見方でも書いておく。
池尾教授は、「名目成長率と名目利子率が同率で上昇する」といった仮定を想定しているわけであるが、これが現実世界にどの程度適合しているのか、考えたことはあるのであろうか?日本では、どうなのか?近年では、そういう事実はあったか?

多分、これはあまり成り立っていないのではないかと思えるが。デフレだから、ということで特殊な環境下にあったからだ、といった主張はないわけではないだろうから、まあ、これはおいておく。


では、経済学でよく言われている、フィッシャー効果というのがあるはずであるが、これについてはどうなのだろうか?
少し前に、かなり酷い解説をしてくれていたこと(誤った説明がまかり通る経済学界)があったが、フィッシャー効果についての学界での共通認識というのはどうなのか?


期待インフレ率が上昇すると、名目利子率も同じく上昇してしまうので、実質利子率に変化はない、ということであるが、これは短期的には成立しているともいえないであろう。
更にいうと、どうしてこのような効果が発生するか、ということを経済学者といううのはよく考えているのだろうか?自分の主張のおかしいところは感じないのだろうか?
この効果は、基本的に貨幣需要関数がインフレ率に反映されていて、「物価水準は上昇」ということが起こってしまうからこそ、「実質利子率に変動はない」ということなんですよね?
これは簡単に言うと、マネーサプライを増やしたら増やした分だけ物価が上昇してしまう、ということだ。名目のマネー成長は、物価上昇率に反映されて(=インフレ)しまい、実質的には変動がないという仕組みが働いていますよ、ということだ。

これを肯定ないし支持しているのであれば、マネーを供給すればインフレになっている、ということじゃないの(笑)。自分の矛盾をどうして気付けないのか?
「マネーを増やしてもインフレにはできない」
とか、どの口で言ってるのか、ってことなんだわ。
マネー供給はインフレ率を上昇させない、ということであれば、物価水準が上昇しないということに賛成となるわけでしょう?
そうすると名目利子率の変動は、期待インフレ率の変動に一致するんですか?(笑)
期待インフレ率に近い変動を示す、というのであれば、マネーを増やせばインフレになるだろうね、ということを、どちらかといえば肯定するということになるんじゃありませんか、ということですわ。


まあ、かなり長い期間とかで見れば、ある程度は近い動きというものはあるだろう。物価が上がってくると中銀は金利引き上げを実行してくるわけで、そういう意味では似た動きになるだろうね、ということである。
名目GDP成長率は、物価水準の変動に影響されるから、そういう点では金利上昇とは似た感じだろうな、と。けれど、変動率が一致するかどうか、というのは、また別問題なのではないかと思えるが。そういう実証分析をたくさん見てみないと、何とも判らないのではないか。かつての、竹中時代の所謂「神学論争」と呼ばれたテーマでもあるので、そう簡単には結論は出せないのではないかな。


池尾教授が本物の学者であると言うならば、そういうことを明らかにするべきであるし、期待インフレ率の変動率は、名目利子率の変動率に一致する、とかいう命題を検証することなんじゃないのか。

それにだな、財務省の予測がデマだとまでは言わないが、政府には売れるものもあるわけだから、例えば郵政株の上場とかで返済に回せばいいんじゃないの?財務省管轄で売れるものは残されているはずだから、そういうのもきちんとしたらいいんじゃないか?
だよな?>理財局



一般政府のプライマリーバランスは、対名目GDP比で、以下の通りだ。


年度  (%)

98  -10.3
99  -6.4
00  -5.4
01  -5.4
02  -6.9
03  -6.3
04  -4.4
05  -5.4
06  -0.4
07  -2.3
08  -2.1


03年以降には、名目GDP成長率がプラスになっている。08年は大幅なマイナスを記録してはいたが。名目成長率だけの話ではなく、各種保険料値上がりとか、定率減税廃止といった収入面での改善効果というのもあるかもしれないし、地方政府の頑張りというのもあるだろう。なので、一概には言えない。
ただ、最低限の条件として、名目成長率がプラスであるのは当然であり、4%程度は達成できないと根本的にダメだろう、という話である。



日銀の卑怯な情報操作戦術?

