自分発見!
“情に掉させば流される”
『智に働けば角が立つ。
情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい』
(「草枕」漱石)
草枕ではこのようなコンテクスト(context)で使われているんですよね。
つまり、どれも、何かしようとすると反発される、反感を持たれる、反対される、やりにくい。。。
このようなことを嘆いているわけですよね。
要するに、(日本の)世間というもののネガティブな面を取り出して漱石が嘆いているわけですよ。
現在の日本にだってこのような風潮がありますよね。
僕は2006年10月28日から1ヶ月間程日本に滞在しましたが、
出かける前に、この漱石の嘆きを感じて気が重くなったものですよ。
カナダのおおらかで自由な気風と比べると、
日本の社会を考える時、実際僕にとって漱石の嘆きは実感なんですよ。
ところで、漱石はロンドンで暮らしたことがある。
彼の気質にも原因があるのでしょうけれど、漱石はロンドンでノイローゼ状態になってしまったそうですよ。
漱石にとって日本は住みにくいと感じたのに、ロンドンではもっと住みにくいと感じたのでしょうね?
だから、ロンドンでは長くは暮らせなかった。
ロンドンでの暮らしは漱石にとって、よほど気が重かったのでしょうね。
それで、日本へ戻ってゆく。
でも、日本でも、やはり、うんざりしている漱石が居る!
僕は海外生活が人生の半分を越しています。
はっきり言って、カナダの方が日本よりも暮らしやすいんですよ。
日本では、とにかく物価が高い。
その点でも海外のほうが暮らしやすい。
ロンドンでも、僕は漱石のようにうんざりとはしなかったものです。
ふるさとが日本にあるから僕にとって日本は懐かしいのですが、
心情的には僕にとって日本はすでに外国になってしまっています。
とにかく僕にとって日本というところは暮らしにくいんですよ。
誤解しないで下さいね。
僕は日本が嫌いではありません。
僕が生まれ育った国ですから、僕は日本を愛しています。
しかし、ダメな政治家が下らない政治をしている現在の日本には半ば僕は愛想を尽かしています。
。。で、なぜに日本へ帰るのか?
愛する家族が居るからですよ。
しかし、最近の日本を見て心が痛むのは。。。
“家族殺し!”---これが、やたらに多い!
親が息子を殺す。
息子が親を殺す。
母親が幼児を虐待する!
母親が娘を殺して自分も死ぬ。
。。。
毎日のように、このような事件が報道される。
日本がどこか狂ってしまったのではないか?
このような印象を持つのは海外で暮らしている僕ばかりではない!
日本に暮らしている人でさえ、うんざりしている人がたくさん居る事を僕は知っていますよ!
どうしてこのようなことを書き始めてしまったのか。。。?
うへへへへ。。。。
(いや、失礼!)
漱石が悪いんですよ!うしししし。。。
上の漱石の文章が日本社会のネガティブな面を僕に見せ付けるのですよ!
しかし、このようにして考えてくれば、
“情に掉させば流される”
漱石が使ったこの語句も、僕が思い込んでいたように解釈した方がよっぽど自然だと思いますよ。
つまり、“情に掉さす”とは、素直に同情しないで“水臭いことを言う”ことなんですよね。
。。。するとどうなるか?
日本だったら、当然次のような言葉が聞かれるんですよ。
“そんな水臭いことを言うなよ!”
それで、漱石といえども、うんざりしながら、世間の情に押し流されてしまうわけですよ。
それを、漱石は“とかくに人の世は住みにくい”と感じたわけですよね。
『情に掉さす人』より
このように長たらしく引用してデンマンさんは何がおっしゃりたいのですか?
つまり、漱石は文学的にも私生活においても「自我」というモノを考えないわけには行かなかった。ロンドンでの生活はまさに日本人とは何か?この自分とは何か?そういう事を考えない訳にはゆかなかったでしょうね?
デンマンさんも長い海外生活で「自我」を考えさせられたのですか?
当然の事ですよ。日本で日本人の中に埋もれて暮らしていてくださいよ。日本人とは何か?なんて考える事はまずありませんよ。さらに自分とは何か?なんて考える暇も無いでしょう?
分かりましたわ。漱石先生がロンドンでの生活を通して自分と向き合う時間が持てた。しかし、その事と文学的な「自我」とどのような関係があるのですか?
つまり、文学の世界でも同じような住みにくさを味わったわけですよ。正宗白鳥の批判などは、まさにその住み難さの現れでしょうね。
それで漱石先生はどのように文学の世界で自我を作り上げていったのですか?
結局、漱石は自分を見つける以外に無かったのですよ。
それで見つけたのですか?
見つけました。でも、その過程は長く苦しいものだった。
どのように。。。?
漱石は、暗闇のなか、素手でトンネルを掘っていくように、ただひたすらに自身の奥へ奥へと掘り進んで行った。『猫』から『明暗』にいたるまで、次第に暗さと深さを増してゆきます。
それで。。。?
また、漱石はたえず現在に不満があった。端から見れば病的と思えるほどの不安と焦燥につきまとわれていた。そしてそれは自分の作品にも向けられた。自分の作品に満足する事は稀だった。いつしかまた不満と飽きたらなさにかられ、次の作品、またその次、と書き継がれていった。それが同時に漱石を駆り立てるエネルギーでもあった。
それで、いつ漱石先生は「自我」を作り上げたのでござ~♪~ますか?あるいは見つけ出したのでござ~♪~ますか?
