25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

船村徹

2017年02月22日 | 音楽

 船村徹という作曲家の作品に「哀愁波止場」「みだれ髪」などがある。なくなる直前には伍代夏子に「肱川あらし」を提供していた。

 作曲家みずから演歌といっているのだから、曲は演歌なのだが、他の演歌作曲家とちがう、と前々から思っていた。ポルトガルのリスボンのファドの心髄は「サウダーデ」という一種の望郷、故郷を思う、あるいは遠くに仕事に行ってしまった夫を想うような心情をいう。船村徹の曲はファドではないが、こころにしみいるような曲が多い。「ひばりの佐渡情話」にしても春日八郎の「別れの一本杉」、北島三郎の「風雪ながれ旅」、大月みやこの「女の港」などは名曲だろう。曲にふしぎな覚えやすさと深みがあって、心に沁みるのである。

 生涯で5000曲ほどを作ったという。曲が公開されたあとも、こうすればよかったかな、とかの思いにかられるらしい。創作するというのはそんなものなのだろう。

 美空ひばりが船村に依頼した新曲「みだれ髪」にまつわるエピソードがある。一発録音OKだったというひばりのすごさがわかる。また船村があるところの音をラにするかファにするか悩んだらしい。ソと決めて楽譜を作り、ひばりに渡したら、ひばりはすんなりとファで歌ったので、あわてて楽譜をファにしたというエピソードを新に知った。「みだれ髪」は名曲中の名曲である。ひばりは昭和とともに逝ってしまった。船村徹は84歳まで生きた。お酒が好きだったというから、長く生きられた方だろう。5000曲ときくと、作りまくっているという感じを受けるが、酒でも飲んでゆっくりと充電をし、そこはかとなくイメージも蓄えたのだろう。

  また偉大な人がいなくなってしまった。この人は「日本の誇り」のように思う。

 



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