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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

バリ山行 - 松永K三蔵 (文藝春秋2024年9月号)

2024-09-01 05:31:49 | 読書メモ

2025年上半期の芥川賞の2作品め。

山登りの話。道なき道を進むバリ山行を趣味とする妻鹿さんと、妻鹿さんに魅かれる悩めるサラリーマンの波多さんの物語。山小説とサラリーマン小説がミックスされたような作品でした。

特筆すべきは文章の読みやすさ。人間関係、山の中の自然の描写、すんなりと頭に入ってきました。

作者が初めて小説を読んだのは中2のときで、親から与えられたドストエフスキーの「罪と罰」だそうです。この本に衝撃を受け、を読み終わったときから、自分の罪と罰、を書きたいと思ったとあります。

初出は、群像の2024年3月号。

平野啓一郎は、この作品を推していました。「抜群にリーダブル」という評価もありました。

確かに、芥川受賞作って多かれ少なかれ読みにくいところがあって、それが芥川賞っぽいという印象も持っているのだけど、この作品は従来の受賞作に比べ読みやすさでは群を抜いていると思います。

今回受賞の2作品を読み、しばらく時間を置いてから内容を思い返してみたところ、バリ山行の方が強く印象に残っていることに気づきました。すらすらと読める内容でしたが、さらに読者へ強い印象を残す、というところにもこの作家の実力が表れているのかもしれません。

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p.s. 野菜や肉が少ないので、カリウム、リンが少なめ。


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