じんましんの患者さんに対して、
私はまず西洋医学の抗アレルギー薬を処方します。
今ひとつの場合は倍量投与するか、変更します。
抗アレルギー薬はたくさんあるのでよりどりみどり。
近年は、「眠気がなく効果が強いもの」が人気です。
なので、漢方薬の出番はあまりありません。
ただ、長期にわたり抗アレルギー薬を飲み続けている慢性じんま疹患者さんや、
他の基礎疾患で服用している薬との飲み合わせが悪く抗アレルギー薬を使えない患者さんに対しては、
希望があれば漢方薬を処方してきました。
私が処方したことのある漢方薬は、
十味敗毒湯(6)
茵蔯五苓散(117)
の2択。
今回、谷川聖明Dr.のミニレクチャーが参考になったので、
メモしておきます。
まずは“陰陽・虚実”による使い分け。
谷川聖明Dr.定番の座標にすると、
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(ツムラ:MEDICAL SITE より)
となり、
あれ? 全部“陽実”に入っている・・・
まあ、体力の強さで、
大柴胡湯(8)>葛根湯(1)>十味敗毒湯(6)
と区別はできますが、これだと使い分けが今ひとつ不明瞭。
次に“表裏”による使い分け解説が出てきました。
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(ツムラ:MEDICAL SITE より)
うん、これはわかりやすい。
発症からの病期(phase)により使い分ける方法です;
急性期 :葛根湯(1)
亜急性期:十味敗毒湯(6)
慢性期 :大柴胡湯(8)
さらに、使い分けのポイントを列挙し一覧表にまとめています。
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(ツムラ:MEDICAL SITE より)
「陰陽虚実」「皮膚症状(発赤・腫脹・かゆみ)」「特徴」「胸脇苦満」「病期」等々。
この表が頭に入っていれば、使い分けできそうです。
でも、じんましんに使用する漢方薬の定番である、
茵蔯五苓散(117)と茵陳蒿湯(135)が出てきませんねえ。
<本ブログ内の参考記事>
(2017.11.30)茵蔯五苓散・茵蔯蒿湯はじんましんに有効か?
(2017.11.25)蕁麻疹に使う漢方を整理してみました。
(2017.9.21)小児アトピー性皮膚炎に「十味敗毒湯」は有効か?