そう言えば、稀勢ノ里の「チック」は治ったようだ。これまで頻繁に瞬きしていたのが、先場所からしないようになった。そして今場所はというと顔が柔和になった。それらのことが、あたふたしない相撲につながっているかもしれない。心と体の動きは密接にリンクしているのを物語るようである。
宇良の意識してのでんぐり返りには舌を巻いた。土俵に落ちるのを遅くするためにわざと頭を回転させ、それにつれて体が回転していた。相当運動神経がよく、肝っ玉も太いのだろうと思う。
琴奨菊は相変わらず、これしかない、という相撲を取り、今場所の好調さが目立っていた鶴竜は勢に技負けした。勢の評価はさらに上がるはずである。
錦木という新入幕の力士の名は江戸期の大関の名前だそうである。まだ横綱という地位がない最高位の関取だった。こういう由緒ある四股名を親方がつけたからには、錦木の能力を見抜いているのかもしれない。相撲界に入って十年。今が25歳。
千代の国、石浦、宇良、佐藤、錦木、正代、御嶽海など、遠藤、逸ノ城、照の富士らに続いてでてくると、面白い。十両から相撲を見るのも楽しみになってきた。
解説は辛口の解説がよいと思う。今場所では元栃乃和歌の解説が面白かった。だめなものはだめ、とはっきり言う。
本では、「化学変化どうして起きるのか」と小説は有吉佐和子の「香華」を読んでいる。「香華」もまたすべりだしから面白い。祖母が死ぬまでところを読んだが、克明に孫の朋子から見る描写が切なく、激しく、美しい。