労働基準法には休憩の用語はあるが、休息ということばは出てこない! しかし、改正の労働時間等設定改善法で休息が指針の中で出てくる!!
労働関係(法)というか「休憩」「休息」時間ということばがあるが、これは、どの意味で言っているのか区別する必要がある。
休憩について 法的に労働基準法の中で出てくるのは、第34条の規定である「休憩時間」であるが、6時間を超える労働時間の場合少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に使用者は与えなければならないとある。これは、休憩時間であって、休息時間ではない。この「休憩」は、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とされている。むしろ、休憩時間は労働時間に対比するものであり、拘束された労働時間からは除かれた、一定の制限はあれ労働者の自由な時間です。しかしながら、この休憩時間は労働時間の間に挟まなければならず、始業の前や終業の後に取ることは許されないとされています。
休息の意味① 労基法では、なんら休息時間となるものは出てこないところである。ただ憲法27条2項に「休息」は法律で定めるというのが出てくるが、いわゆる「休息権」というものからくるものであり、私流に言うと神が仕事を終えて何日か目に休息を取ったという安息日に近いものであろう。<以下、書き直しというより「書き足し」である。>
この意味での休息とは、労働者が唯一の生活手段である契約労働の拘束から解放されて疲労をいやし(=労働力の再生産)、娯楽、教養、能力の啓発、その他社会活動などのために自由に利用できる余暇の時間であるとされている。(世界大百科事典・コトババンクより) つまり労働時間の中の休息ではなくて、労働を全くしていない時間であって次の労働のために力を蓄える時間のことであって、大きな意味に捉えている。実は、この意味に近いものが、労働時間等設定改善法の2019年4月からの変更により、その指針の中で「休息」としてはっきりこの言葉が示されたので、従来の説明では、法律全般にわたって、「休息」についての記述がないように表現していたところ、この記事の書き足し・修正をしなければならなくなりました。(平成元年10月修正) この改正労働時間等設定改善法の同指針では、直接休息の定義はしていませんが、前日の終業時間と翌日の始業時間の間に一定の「休息」を確保することを勤務間インターバルというとしていますので、「休息」は、前日の終業時間と翌日の始業時間の間のことを言っていることが分かります。これは、労働者には、「休息」としての睡眠時間や生活時間等を与えなければならないということから勤務と勤務の間には一定の時間(インターバル)を設けなければならないとしたものです。(現在は努力義務=令和元年現在) <*追記>
⇒以上の意味での「休息」(勤務間インターバル)の詳細な内容はこのブログを参照のこと
休息の意味② さて、別の意味の従来からの労働時間の中で途中に与える「休息」は、労働基準法のからみの中で理解した方が分かりやすいが、労基法の中には直接出てこない言葉である。どこで使われているかというと、国家公務員法における運用の中で出てきたのではないかと思われる。国家公務員法では、労働基準法は法体系が違うということで、労働基準法は適用にならず、人事院の規定の中で労働基準法に沿った職員の労働条件は決められているが、そのなかでの「休息時間」の運用が普及されたものと考えられる。今は昔、私の地方公務員のころは、午前に5分、午後に5分の休息時間が設けられていたような気がする。地方公務員も国の勤務条件にならって行っていたので、同じ取り扱いになっていた。
この「休息時間」は、一応勤務を要しないが、所属長において必要と認めるときは勤務を命じ得ることとされている。したがって、就労しないことが必ずしも保障されていないため休憩時間ではなく、労働時間の中に入るものである。
そこで、会社等でもこれに倣い、従来から休息時間を就業規則に明示したり、運用で行っているところもあると考えられる。したがって、上で一応の定義はしたが、労働基準法で定義があるわけではなかったので、その態様はさまざまです。少なくとも、地方公務員を含めた国家公務員の場合は、何時から何時までという時間的に設定していたものであるが、民間では、仕事が一段落して次の仕事に入るまでの時間だったりして、かならずしも、時間的設定されたものでもないようだ。その意味からすると、次の仕事までの空き時間(=待機時間)である「手待時間」とそう変わらないこともあるようだ。いずれにせよ、どちらにしても、なにかあればすぐにも仕事にかからなければならないということで、この意味での休息時間は「休憩時間」と違い、あくまでも労働時間です。