2010年04月02日 13時28分54秒 | 経済関連
遂に日銀も、ここまで堕ちたか。

こういう誤信を誘うようなやり口というのは、日銀サイドの「我々は正しい」という自己正当化を目論む連中の考えそうなことではある(笑)。なんて姑息な連中なんだ。

5年後の物価見通しはプラス2%で変わらず=日銀生活意識アンケート | ビジネスニュース | Reuters
(一部引用、『』で示す)

『5年後の物価は現在と比べ、毎年平均何%程度変化すると予想するかとの質問に対する回答が、中央値でプラス2%となり、前回の12月調査から変化がなかったことが分かった。
また1年後の物価についても0.0%となり、前回と同じ予想となった。中長期的物価見通しについて日銀では「大きな動きは出ていない」の見方を示した。』

よくもまあ、こんなことを言えたもんだ。一見すると、事実だけを書いているかのように見せかける記事ではある。たしかに、嘘を書いているわけではないし、数字も真実だからね。そこがまた、巧妙な罠なんだよ。いかに汚いやり口か、ということだな(参考記事)。

日銀サイドは、こういう手口を使ってくる、報道にも影響力を持っている姑息な組織なのだ、ということは、よく憶えておくべきだろうね。

誠実な本物のプロなら、こういう言い方はしない。どうしてかといえば、多分誤解を与えるであろうな、ということを事前に知っているからである。そして、脳みそがウニでもない限りは「ひっかかるだろう」ということを十分知っていながらにして、正確に言わないようにするという、その根性とやり口が本物の卑怯者の証なのである。こういうのは、以前から幾度も見てきたであろう?

都合よくデータを取り出してきて、正当化しようとするという腐った根性は、そういう連中に共通していて、極めて似ているんだな。小賢しいやり方で大衆を誘導しようとするのだ。

その良い例がこれだ>貸金業法改正を全ての原因にする人々

どうだ?ソックリでしょう?


さて、日銀の話に戻ろう。
このアンケートだが、以前から実感と実際に出される数値の乖離はある、ということについて記事をいくつか書いてきた。

07年1月>「貧乏バイアス」の存在を疑う(笑)

08年5月>家計別の物価上昇率の話

なので、別に庶民の実感を調べるというのが悪いということではなくて、上昇とか下降トレンドを見るということや、総合的に判断する時の参考としては役立つと思いますけれども、数値の正確性とかを期待するのは難しいかもしれない。むしろ実測値との乖離を事後的に判定できるから、実感から得られる予測式なんかを開発して、今後に役立てるというのなら意味はあるかもしれない。
だが、生データを持ってきて、極めて短い特定期間のデータだけを取り出してきて「何かを言う」というのは、本当の不誠実というものだ。学術的な態度とか、論理的・科学的であろうとする姿勢とは、全くかけ離れている。そういうことを用いている当人が十分「判っていながら」、それでもなお意図的にそういう手口を使ってくるという点が、許せない態度なのである。

これが、未熟な学生さんが知らずにやってしまった、とかなら、まあそういう間違いもあるだろうね、ということで気をつけようね、で済まされるが、日銀のような権威機関がやるというのは、平たくいえば「国民を騙す、欺こうとする」というのと何ら変わりがない、ということだ。いつからそんな腐れ根性になったんだ?

既に(経済学という)学問を棄てた、或いは、事実に基づくとか論理的であろうとするというのを棄てた、ということなのさ。それは、職業人としての魂を売ったに等しい。だから言ったろ?「専門家としての倫理を失ってる」、って(日銀の無能は証明された


実際のデータを挙げておく。
出典は、日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」である。
まず、一つ目の数字が「現在の物価と1年前の水準」の比較、右隣りは5年後の予想する物価見通しである。それぞれ平均値とカッコ内に中央値を示している。17年度途中くらいまでは、極端な値としてカットオフ水準を上下1%として、このデータを除外していたが、それ以降はこれを0.5%に変更されている(1%からの変更年度はちょっと間違ってるかも、間違いだったらゴメンなさい)。

