エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

馬酔木と沈丁花

2012年03月29日 | ポエム
馬酔木が満開である。
しかして、チンチョウゲが綻び始めた。

誠に爽やかで甘い香りを放っているのである。
春を満腔で感じられる今日この頃である。

馬酔木の流れるような房の連なりをじっと見つめたのである。
沈丁花のにほひに身を委ねたのである。

由利先生の普段からの御指導である。






      咲き流る馬酔木の午後の気怠るさや          野 人






馬酔木の花言葉は「犠牲」「二人で旅をしよう」「清純な心」
である。

学名は「Pieris japonica」である。
Pierisはアセビ属、japonicaは日本の~といった意味である。
Pieris(ピエリス)は、ギリシャ神話の詩の女神「Pieris」の名前にちなんだものだ。

古今東西、詩歌に詠まれてきた花である。
例えば、万葉集では多く詠まれている。

 「池水に 影さへ見えて 咲きにほう
あしびの花を 袖に扱入(こき)れな」
万葉集 大伴家持(おおとものやかもち)

「磯の上に 生ふるあしびを 手折らめど
見すべき君が ありといはなくに」
万葉集 大来皇女(おおくのひめみこ)

「わが背子に わが恋ふらくは 奥山の
あしびの花の 今盛りなり」
万葉集

「河蝦(かわず)鳴く 吉野の川の 瀧の上の
馬酔木の花ぞ 末(はし)に置くなゆめ」

などがある。
これらは和歌である。






       ふと時雨曙光さしたり沈丁花         野 人






沈丁花こそ、季節を告ぐる花である。
甘いかほりとともに。

花言葉は「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」
である。

この花の名前も、ギリシャ神話に拠っている。

学名の「Daphne odora」の「Daphne」はギリシア神話の女神ダフネにちなむ。
「odora」は芳香があることを意味するのである。

ギリシア語で月桂樹の意味を持つのである。
アポローンに求愛され自らの姿を月桂樹に変えたのである。

花はギリシャ神話に依拠するケースが多い。
それほど不思議で麗しいのが、花なのである。





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