カッパのロードスター

幌を開ければFeelin`good。カッパーレッドの
路渡☆くんとの楽しいドライブ日誌。

おにっさんの伝道院

2015-07-18 12:41:22 | レトロ建築
見どころいっぱいの『龍谷山 本願寺』通称:西本願寺を訪ねました。
西洞院通りを真ん中に、左右に東と西の本願寺がありますが
東本願寺は真宗大谷派の本山。正式名称:真宗本廟で、
西本願寺は浄土真宗本願寺派の本山。正式名称:本願寺です。

京都では「おひがっさん」「おにっさん」と呼んでいます。
そこのお兄さん、「おにっさん、参ったか!」と訊かれても
「参りました、降参です」と勘違いしたらあきまへんどすぇ。(^_^ゞ

本願寺の歴史を辿れば・・・長くなるので、後々憶え書き程度に
まとめることとして。
現在の東・西本願寺は仲良うしたはるようです。



〈御影堂門築地塀越しに見える本願寺伝導院〉




境内北側、聞法会館(もんぼうかいかん)のところに
広大な無料駐車場があります。



〈総門〉重文

境内に入る御影堂門の真東、堀川通を隔てて総門が建っています。
この門は「高麗門」と呼ばれる形式で、門扉の上に大きな屋根、
左右の控柱(脇柱)の上に小さな屋根を設けている。
写真では左右に塀が続いているように見えますが、実際はすぐに
途切れていて・・・何か変。(^_^ゞ
片側3車線、中央分離帯、歩道もある京都にしては広い堀川通が
境内の間に通っており、ちょっと特異な立地かも。

重要文化財ですが、西行き一方通行の正面通りにあり、門扉は無く
普通にクルマがくぐり抜けて行きます。
正面には西本願寺の御影堂門、目隠塀が見えています。






総門を出た門前町、正面通りは仏具店ストリート。
ずっと先には東本願寺も見えています。
ちなみに仏壇や仏具、浄土真宗だと言うと「お東さんどすかお西さん?」
と訊かれます。結構違うんです。お東さんの方が地味だったかな。

そうそう「正面通り」の由来は、本願寺の正面だから、ではなく。
かつて東山山麓にあった方広寺大仏殿の正面に通じるからなんです。


さて、この建物を観て、誰が仏教施設だと思うでしょうか・・・


〈本願寺伝道院〉重文

1895(明治28)年に設立された真宗信徒生命保険株式会社の社屋として、
東京帝国大学教授 伊東忠太の設計により建築されたものです。
様々な使用を経た後に現在は「本願寺伝道院」となり、僧侶の教化育成の
道場として使われているとのこと。









近代レトロ建築ファンには見逃せない建物ですね。
様々な国の建築様式が融合されたような・・・
レンガ張りに石造り風の装飾をあしらった外壁、2階窓枠はギリシャ風?
塔やアーチ状の門はサラセン様式、塔の窓は日本古来の花頭窓にも
見えるし、千鳥破風のカタチも・・・何とも見応えのある建物です。

設計者の伊東忠太は、東京駅など多数の近代建築を残した辰野金吾の
教え子でもあり、欧化でも和洋折衷でもなく、木造の伝統を進化させる
ことにより生み出さなければいけない、という「建築進化論」を提唱し、
日本の建築界に大きな影響を与えた人物です。
数多くの作品が残っていますが、築地本願寺や一橋大学兼松講堂、
震災祈念堂(現・東京都慰霊堂)、京都では祇園閣などが有名かな。




そしてこの伊東忠太の作品には、もうひとつ特徴があります。
それは、こんな怪獣?妖怪たちの姿・・・









伊東忠太は妖怪好き。「妖怪研究」なんて著書も残されています。
もともと画家(漫画家)になりたかったということで、本格的な
日本画や、妖怪などを描いた軽妙な漫画も多く残されていて、
建築でもここだけではなく、兼松講堂や震災祈念堂などには
摩訶不思議な動物の彫刻が付けられています。






2015.7/5、本願寺伝道院。