16/3   -0.3(0.0)  1.7(0.2)
 /6   0.2(0.0)  1.9(1.0)
 /9   0.2(0.0)  1.6(0.5)
 /12   0.3(0.0)  2.1(1.0)
17/3   0.7(0.2)  1.8(0.5)
 /6   0.8(0.0)  1.9(1.0)
 /9   ―(-)   ―(-)
 /12   0.8(0.0)  2.4(1.0)
18/3   1.2(0.0)  2.3(1.0)
 /6   3.6(1.5)  5.2(3.0)
 /9   4.2(2.0)  5.0(3.0)
 /12   2.9(0.5)  4.2(2.5)
19/3   2.3(0.0)  4.0(2.0)
 /6   3.7(2.0)  4.7(3.0)
 /9   4.3(3.0)  4.7(3.0)
 /12   6.3(5.0)  6.0(4.0)
20/3   7.6(5.0)  5.9(3.0)
 /6   10.2(10.0)  6.9(5.0)
 /9   12.4(10.0)  6.5(5.0)
 /12   10.2(10.0)  5.6(3.0)
21/3   6.4(5.0)  3.8(2.0)
 /6   3.5(1.0)  3.4(2.0)
 /9   3.6(0.1)  3.9(0.1)
 /12   0.2(0.0)  3.5(2.0)
22/3   -0.6(0.0)  3.0(2.0)


日銀の説明というのは、21年12月の数値と22年3月の数値のみを比較して、

 「前回と同じ」=中長期的物価見通しに大きな動きは出ていない

という結論をいきなり言ってるのだ。こんな出まかせが許されると思うか?
たった数カ月前の回答が一致しているから、というだけで、中長期的な予測がどうこうと言えるなんてことがあると思うか?ふざけるんじゃないよ。


物価が上がった、という実感が強まったのは08年であり、特にリーマンショック前だった。体感の上昇率は何と10%超えである。実際には3%にも達しない水準なのに、だ。
また、物価上昇は悪い、という固定観念が植え付けられているだけであり、その質問の前に「多くの場合、あなたの賃金は下がり、経済活動を停滞させ、国の借金を増やします」とつけておいて、それでも物価上昇は悪いことですか、と尋ねるべきだろう(笑)。
自分の取り分(収入)が変わらないなら、という暗黙の前提の下に、物価が上がるのはどうかと尋ねたら、それは「イヤだよ」と答えるに決まっているでしょうが。コンビニのレジで順番待ちをしている時に、商品が一斉に2円値上がりしますがいいですか、と聞いた場合と、逆に2円値下がりしますがいいですか、と聞いた場合では、答えが違うに決まっているでしょう。一斉に2円値下がりしても、自分の財布の中の金額が減るわけではないから、だ。たぶん、そういう感覚で答えているんだろうな、という推測はできるでしょうよ。

しかし、現実の経済活動においては、世の中の物価が一斉に下がると、回りまわって自分の財布に入ってくるお金も一緒に減ってしまいます、ということであり、それでもいいですか、と聞くべきなんじゃないのか。


いずれにせよ、このアンケートは以前から体感とか将来予測は外れていることが多いし、過去の予想と実際の結果とは乖離があることくらい直ぐに判るはずでしょう。なのに、21年12月予測の「2.0%」と、22年3月の「2.0%」が一致していた、ということだけを取り出してきて、一体何をいうつもりなのか、ということですわ。こんなの、どう説明をつけようと、ほぼウソっぱちに決まっておろうが。

やつらは、こうした一般人のアンケートを
・専門家じゃない一般人の予測などあてにはならない
・我々は大衆の要望に応えているだけに過ぎない
ということを言うために用いているようなものだろ。

日銀の、未熟さと無能さを隠すために、「他人のせい」にしようとしているだけなんだよ、彼らは。そういうのは、専門家とは言わない。

少なくとも、本当の専門家であるなら、ド素人であるオレの考えそうなことは網羅しているはずだし、その結末も答えられるはずだし、オレ以下の思考力なんてことがあろうはずがない。もしその程度であるなら、本当に終わりなんですって。そんな奴らならば、席を代われ、って言いたくもなるわけですよ。
そうじゃないんだったら、出鱈目を並べてないで、口先だけじゃない、結果を出してみろ、って言ってるんだよ。そうすると、日銀は万能じゃない、やれることとやれないことがある、って、アホか?