「休憩」は、労働基準法で決めれられており、そのとおり使用者としては付与しなければなりませんが、労基法の中では休息はなんら定めがあるものではなく、定義もはっきりしません、義務化されたものではありません。しかし、就業規則に定めればそれが労働条件になりますので(あるいは定めなくても慣例化すれば場合によっては)、そのとおりの労働時間中の休息時間を取ることを必要とします。
しかし、労働法関連法としての労働時間等設定改善法が2019年4月に改正され、勤務間インターバル制度が努力義務化されたことによって、就業規則改正によりこの勤務間インターバル制度を導入する企業もありますので、労働時間中のちょっとした従来の「休息時間」(休憩の意味②)と新しく労働時間等設定改善法の指針により明記された一日の終業時刻から次の始業までの「休息時間」(休憩の意味①)との違いを明確に認識しておく必要があります。(傍線:書き足し部分)
<*追記>実は運転者(トラック・バス・タクシー)の間では、この意味での「休息」をいうものが改善基準(告示)の中に「休息期間」として明記されていた。これは労働省告示であり罰則もなかったが、国土交通省では同告示を同じ基準で運用したので、同省の行政罰的な基準として行われ、厳格に運用されていたもの。
***最近、英語の勉強を始めました。英語でも区別があって、REST と BREAK とは、同じ休みでも違いがあるようです。BREAK は仕事の間のちょとした休みのこと コーヒーブレイクなどとの言葉として使われています。これに対して REST とは、仕事から離れて休養を取る意味があるようです。 You need a good night's rest (君は今夜よく休む必要がある=プログレッシブ大人のための英語学習辞典)She needs some rest.(彼女は休む必要があるようですよ。)のように使うようですね。
参考 人事総務検定2級 講義テキスト
「働き方改革関連法」企業対応と運用の実務が分かる本
労働関係(法)というか「休憩」「休息」時間ということばがあるが、これは、どの意味で言っているのか区別する必要がある。
休憩について 法的に労働基準法の中で出てくるのは、第34条の規定である「休憩時間」であるが、6時間を超える労働時間の場合少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に使用者は与えなければならないとある。これは、休憩時間であって、休息時間ではない。この「休憩」は、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とされている。むしろ、休憩時間は労働時間に対比するものであり、拘束された労働時間からは除かれた、一定の制限はあれ労働者の自由な時間です。しかしながら、この休憩時間は労働時間の間に挟まなければならず、始業の前や終業の後に取ることは許されないとされています。
休息の意味① 労基法では、なんら休息時間となるものは出てこないところである。ただ憲法27条2項に「休息」は法律で定めるというのが出てくるが、いわゆる「休息権」というものからくるものであり、私流に言うと神が仕事を終えて何日か目に休息を取ったという安息日に近いものであろう。<以下、書き直しというより「書き足し」である。>
この意味での休息とは、労働者が唯一の生活手段である契約労働の拘束から解放されて疲労をいやし(=労働力の再生産)、娯楽、教養、能力の啓発、その他社会活動などのために自由に利用できる余暇の時間であるとされている。(世界大百科事典・コトババンクより) つまり労働時間の中の休息ではなくて、労働を全くしていない時間であって次の労働のために力を蓄える時間のことであって、大きな意味に捉えている。実は、この意味に近いものが、労働時間等設定改善法の2019年4月からの変更により、その指針の中で「休息」としてはっきりこの言葉が示されたので、従来の説明では、法律全般にわたって、「休息」についての記述がないように表現していたところ、この記事の書き足し・修正をしなければならなくなりました。(平成元年10月修正) この改正労働時間等設定改善法の同指針では、直接休息の定義はしていませんが、前日の終業時間と翌日の始業時間の間に一定の「休息」を確保することを勤務間インターバルというとしていますので、「休息」は、前日の終業時間と翌日の始業時間の間のことを言っていることが分かります。これは、労働者には、「休息」としての睡眠時間や生活時間等を与えなければならないということから勤務と勤務の間には一定の時間(インターバル)を設けなければならないとしたものです。(現在は努力義務=令和元年現在) <*追記>
