柏児童相談所や教育委員会の対応に、社会の批判が集中して、ようやく政府も腰を上げ、児童相談所の児童福祉士を大幅に増員し、かつ、子供を保護する「介入」を強化する方針を示した。また、安倍首相も、一か月を期限として虐待児の疑いのある全てのケースを点検するように指示を出した。まあ、これは一応評価できる対応と言え、児童相談所改革の糸口となることが期待される。
しかし、1か月で全ケースを点検するなど、できる筈もないし、このために、児童相談所の機能が停止してしまい、新規の相談が滞るおそれも大きいと思われる。安倍首相の支持率獲得のための、パーフォーマンスと見ざるを得ない。
また、児童福祉士を大幅に増員するというが、数が多くなれば良いかというと多いに越したことはないが、問題は、児童の安全を守れるだけの専門的な知識と面接技法等を備えた人材を確保できるかということだ。そのためには、単に児童福祉関連の大学卒業生を採用するだけではなく、しっかりとした研修体制を構築していくことが最も大切だと思うし、そういうことができるようになれる優秀な人材を確保するためには、それなりの待遇を用意しなければ人材を確保することは難しい。政府にそれだけの覚悟があるかというと、どうも今一確信が持てない。
また、新規採用での対応では、人材確保が難しいと思うので、家庭裁判所のベテラン調査官を執行させる、公的相談機関のベテランを募って採用するなどの対応が必要だろう。いずれにしても、かなり長いスパンで物事を考えていく必要があるケースだと思う次第です。