要するに、やりたくない、できない、責任感ゼロ、ということなんだろ?
だったら、消えてくれって言ってるんだろ。

そういう奴らは要らない。邪魔なだけだ。





続・岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

2010年04月01日 15時52分23秒 | 経済関連
前の記事の続きです。

非難ばかりしてもしょうがないので、現実にはどういう手法をとるのか、ということについて書いておきたい。


中央銀行のバランスシート拡張により、状態を変更してゆく、ということが必要になる。
あくまで例示であるが、以下のようなことである。


○初期状態
 《資産》     《負債》
国債  50    銀行券  70
貸付金 40    当座預金 15
その他 10    資本   15


○拡張状態
 《資産》     《負債》
国債  150    銀行券  170
貸付金 40    当座預金 15
その他 10    資本   15


初期状態では資産と負債がそれぞれ100で釣り合っている状態、下の拡張状態は倍の200です。下の状況になっていても、一応銀行券ルールには抵触していません。ルールは守られている、ということです。更に、世の中全部にこの銀行券が回っているかというと、そうとは限りません。日銀の大金庫に積まれているだけかもしれません。この金が人々の財布の中にある必然性というのはないのです。資産と負債が釣り合えば、それでいいということなのです。
これが「銀行券を発行せよ、増やせ」ということの意味です。
(岩本教授なんかには、そういうことが考えられないんだろうなと思いますね。何となくでも、イメージというものが欠如しているんですよ。それは、自分が実務家になった状態、というのを、思い浮かべられないからなんだろうと思うんですよ。)


では、実際にどうやっていくか?
本当に素人考えで申し訳ないですが、私の個人的考え方を書いておきます。

まず、日銀は銀行券発行残高を金庫内でもどこでも(帳簿上でも?)いいので増加させます。その額を徐々に増やしつつ、国債を買ってゆきます。10年債でいいでしょう。市場に出回っている10年債を他の民間金融機関などと競合して買ってゆくというわけです。ゆうちょ銀行なんかに買わせてはいけません。

そうすると、どうなるか?
10年債の需給はタイトになり、価格上昇=金利低下、ということが起こります。銀行などは、そんなに値上がりした国債を買えば、ゆくゆくは下落(=金利上昇)するんじゃないか、と考えるようになるでしょう。
どの水準まで買うとそうなるか、というのは判りません。が、買い進めると、指標金利がかつての0.5%とかのかなり低い水準にまで低下するかもしれませんね。これに乗じて持ってる10年債を売る銀行などがあるかもしれませんが、そうすると、キャッシュに置き換わってしまいますから、それは別な何かに投資しないと預金者に利払いをするのが苦しくなりますよね。その振り向け先を「貸出」や「社債」などに向かうようになれば、世の中全体に金が回るようになってゆくということになるかと思います。0.5%の国債を持つくらいなら、1.5%で貸した方がマシだ、というようなことです。


更に、政府としては、10年債が品薄になってきているのと歩調を合わせて、30年債を発行します。すると、発行条件は有利になるはずです。今でさえ2.3%とかですから、もっと下がるかもしれません。何故なら、10年債が中央銀行に買い進まれてしまっているので、価格の高い10年債に投資するよりは30年債を購入しよう、という動機が生じるのではないか、ということです。

そうすると、政府が30年債を発行しても、市場で引受余地を生じさせることは不可能ではないのではないか、と考えます。で、仮に、この発行額規模を100兆円としますと、政府は市場で消化できることになるわけです。あまりに発行額が増加すると金利上昇(価格低下)を招く可能性があるので、これも中央銀行が市場から買入を並行して行いながら、新発を継続してゆく、ということになるでしょうか。

つまり、中央銀行が国債買入を行うのは、こうした誘導を行う為に他なりません。この買入余地を拡張するには、発行銀行券残高が必要になる、ということです。では、政府はこの国債発行後にどうするかといえば、有効な利用方法を考えて行うべき、ということになります。

