えっ、なんで人事を扱う「人事委員会」が学校等のボイラー検査を行うの?
1 前回の「地方公共団体の不思議(2)」で県市町村職員の地方公務員(以下「公務員」とだけいうこともあります。)には、基本的には労働基準法(以下「労基法」といいます。)も適用になっており、労基法の一部が適用にならないだけだということを申し上げました。これは、一般的な公務員については、そのとおりです。地方公営企業というのがあります、水道局やダムの管理などをしている公務員がいますが、この職員には、ほとんどといっていいほど、ほぼ全面的に労働基準法が適用になります。ことほどさように、地方公務員といっても、さなざまな事業の内容がありますので、一概にいえず、一般的な公務員を想定してものをいっていますので注意をお願いします。
2 今回は、労働基準監督の権限をどこが持っているかという話です。企業ですと、当たり前の話ですが、労働基準監督です。地方公務員といっても、さまざまな事業内容があるといいましたが、人事委員会という組織がその監督権限を持っている事業内容の事務所があります。誤解を恐れずに言えば、「公務員として仕事を行ううちで、技術的でない事務的な業務を行う職場」を人事委員会が監督することになっています。学校や県税事務所や市町村の行政窓口などを考えればいいでしょう。これ以外のその他は、もちろん労働基準監督署が行います。
* この部分は、要点をおさえるためには、細かくなりますので、興味のある方だけ読んでください。→労基法の別表第1に事業の種類が1号から15号まで記されています、1号の製造業から始まって15号が清掃等になっています。この1号から15号に該当しない公務の仕事の区分がもう一つあると考えたらいいのですが、この公務の仕事を昔は16号とし別表1に記載されていました。今は、この16号はありませんので、旧16号という形で説明します。そして、人事委員会が労働基準監督の職権を行使するのが、11号(通信業)、12号(教育研究業)と旧16号(15号までに該当しない公務員業)なんです。11号の通信業は、公務員業としては行っていませんから、12号の学校や旧16号の県税事務所等の事務的な仕事が当たると考えればいいでしょう。
3 人事委員会は、労働基準監督署のように、労働基準監督官や労働衛生専門官などのように専門的・技術的な職員がいるわけではありません。一般的な労働時間等の事務的な監督をやる部分には何の問題もありません。そういった考え方から、技術的なものを除いた事務的公務の監督をやっているのでしょう。しかし、労基法だけでなく労働安全衛生法の職権をも行うことになっています。県税事務所や学校では、冷暖房に使うボイラーがあります。このボイラーは、労働安全衛生法で爆発の危険があることから、特定機械に指定されています。よく新聞で、クレーンが倒壊したとの記事が出ていますが、それと同じ特定機械なのです。ボイラーは一年ごとに定期検査をすることになっています。ボイラーの監督権限を学校等に設置してある場合は、その定期検査も人事委員会が行うことになります。専門知識もない人事委員会が行うのということになりますので、日本ボイラ協会という専門的な機関があり、ボイラの検査をそこに委託しております。(一般企業でもボイラーの検査は、この協会で行っています。)
なぜ、ボイラーの検査を人事委員会が行うのかという理由は、以上のとおりですが、あくまでも、そこで働く職員が危険な状況にならないためという、労働安全面からということになります。
4 ボイラーの検査だけで済むかというと、さにあらず。ずいぶん前に、県内で林道崩落の人身事故がありました、林道を設計管理するのは、県の農林振興局というところがやっているのです。農林振興局は、前述の事務的公務に位置付けられていて、人事委員会が安全衛生法や労基法の観点から指示指導等をしなければならないことになりました。現場に行って認識を新たにしました。土木事務所が行っている、道路工事現場の業者指導監督とまったく同じことをやっているのです。それが、県道なのか林道なのかの違いはあるのですが、ほとんど同じ指導監督を行っているのです。土木事務所の場合は、技術的な職場に位置付けられていて、労働基準監督署がその職権を行使しています(*の部分を読んだ方へ→3号の「建設業」に位置付けられている事務所です。)が、農林振興局は、そうではありません。
業務内容によって(*を読んだ方には、別表の1~15号の区分といった方がわかりやすいかもしれません)、前述のとおり、人事委員会と監督署の監督するところを分けていくのですが、土木事務所でも、庶務会計などの純然たる事務的なものや土木の技術的なものを取り扱う部署が混然一体となっていることが普通です。土木事務所の場合は、技術的な比重が大きいと判断されるのですが、農林振興局の場合は、事務的な部分が多いと考えたのでしょう。(しかし、農林振興局に1年だけ勤務したことがあったのですが、技術的なものが多く、土木事務所と同じ部署であると考えるのが適当かなと思ったこともあります。一例をあげると、農道を管理する「農業土木」や先ほどの林道を管理する林業系の土木職員も居たからです。)
5 このように、日常では、あまりありませんが、人事委員会としてはレアーケースが出てきます。当然、労働基準監督署としては、そんなケースには遭遇しており、なんということはないのですが、人事委員会としてはあわてます。そこで、その場合は、国の労働監督機関からの技術的援助を受ける契約書を、県人事委員会は取り交わしており、その援助を受けてどうにかその場は乗り切ることができました。
