以前ほどではないが、シェラの「はてな?」の首がときどきよみがえる。
前回は、ずっと「はてな?」のままだったが、今回は少し特徴がある。なにかを探るときに首を曲げてこちらをうかがっている。
まさに「はてな?」そのものなのだ。
最近のシェラは寝ている時間が増えた。食事を終え、おやつもすんで、あとは食べ物にありつけそうにないとなるとリビングルームからベッドルームへと去っていく。
ひとしきり、前足でカーペットをひっかく音が聞こえてくる。きっと地面に穴を掘っているつもりなのだろう。どこをひっかいているかはわかっている。ぼくのベッドの横を掘っているのだ。
もう怒ってやめさせるのもあきらめた。なんせ、毎晩のことなのだから。
ひとしきりひっかくとまずはそこに横たわって寝る。そのあと、ベッドの上に移動することもあるが、たいていは床で寝ている。
夜、寝てしまうとぼくが出かけるそぶりを見せても起きてくることはない。一度、寝たら朝まで起きないというのはぼくと同じである。これも老化現象なのだろう。
休みの日の昼間は、どこかへ連れて行ってもらえるかもしれないからとおちおち寝ていられないらしい。ぼくが少しでもバタバタすると廊下へ出てきて「はてな?」と首をかしげて様子を探っている。
このタイミング、シチュエーションが曲がった首にぴったりなので思わずこちらの頬もゆるんでしまう。
老化で首が曲がってしまったのではなく、ほんとうに、「はてな? とーちゃんはどこかへ出かけるのかな?」という顔に見えてくるからである。