こうした買入を金利低下が継続するまでやり続けるということになるかと思います。世の中全体に資金が回るようになると、投資促進効果は生じるし、指標金利が上昇してくるな、という市場の状況になってくると、すかさず中央銀行が国債を買い増ししてくるとなれば、ある水準以上には金利が跳ね上がらない、という状況を継続できるはずです。そうすると、いずれは金利が上がるかもしれないが、当面は上がらないだろう、という予想をもとに行動しようとしますから、借入需要は増加するかもしれませんよね。

で、経済活動が旺盛になっていけば、インフレ率はいずれプラス転化するだろうし、3%、4%、と上がってゆくかもしれません。そういう局面になったならば、金利引き上げという金融政策発動を事前に約束しておけば、そのようになるであろう、と思います。いずれにせよ、少しくらいインフレ率が上がろうとも直ぐには引き締めない、という姿勢を事前に示すことが必要でしょう。


中央銀行が買った国債はどうなるのか?
金庫で眠らせておけばいいだけなのでは。持ってる分には別に問題ないわけで。10年後に政府が金で払えるなら払えばいいだろうし、毎年一部は償却でもいい。20年後とか30年後にインフレ率が順調に経過しているのであれば、払えるはずです。政府はインフレ率がプラスになる間に利払いを確実に続けると共に、プライマリーバランスの黒字化をできるだけ早期に達成しておくことが必要になります。目標としては、大体5年程度、ということになるでしょうか。インフレ率が2%に上昇してくるということになると、これはかなり大変ではないかな、と思いますからね。1年では難しいだろうな、と。

この国債買入をどの時点までやるかというと、少なくとも2~3%くらいにコアコアCPIが到達するか、名目GDP成長率が4%以上を連続で達成できるようになり、名目GDPと実質GDPが完全に逆転するまでは行う、といったことを宣言しておく、というようなことですかね。

最初のきっかけさえ与えれば、ある時点からは金利上昇が来そうだ、という時だけ買い出動でよくなるんじゃないかな、と思います。まずは、プラス圏に行くまで思い切って量を投入しないと、デフレを脱出するのはかなり困難であろうと思いますね。あれだ、宇宙へ飛び出す脱出速度みたいなもので、そこに到達しない限りは引き戻されてしまう、というようなことと似てるかも。



それから、以前に「改めて書く」とか言っておいたままになっていたんですが、補足という意味も含めて、貸出が増加しない、ということなんかも触れておきたいと思います。


まず、銀行の貸出額は減少した。これにはいくつかの側面があると思うが、
・銀行が不良債権化を恐れて回収(所謂『貸し剥がし』)
・企業は負債圧縮に努めた(過剰債務の事後処理という面も)

といったことがあったでしょう。
他には、自営業者の減少(=企業勤務希望が増加?)、新規起業創業の減少、などもあったでしょうか。

一方では、企業の直接調達の増加ということがあるかと思います。間接金融から直接金融へ、という流れがあった。それは、メインバンク制度の弛緩、財閥等グループや系列の解体、なんかも影響していたかもしれません。
そうなると、株式や社債による資金調達が増加したわけです。新規上場による資金集めは今世紀以降盛んにはなりましたが、胡散臭い「ベンチャー」バブルみたいな部分もあったでしょう(功罪両面で、かと)。

なので、貸出は減少した、ということです。企業負債は減少し、貯蓄率は家計が大幅な減少率を記録する中で企業貯蓄率は増大を続けました。これが、企業の「手元資金増大」ということで、銀行預金に戻っているというようなことですかね。企業が投資しなければ、資金需要が増大しない、ということを生んでいるわけです。企業はかつての恐怖がありますから、そう簡単には投資に金を出せない。今回のショックでも、やっぱり手持ちの金が大事だなということは実感したでしょうし。

なので、借り手というのは、昔に比べると減っている、ということだろうな、と。



別な面は、政府系の問題です。
一つは、特殊法人改革とか、財投改革です。

陰謀かどうかは判りませんが(笑)、根本的には「日本の国債がこんなに少ないというのはオカシイんじゃないか?」という、米国の「借金漬け大国基準」による難癖みたいな面があったのでは?(実際、そう言われたかどうか、判りません)
だって、経済規模では米国に次ぐのに、こんなに借金が少ないわけがない、というのを思ったんだろうと思いますね。米国は赤字が酷いのに、なんで日本政府はこんなに借金が少ないんだ、ということで。つまり、『国債発行額が少なすぎる』ということなんですね。