1 前回の「地方公共団体の不思議(2)」で県市町村職員の地方公務員(以下「公務員」とだけいうこともあります。)には、基本的には労働基準法(以下「労基法」といいます。)も適用になっており、労基法の一部が適用にならないだけだということを申し上げました。これは、一般的な公務員については、そのとおりです。地方公営企業というのがあります、水道局やダムの管理などをしている公務員がいますが、この職員には、ほとんどといっていいほど、ほぼ全面的に労働基準法が適用になります。ことほどさように、地方公務員といっても、さなざまな事業の内容がありますので、一概にいえず、一般的な公務員を想定してものをいっていますので注意をお願いします。
2 今回は、労働基準監督の権限をどこが持っているかという話です。企業ですと、当たり前の話ですが、労働基準監督です。地方公務員といっても、さまざまな事業内容があるといいましたが、人事委員会という組織がその監督権限を持っている事業内容の事務所があります。誤解を恐れずに言えば、「公務員として仕事を行ううちで、技術的でない事務的な業務を行う職場」を人事委員会が監督することになっています。学校や県税事務所や市町村の行政窓口などを考えればいいでしょう。これ以外のその他は、もちろん労働基準監督署が行います。
* この部分は、要点をおさえるためには、細かくなりますので、興味のある方だけ読んでください。→労基法の別表第1に事業の種類が1号から15号まで記されています、1号の製造業から始まって15号が清掃等になっています。この1号から15号に該当しない公務の仕事の区分がもう一つあると考えたらいいのですが、この公務の仕事を昔は16号とし別表1に記載されていました。今は、この16号はありませんので、旧16号という形で説明します。そして、人事委員会が労働基準監督の職権を行使するのが、11号(通信業)、12号(教育研究業)と旧16号(15号までに該当しない公務員業)なんです。11号の通信業は、公務員業としては行っていませんから、12号の学校や旧16号の県税事務所等の事務的な仕事が当たると考えればいいでしょう。
3 人事委員会は、労働基準監督署のように、労働基準監督官や労働衛生専門官などのように専門的・技術的な職員がいるわけではありません。一般的な労働時間等の事務的な監督をやる部分には何の問題もありません。そういった考え方から、技術的なものを除いた事務的公務の監督をやっているのでしょう。しかし、労基法だけでなく労働安全衛生法の職権をも行うことになっています。県税事務所や学校では、冷暖房に使うボイラーがあります。このボイラーは、労働安全衛生法で爆発の危険があることから、特定機械に指定されています。よく新聞で、クレーンが倒壊したとの記事が出ていますが、それと同じ特定機械なのです。ボイラーは一年ごとに定期検査をすることになっています。ボイラーの監督権限を学校等に設置してある場合は、その定期検査も人事委員会が行うことになります。専門知識もない人事委員会が行うのということになりますので、日本ボイラ協会という専門的な機関があり、ボイラの検査をそこに委託しております。(一般企業でもボイラーの検査は、この協会で行っています。)
なぜ、ボイラーの検査を人事委員会が行うのかという理由は、以上のとおりですが、あくまでも、そこで働く職員が危険な状況にならないためという、労働安全面からということになります。
4 ボイラーの検査だけで済むかというと、さにあらず。ずいぶん前に、県内で林道崩落の人身事故がありました、林道を設計管理するのは、県の農林振興局というところがやっているのです。農林振興局は、前述の事務的公務に位置付けられていて、人事委員会が安全衛生法や労基法の観点から指示指導等をしなければならないことになりました。現場に行って認識を新たにしました。土木事務所が行っている、道路工事現場の業者指導監督とまったく同じことをやっているのです。それが、県道なのか林道なのかの違いはあるのですが、ほとんど同じ指導監督を行っているのです。土木事務所の場合は、技術的な職場に位置付けられていて、労働基準監督署がその職権を行使しています(*の部分を読んだ方へ→3号の「建設業」に位置付けられている事務所です。)が、農林振興局は、そうではありません。
業務内容によって(*を読んだ方には、別表の1~15号の区分といった方がわかりやすいかもしれません)、前述のとおり、人事委員会と監督署の監督するところを分けていくのですが、土木事務所でも、庶務会計などの純然たる事務的なものや土木の技術的なものを取り扱う部署が混然一体となっていることが普通です。土木事務所の場合は、技術的な比重が大きいと判断されるのですが、農林振興局の場合は、事務的な部分が多いと考えたのでしょう。(しかし、農林振興局に1年だけ勤務したことがあったのですが、技術的なものが多く、土木事務所と同じ部署であると考えるのが適当かなと思ったこともあります。一例をあげると、農道を管理する「農業土木」や先ほどの林道を管理する林業系の土木職員も居たからです。)
5 このように、日常では、あまりありませんが、人事委員会としてはレアーケースが出てきます。当然、労働基準監督署としては、そんなケースには遭遇しており、なんということはないのですが、人事委員会としてはあわてます。そこで、その場合は、国の労働監督機関からの技術的援助を受ける契約書を、県人事委員会は取り交わしており、その援助を受けてどうにかその場は乗り切ることができました。