今日は結婚記念日。なんと40年だ。というわけではないが、ニッカ12年があったのと山崎を珍しく探しあてたので、それで乾杯することにする。結婚年数の半分は相当な苦労をかけた。
酒と女と本と音楽。酒にはこの頃蕪と白菜、片口イワシやカレイが肴となる。女は女房一人だが、歌好き友達がいる。本はただ今、現在と未来の社会経済を勉強中である。音楽はもっぱら昼は宇多田ヒカルを聴き、夜はヴェートーベンの弦楽四重奏ばかりを聞いている。
ぼくはぼんやり癖があるので、緻密さや正確さ、慎重さがない。反省はするが、死ぬほどの後悔もない。はるばると、あんな失敗よくしたものだ、と苦く思い出すことはあるが、激しく歯軋りするほどではない。村上春樹の短編小説「レーダーホーゼン」や「トニー滝谷」を読めば素直に不思議な感覚にを考えてしまう。つまりよい読者なのである。有吉佐和子の「木瓜の花」を読めば、つい庭に木瓜も花を植えてしまう。
あっという間の40年だった。多くの別れと出会いもあった。本もずいぶん読んだ。ぼくはまだ行かなければならない、と考えている。どこへ? どこかはわからない。また岐れ道がくることだろう。右は右の結末。左は左の結末。まったくこころの風景違うのかもしれない。
ここまで来てしまった。よく健康でやってきたものだ。それだけは有難いと思う。