で、どうなったか?
米国側の思惑としては、当然「債券取引」という超ビッグでオイシイ”狩場”を求めていたわけですよ。それには、日本の国債発行額が少ないのを変えろ、と、どつかれたわけなんです。護送船団方式で国債を協調的に購入したり割当消化をしているのが元凶で悪いんだ、と、往復ビンタされたりしたんですよ。

そうして、日本の借金システムの徹底研究をされたわけです。すると、預託金制度という、恐るべき「隠れ借金システム」が判明した、ということです。この制度は、国債には現れないのに、政府が借りているというもので、郵政で集めたお金が政府系の道路公団をはじめ、種々の特殊法人に貸し出されているものだった。こういうのを、「債券化しろ」と強硬に要求されたということなんですね。

そう、時代は、「債券化」ということだったんですよ。
海の向こうでは、債券化技術を用いてサブプライムローンみたいなものの商品開発が進んでいましたから、日本のウブな銀行等金融機関なんていい餌食、ということなんでは。 
そうして、国の審議会だのといったレベルでも、債券化というのを推進せよ、ということだったんでしょう。これもまた、銀行借り入れを減少させる一因となっていったのではないかな、と(逆に、社債投資を銀行が行うことで個別貸出をしなくてもいい、ということもあるかな)。

この債券化業務というのは、受託でも儲かる、取引でも儲かる、ということで、喜ばれたわけでなんです。これが、かつての預託金から、国債・財投債・財投機関債等へと置き換わっていった、ということです。良い面というのもちょっとあって、日本政府の借金が、昔だと大蔵とかの特殊な人たちにしか判らなかったものだったのが、今度は誰でも見て判り易くなった、ということですかね。

なので、元からあった借金は国債に振り替えられたりした部分があって、これが銀行の資金逃避先となってしまった、ということですね。借入先を探すよりは、楽だから、ということはあります。
増加してくる国債、貸出先の減少、そういう変化があったが故の、銀行等金融機関は毎年国債の持ち高を増やしてきた、ということなんですね。実際、郵貯の預託金は国債に置き換わってしまいましたから。もう一つが、この郵政改革だった、ということです。



まあ、要するに金融危機などのショックによって、金を使う主体というのが政府だけに大きく偏ってしまい、企業は金のかき集めに必死になった、家計は減少する収入に抵抗できず使わなくなった、ということです。その結果、国債発行は増加し債券の供給が増える、銀行は貸出先がないので国債投資を増やす、民間大企業や大銀行は家計から収入を奪ってキャッシュを増やす、企業借入(銀行融資、社債の合計残高)を減らす、ということが継続してきたということですかね。


銀行は国債投資を行うのは、それでもプラスになってしまうから、でしょう。だったら、国債そのものを高価なもの=金利低下、ということにしない限りは、銀行から国債を引き剥がすことなどできないのではありませんか、ということです。
その引き剥がしをやるのが、中央銀行の役割でしょう、と言っているわけですよ。銀行が投資対象を求めるのに、たとえば金利5%より1%であれば探しやすいはずでしょう、と。


銀行等の国債持ち高が減少してゆく過程で、インフレ率が上がってゆく、ということが起こるわけですから、金利上昇=国債評価額下落ということであっても、貸出利息の利益率の方が大きければ問題ないはずだ、というのが、私の推測です。




岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

2010年04月01日 13時01分49秒 | 経済関連
これは、エイプリル・フールだからでしょうか?
「バーナンキの背理法」を信じると,こう騙される - 岩本康志のブログ - Yahoo!ブログ

本当に不思議。東大の経済学教授って、小学校の算数程度のことを考えることができないんでしょうか?
はっきり言って、これまでの人生をどうやって生きてきたのかな、と本当に疑問に思えてきますよね。根本的に、架空の世界の、お伽話みたいなことしか想像できないんでしょうか?まず、こういう輩は、日々商店などで”実務”をみっちり叩き込んでもらわねば、経済の実質というものについてきちんと理解できないんじゃないのか?