皮肉にも『虞美人草』を書く前の作品だと僕には思えますよ。
どの作品ですか?
『吾輩は猫である』と『坊っちゃん』でしょうね。隅から隅まで漱石を感じさせますよ。それを自由自在に操っていく闊達さが感じられますよ。
『虞美人草』にはそれが無いと。。。?
ありませんよ。初めて書く新聞小説だったから漱石は力(りき)みすぎたのでしょうね。『吾輩は猫である』や『坊っちゃん』と違って自分らしさを出す事ができなかった。勧善懲悪な作品にしたばっかりに裏目に出た。そこで、漱石は改めて「自我」という事を考えさせられたと僕は思いますよ。
なるほど。。。虞美人が自殺した場所からヒナゲシの花が咲いて、それが虞美人草と名づけられたように、漱石は『虞美人草』を失敗作として、さらに自分を突き詰めて行ったと言う訳なのでござ~♪~ますわね?
そう言う事でしょうね。
それでデンマンさんは「自我」をもう作り上げてしまったのですか?
まさか。。。
。。。と言うと。。。?
生きるというのは自我を作り上げてゆく事だと思いますよ。
終わりは無いという事ですのね?
そうです。。。そうですよ。。。死ぬまで終わりはないのですよ。
『漱石と虞美人草 2007-05-18』より
こんにちは。デンマンです。
実は、これまであなたが読んだ部分は5月18日の記事(『漱石と虞美人草』)に書いたものなんですよ。
でも、上の部分は4分の1程度です。
全文はもっと長いのですよ。
この記事をAREKAOのブログにも4部に分けて書いたのですよ。
AREKAOでは語数制限があって、ライブドア、はてなダイアリー、フルーツブログなどでは1ページで書ける記事も4部に分けなければ書けません。
上の部分は第3部に当たります。
AREKAOのブログでこの記事を読んでコメントを書いてくれた人が居ました。
今日は、そのコメントにインスピレーションをもらってこの記事を書き始めたというわけです。
では、そのコメントを読んでみてください。
初めまして。
"自我"ですが、自分の考えをしっかりと持っていれば、
"自我"は自然と身に付くものと私は考えております。
ただ、昔からの出る杭を打つ風潮と、他者との協調性のみを促す教育が、
却って自分の考えを持たない者を生み出し、
自分の考えを以って自己主張の出来る者を蔑む社会を
形成しているものと考えられます。
然し…、記事の数が凄いですね。
1日平均4個のエントリーですか。
私には到底真似出来るものでは無いですね…。
Posted by Rabenschwarz
at 2007/05/19(土) 16:56
『漱石と虞美人草 (PART 3 OF 4)』のコメント欄より
長いハンドル名なので、失礼とは思いますが“ラベンさん”と呼ばせてもらいます。
僕の記事にはとにかくコメントが付くことが極めて稀なのですよ。
もちろん、ヴァイアグラ馬鹿のようなスパムコメントやリンクスパムは除きますよ。
そういう下らないコメントならば、毎日200以上もらっていて、吐き気が出そうですよ!
関心のある人は次のREALOGの記事をちょっとだけ覗いてみてください。
あなたはきっと呆れますよ!
■ 『小泉純一郎という名のネットストーカー (その1)』
現在900件近いコメントが付いています。
ギネスブックに載るのではないかと楽しみにしています。うへへへへ。。。
3分の2以上をヴァイアグラ馬鹿が書いています。
REALOGでダントツに読まれている記事です。
■ 『日本には愚民が増えているのでしょうか? PART 3』
REALOGで2番目に良く読まれている記事です。
ヴァイアグラ馬鹿が書いたコメントが300件近くあります。
■ 『日本も、また戦争をやるのでしょうか? PART 4』
ヴァイアグラ馬鹿グループには“営業エリア”と言うコメントを書く日本人が居ます。
この愚か者がこの上の記事にトラバクを飛ばしています。
この記事には300件近いコメントと300件を越えるトラバが付いています。
昨日(5月19日)と今日(20日)とREALOGのブログにアクセスできません。
かなり重大な不具合が起こっているようです。
あるいはヴァイアグラ馬鹿が集中してREALOGのブログにスパムコメントを飛ばしているので、REALOGのサーバーに異常をきたしたのかも知れません。
ヴァイアグラ馬鹿について詳しく知りたい人は僕のポータルサイトにスレッドを立ち上げたので、そこでたくさんの面白い記事を読むことができます。
■ 『ヴァイアグラ馬鹿を楽しく研究しましょう会』
ちょっと脇道にそれてしまいました。
とにかく、ラベンさんのようにURLをしっかりと書いて意味のあるコメントを書いてくれる人が極めて少ないということです。
一ヶ月に一つもらうか二つもらうか?
その程度なんですよ。うしししし。。。
なぜ?
もちろん僕はその理由を良く理解しています。
ラベンさんは、おそらく僕の他の記事をたくさん読んでいないのだと思います。
だから、思い付くままに、つい書きたくなってコメントを書いたようです。
もちろん、僕はラベンさんのコメントをもらって、ありがたいことだと思いながら読んでいます。
僕は必ずといって良いほど返信を書きます。
しかも、このようにしてブログの記事で取り上げます。
だから、中には“自分”を晒される事を極度に嫌う人が居ます。
そういう人は僕にはコメントを絶対書きません。