⇒以上の意味での「休息」(勤務間インターバル)の詳細な内容はこのブログを参照のこと
休息の意味② さて、別の意味の従来からの労働時間の中で途中に与える「休息」は、労働基準法のからみの中で理解した方が分かりやすいが、労基法の中には直接出てこない言葉である。どこで使われているかというと、国家公務員法における運用の中で出てきたのではないかと思われる。国家公務員法では、労働基準法は法体系が違うということで、労働基準法は適用にならず、人事院の規定の中で労働基準法に沿った職員の労働条件は決められているが、そのなかでの「休息時間」の運用が普及されたものと考えられる。今は昔、私の地方公務員のころは、午前に5分、午後に5分の休息時間が設けられていたような気がする。地方公務員も国の勤務条件にならって行っていたので、同じ取り扱いになっていた。
この「休息時間」は、一応勤務を要しないが、所属長において必要と認めるときは勤務を命じ得ることとされている。したがって、就労しないことが必ずしも保障されていないため休憩時間ではなく、労働時間の中に入るものである。
そこで、会社等でもこれに倣い、従来から休息時間を就業規則に明示したり、運用で行っているところもあると考えられる。したがって、上で一応の定義はしたが、労働基準法で定義があるわけではなかったので、その態様はさまざまです。少なくとも、地方公務員を含めた国家公務員の場合は、何時から何時までという時間的に設定していたものであるが、民間では、仕事が一段落して次の仕事に入るまでの時間だったりして、かならずしも、時間的設定されたものでもないようだ。その意味からすると、次の仕事までの空き時間(=待機時間)である「手待時間」とそう変わらないこともあるようだ。いずれにせよ、どちらにしても、なにかあればすぐにも仕事にかからなければならないということで、この意味での休息時間は「休憩時間」と違い、あくまでも労働時間です。
「休憩」は、労働基準法で決めれられており、そのとおり使用者としては付与しなければなりませんが、労基法の中では休息はなんら定めがあるものではなく、定義もはっきりしません、義務化されたものではありません。しかし、就業規則に定めればそれが労働条件になりますので(あるいは定めなくても慣例化すれば場合によっては)、そのとおりの労働時間中の休息時間を取ることを必要とします。
しかし、労働法関連法としての労働時間等設定改善法が2019年4月に改正され、勤務間インターバル制度が努力義務化されたことによって、就業規則改正によりこの勤務間インターバル制度を導入する企業もありますので、労働時間中のちょっとした従来の「休息時間」(休憩の意味②)と新しく労働時間等設定改善法の指針により明記された一日の終業時刻から次の始業までの「休息時間」(休憩の意味①)との違いを明確に認識しておく必要があります。(傍線:書き足し部分)
<*追記>実は運転者(トラック・バス・タクシー)の間では、この意味での「休息」をいうものが改善基準(告示)の中に「休息期間」として明記されていた。これは労働省告示であり罰則もなかったが、国土交通省では同告示を同じ基準で運用したので、同省の行政罰的な基準として行われ、厳格に運用されていたもの。
***最近、英語の勉強を始めました。英語でも区別があって、REST と BREAK とは、同じ休みでも違いがあるようです。BREAK は仕事の間のちょとした休みのこと コーヒーブレイクなどとの言葉として使われています。これに対して REST とは、仕事から離れて休養を取る意味があるようです。 You need a good night's rest (君は今夜よく休む必要がある=プログレッシブ大人のための英語学習辞典)She needs some rest.(彼女は休む必要があるようですよ。)のように使うようですね。
参考 人事総務検定2級 講義テキスト
「働き方改革関連法」企業対応と運用の実務が分かる本