獲得された絶望感(盲人ウエカジ @ウエカジハローセンター 公式ブログ)

~網膜色素変性症と司法試験とモー娘。と全盲ヘルパー事業所と・・・~

弁護士事務所に行って弁護士に相談してみた。そしてイトウマコトを思い出した。

2022-05-12 22:18:34 | 司法試験と私
64歳

朝、7時15分に家をでる。25分ほど歩いて職場へ。途中、小学校や保育園があるけども、ほとんどこどもとはすれちがわない。私の時間がはやいため。時差出勤。目の見えない私、網膜色素変性症の私デスペアにとって、この早出出勤はたすかる。ほとんど歩いている人がいないので、安全。

今朝は、めずらしく、こどもとすれちがう。向こうのほうから、鳴き声、こどもの鳴き声。保育園にいきたくないとダダをこねてなくこども。なだめるママ。そんななママとこども。自転車にのって、やってくる。

と思いきや、そうじゃなかった。ママのなだめる声が聞こえず。ただこどもが泣き叫ぶ声。まんがの中の鳴き声、ウェーンウェーンと泣き叫ぶ声。保育園のこどもじゃなくて、小学校3年生ぐらいの小学生のこどもが、走りながら、泣きながら、私のほうに近づいてくる。男の子か女の子かわからない。それぐらい泣き叫んでいる。

ウェーンウェーンと鳴き声をあげながら、走ってこっちにくるこども。おそらく、なんで起こしてくれなかったの?今日は学校の朝登板なのに、なんでなんで!ママのバカバカ。

そんなこといってもあなた起きなかったじゃない。はやく顔をあらって、学校にいきなさい。

そして、泣きなが駆け出すこども。

そんな私の妄想。実にいとおしいね。子供の鳴き声。まったくまわりを気にせず、まるでこの世のおわりか、この世のはじまりかのような泣き叫ぶ声。まさにニーチェのいうところの超人だね。実にいとおしい。そのママとの関係性、家族がすけてみえるその鳴き声が実にいとおしい。

さっと、点字ブロックからはなれて、歩道のわきによる。そしてゆっくりペースをおとして歩く私。向こうからは、サイレンのようなこどもの声。

通り過ぎる瞬間。そのこどもの鳴き声がやむ。向こうからやってくる、へんんなおじさん、白杖とサングラス、そしてなぜか白杖にはベルをぶらさげて、チリンチリンとこちらにあるいてくる。へんなおじさん。地獄からの使者か、それとも天使のうまれかわりか。

泣くのをやめるこども。そして、我にかえって、私の横をとおりすぎていく。タタタタタという足音と、ランドセルの皮と金具の音。

私という初めて見る視覚障害者におどろいて、我にかえるこども。主観の中にいたこどもに、客観性をもたらした盲人。なんかうれしいね。愛すべきヒューマンライフだね。天使の涙だね。

そんな全盲視覚障害者の私。今日は、お昼から、堺筋本末の弁護士事務所へ。法律相談。過去には、市民法律相談というのは経験あるけども、ちゃんとした弁護士事務所にいっての相談ははじめて、1時間2万円。

こちらが熱く語っても、弁護士は常に冷静。こちらの熱がつたわらない。いろいろ聞いてみても、それは難しいでしょうね。そういったことはあまりないです。裁判例も探しましたが、あてはまるような判決はなかったです。実にたんぱく。

主観にとらわれている私に、冷や水をかぶせるような客観をあびせてくる弁護士。

いやいや、それはわかっているんです。私が求めているのは、はげましと、そしてすこしの法律知識なんです。そんんな、無理なこと、難しいことはわかって、だからこそ、弁護士相談にきたんです。

まぁ、それが弁護士の仕事なのよね。相談者に客観性をもたせてあげる。泣き叫ぶこどもに、あなた、泣くのへんだよ、ここは公の場所だよ。それが弁護士の役目だね、。

その弁護士は、弁護士50期とのこと。私も司法試験に受かっていたら50期になってたな。そんなことをおもった。

私が弁護士なら、泣き叫ぶこどものちょっとうしろを一緒に走るね。もちろん私も泣きながら走るね。それが弁護士っていうもんじゃないの?主観を客観でおおいかくすのではなく、その主観に客観という要素をいれてやることじゃないの?

そんなことをおもいつつ、参考となる判決文のコピーを印刷してもらって、家に帰る。外は雨。

ふと、思い出す。伊藤まことは最近なにをしてるんだろう? 司法試験受験会のカリスマ講師。伊藤塾 塾長のイトウマコト。サピエ図書館でイトウマコトの本をあさがしてみたら、夢をかなえる時間術という本があったので、さっそくよんでみる。

あいかわらず熱いね、いとうまこと。鉄道オタクであり、そして、憲法オタク、個人の尊厳オタク。なつかしい。

この本のあとがき、エピローグの35歳の女性受験生の話が実に胸をうつ。その3行だけで、この時間術の本のすべてがつまっている。その3行をよめば、数百ページ読まなくてもいい。ここに本質があった。

なんか、久しぶりに、心が沸き立った。なつかしいこの感情。何かに向かって、ゆっくり走るこの感情。ゆっくり急ぐこの感情。泣きながら走るその感情。実になつかしい。

なつかしくて、イトウマコトを検索してみると、なんと64歳。びっくり。もう高齢者なのね。

ただ、YOUTUBEの伊藤塾チャンネルにアップされている動画をみたら、最近のイトウマコトの声は、昔の声とさほどかわらない。よくとおる、活力にみちた声。いいね。いつまでも青くさいね。実にいとおしい。イトウマコトは、私がであった30年前とおなじように、ずっと、泣きながら走り続けているのね。泣くのをやめないイトウマコト。そこが彼のすごいところだね。

イトウマコトの民事訴訟法のテキストを買ってみようか。もう一度買ってみようか。いまこそ私には、その知識が必要だね。

アンジュルム『愛すべきべき Human Life』Promotion Edit


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