普通に考えたら判りそうなことを、どうしてこう「誤った屁理屈」を、わざと小難しくもっともらしく言うのかな、と思いますよね。


実際の簡単な例で考えてみることにしょう。
ある社会があって、経済活動は一定に行われているとしよう。で、政府収入は全て消費税で、社会全体の経済は実質が不変なので一定の収入が毎年確保されているとする。ここでは、この政府収入を100としよう。更に、国債発行によって、借金を50するものとする。発行条件は、30年債で表面利率は3%とする。つまりは、元本部分50で利払いは毎期1.5ということである。

この社会は、状態が異なる瓜二つの世界があって、一つは定常的にインフレ率が「4%」という世界と、インフレ率が「-1.2%」という世界である。それぞれがどうなっていくかを考えてみよう。10年後、20年後、30年後というのを想定してみる。

《インフレ率4%の場合》

    収入  金利負担率  元本比率
最初   100    1.5    50
10年目  142.3  1.05   35.1
20年目  210.7  0.71   23.7
30年目  311.9  0.48   16.0


《インフレ率-1.2%の場合》

    収入  金利負担率  元本比率
最初   100    1.5    50
10年目  89.7   1.67   55.7
20年目  79.5   1.89   62.9
30年目  70.5   2.13   71.0

※収入に対する利払費1.5の比率(%)、及び元本部分50の比率(%)


つまり、下のデフレ社会であれば、借金の返済負担は重くなる。利払い負担も、元本償還の返済も苦しい、ということは当然である。


現在であると、おおよそ30年債の表面利率が2.3%と低くなっており、こういう時に多く発行した方が、将来のインフレ予測があるとしても金利負担軽減には有利になる可能性はある。30年債ではなく、10年債の借り換えを続けて、30年目に元本部分を返済するとしても、デフレの方が大変厳しい、ということになる。たとえ利払い費をデフレの方が3%から引き下げた(対収入比で1.5%に保たれるようにする*1)としても、当然に返済は苦しいに決まっているのである。それは、最初の借入額はデフレだからと言って減ったりはしないから、である。収入が90とか80に減っている中から50返済するわけだから、大変になるに決まっている(笑)。騙されている、とか言う以前の問題である。

*1:10年目で表面利率は約2.691%、20年目で2.385%で3%から僅かに低下する

利払費は10年で15であり、元本に比べると影響は小さい。30年だと45になるが、インフレ率のプラスで収入増効果の方が圧倒的に大きい。なので、元本50を償還するのは、さほど苦にはならない。毎年一定額の借り換えとか償還を定常的にやっていけば、インフレ率の増大で新規発行の国債表面利率が上昇するので、あまり効果が得られにくい、ということはあるかもしれない。

だとすると、社会の一般常識と同様の行動を取れば済むだけである。

「金利の低い時に多く借り入れ、高くなれば借りないようにする」

という当たり前の選択をすればいいだけではないか。すなわち、たった今、長期国債をできるだけ発行し、将来の金利上昇局面には発行をできるだけ抑制した方がいいに決まっているではないか。普通の人たちだって、住宅ローンにしても、金利が下がれば購入することが多くなるでしょう?


大体、『「政策がとられなくてもやがてインフレになる」状況』なんて岩本教授は言ってるが、やがて、というのが10年後とか20年後ではアホじゃないのか、ってことですな。

そんなこと言うなら、日銀みたいな無能集団の存在なんて、何の意味があると?
「いずれインフレ率が低下する状況」というのが想定されれば、何も政策なんていらないんだろ?(笑)放置しても、いずれは収まるから、金利引き上げなんかの金融政策なんて必要ないじゃないの。だったら、奴らに無駄飯を食わせる為に飼ってるようなもんだろ。


東大のご立派な学者さんが、日銀の連中に言ってやれよ。

政策が取られなくてもやがてデフレになる状況、だの、政策が取られなくてもやがて低インフレになる状況、ってのは、お前らの政策を必要としない、ってな。

余計なことすんな、ってお仕置きしてやって下さいよ、本当に。