セミナー後半です。
こちらの方が私の頭には入りやすく感じました。
ポイントは「邪を中心とする中医学 vs 生体現象を中心とする日本漢方」。
聴講して気になったところをメモ。
□ 加島Dr.による漢方診断チャート
(受験生の時に使った参考書「チャート式○○○」になぞらえたと言ってました)
【全身状態】 【病態の位置】 【病態の情勢】 【病態の性質】
<八綱> 陽 表 実 熱
陰 裏 虚 寒
<病因病邪> 外邪:六淫外邪
内邪:気滞、瘀血、痰飲、食積
<気血津液> 気・血・津液の停滞と不足
<臓腑> 五臓六腑
□ 日本漢方の“水”と中医学の“津液”
(水)疾患の分類概念で、サブカテゴリーは水毒(水滞)しかない。
湯本求真の『皇漢医学』(1926)の三毒説(食毒・水毒・瘀血)に由来する。吉益南涯の気血水説とは無関係。
(津液)身体の構成要素としての血以外の水分の総称。津液不足・陰虚、湿、痰飲などの病因・病態概念が存在。気血と並ぶ基本概念になったのは『漢方診療の実際』(第二版、1954年)の影響が指摘されている。
□ 津液の病態
(津液不足)津液が不足している状態
症状:のどの渇きなどの乾燥症状
生薬:麦門冬、知母
処方:麦門冬湯、白虎加人参湯
(陰虚)津液の不足の一形態
症状:手足のほてり、組織の萎縮、
所見:脈細、舌の裂紋
生薬:地黄、ゴミシ、山茱萸
処方:六味丸
(水湿内停)津液の停滞
症状:のどの渇きがあるが、むくむ。
所見:舌水滑
生薬:茯苓、沢瀉、猪苓
処方:五苓散
(湿)津液の停滞に伴い質的変化が始まり、津液・気の停滞をつくる
症状:重酸感、口が粘る、軟便、食思低下、帯下
所見:舌苔厚、脈滑
生薬:茯苓、蒼朮、厚朴
処方:平胃散
(痰)失を背景に生成される病理産物。他の精気の阻害をする。
症状:めまい、麻痺、知覚低下、胸痛、喀痰
所見:脈滑、舌苔膩
生薬:半夏、貝母、栝楼仁
処方:二陳湯、小陥胸湯
□ 『医心方』(丹波康頼、984年)
※ 丹波哲郎の祖先です。
・現存する最古の日本の医学書で、六朝・隋・唐の医学書を集大成した内容。直接引用は百数十書にのぼる。
・理論的部分を多くは簡略化しているのが特徴。
□ 曲直瀬流(後世派):“察証弁治”
・現在の弁証論治とほぼ同義。
・病態と症候、薬物がシステマティックに対応するような工夫が認められる(『出証配剤』)。
・日本に於いて18世紀中期まで医学界を席巻した。
□ “出証配剤”にみる曲直瀬道三の臨床システム
・病門を病態分類
・病態毎に指標症状・脈証などの症候を明示
・病態毎に対応する方剤および加減方を明示する
□ 吉益東洞の医学説
・医学における理論を否定〜一切の伝統医学理論の否定、および医学における理論性の否定を試みる“医の法たるや方のみ”。
・万病一毒説:すべての疾患は分類不可の“毒”によって発症。腹診は毒の局在の確認をするもの。
・補薬の否定:補薬という概念はなく、すべての薬剤は“毒”を駆逐するための“毒薬”と規定。薬効も症候と毒の局在に応じて使用する。
・代表著作:『類聚方』『薬徴』『建珠録』『医事或問』
□ 吉益東洞の医学・吉益東洞以降の医学
(症状・症候)→ (“毒”というブラックボックス)→ 処方
ブラックボックスに分類項目を挿入した。
(症状・症候)→ (気血水・六病位・口訣・・・)→ 処方
中医概念と類似の名をしているが症状は共有するが、病態生理は論じず、症候論文類となっている。
□ 頭痛と五苓散
・「慢性頭痛の臨床疫学研究と移動性低気圧に関する考察-五苓散有効例と無効例の症例対照研究-」灰本元(Fuito 1999;1:8-15):「雨の前日に悪化する」ずつに五苓散が有効であるオッズ比は16.3で唯一の相関を示したという東京女子医大の研究。
★ 雨の前の日の片頭痛に対する五苓散の使用法:
・頭痛が始まりそうになったら五苓散を1包内服
・少し調子が良いがまだ効果が不十分であれば、15分ごとに追加で1包ずつ内服
・次から症状が出そうになったら、必要量の半分の五苓散を一気に内服
こちらの方が私の頭には入りやすく感じました。
ポイントは「邪を中心とする中医学 vs 生体現象を中心とする日本漢方」。
聴講して気になったところをメモ。
□ 加島Dr.による漢方診断チャート
(受験生の時に使った参考書「チャート式○○○」になぞらえたと言ってました)
【全身状態】 【病態の位置】 【病態の情勢】 【病態の性質】
<八綱> 陽 表 実 熱
陰 裏 虚 寒
<病因病邪> 外邪:六淫外邪
内邪:気滞、瘀血、痰飲、食積
<気血津液> 気・血・津液の停滞と不足
<臓腑> 五臓六腑
□ 日本漢方の“水”と中医学の“津液”
(水)疾患の分類概念で、サブカテゴリーは水毒(水滞)しかない。
湯本求真の『皇漢医学』(1926)の三毒説(食毒・水毒・瘀血)に由来する。吉益南涯の気血水説とは無関係。
(津液)身体の構成要素としての血以外の水分の総称。津液不足・陰虚、湿、痰飲などの病因・病態概念が存在。気血と並ぶ基本概念になったのは『漢方診療の実際』(第二版、1954年)の影響が指摘されている。
□ 津液の病態
(津液不足)津液が不足している状態
症状:のどの渇きなどの乾燥症状
生薬:麦門冬、知母
処方:麦門冬湯、白虎加人参湯
(陰虚)津液の不足の一形態
症状:手足のほてり、組織の萎縮、
所見:脈細、舌の裂紋
生薬:地黄、ゴミシ、山茱萸
処方:六味丸
(水湿内停)津液の停滞
症状:のどの渇きがあるが、むくむ。
所見:舌水滑
生薬:茯苓、沢瀉、猪苓
処方:五苓散
(湿)津液の停滞に伴い質的変化が始まり、津液・気の停滞をつくる
症状:重酸感、口が粘る、軟便、食思低下、帯下
所見:舌苔厚、脈滑
生薬:茯苓、蒼朮、厚朴
処方:平胃散
(痰)失を背景に生成される病理産物。他の精気の阻害をする。
症状:めまい、麻痺、知覚低下、胸痛、喀痰
所見:脈滑、舌苔膩
生薬:半夏、貝母、栝楼仁
処方:二陳湯、小陥胸湯
□ 『医心方』(丹波康頼、984年)
※ 丹波哲郎の祖先です。
・現存する最古の日本の医学書で、六朝・隋・唐の医学書を集大成した内容。直接引用は百数十書にのぼる。
・理論的部分を多くは簡略化しているのが特徴。
□ 曲直瀬流(後世派):“察証弁治”
・現在の弁証論治とほぼ同義。
・病態と症候、薬物がシステマティックに対応するような工夫が認められる(『出証配剤』)。
・日本に於いて18世紀中期まで医学界を席巻した。
□ “出証配剤”にみる曲直瀬道三の臨床システム
・病門を病態分類
・病態毎に指標症状・脈証などの症候を明示
・病態毎に対応する方剤および加減方を明示する
□ 吉益東洞の医学説
・医学における理論を否定〜一切の伝統医学理論の否定、および医学における理論性の否定を試みる“医の法たるや方のみ”。
・万病一毒説:すべての疾患は分類不可の“毒”によって発症。腹診は毒の局在の確認をするもの。
・補薬の否定:補薬という概念はなく、すべての薬剤は“毒”を駆逐するための“毒薬”と規定。薬効も症候と毒の局在に応じて使用する。
・代表著作:『類聚方』『薬徴』『建珠録』『医事或問』
□ 吉益東洞の医学・吉益東洞以降の医学
(症状・症候)→ (“毒”というブラックボックス)→ 処方
ブラックボックスに分類項目を挿入した。
(症状・症候)→ (気血水・六病位・口訣・・・)→ 処方
中医概念と類似の名をしているが症状は共有するが、病態生理は論じず、症候論文類となっている。
□ 頭痛と五苓散
・「慢性頭痛の臨床疫学研究と移動性低気圧に関する考察-五苓散有効例と無効例の症例対照研究-」灰本元(Fuito 1999;1:8-15):「雨の前日に悪化する」ずつに五苓散が有効であるオッズ比は16.3で唯一の相関を示したという東京女子医大の研究。
★ 雨の前の日の片頭痛に対する五苓散の使用法:
・頭痛が始まりそうになったら五苓散を1包内服
・少し調子が良いがまだ効果が不十分であれば、15分ごとに追加で1包ずつ内服
・次から症状が出そうになったら、必要量の半分の五苓散を一気に内服