2018年11月、山形県酒田市鳥海山の麓の遊佐町にウイスキー蒸溜所「遊佐ディスティラリー」が稼働を開始したという情報を聞いて見学に行ってきました。
事前情報で「酒蔵に醸造アルコールを供給する焼酎メーカーが立ち上げた蒸溜所」と聞いていたので、失礼ながら高を括っていました。
ところがどっこい、聞いてびっくり見てびっくり、日本でも有数の超本格的なウイスキー専門の蒸溜所だったのです。
これが蒸溜塔です。自然に囲まれた中に悠然とそびえ立っていました。
見学前に佐々木社長さんから、立ち上げのご苦労やこだわりをじっくりと聞かせていただきました。
日本国内の主要なクラフトディスティラリーはもちろん、スコットランドにも数回に渡って見学に行ったそうです。
そして、立ち上げの場所を決める際にも、酒田市内中を巡りました。その結果ここ鳥海山の麓に決めたそうです。
砕いた麦芽と温水で麦汁をつくるマッシュタンです。
1日に1,000リットルの麦汁を仕込みます。
窓から中を覗けます。
麦汁は発酵槽へと移されます。
中を覗くと発酵中のウォッシュが見れました。
3日間でアルコール度数8%になります。その後乳酸発酵をして90時間で発酵終了。
いよいよ蒸溜です。
ご覧あれ、この優美に輝くポットスチル2基。スコットランドのフォーサイス社製です。
手前が初溜釜、奥が再溜釜。初溜で力強さ、再溜で上品さを出すように設計された形をしています。
蒸溜液をカットする部分が多く、常識を超えた高品質のウイスキーを目指しています。
この蒸溜機の向こうがガラス張りになっていて、天気がよければ鳥海山を望むことができます。
蒸溜棟の隣に貯蔵庫が2棟あります。
当然中はまだガラガラです。
このように床に土を敷いてその上で樽を貯蔵する「ダンネージ方式」を採用。湿度を高めて、エンジェルシェアを減らす効果があります。
「今はバーボン樽のみを使用、今期の最後(2019年7月を予定)にはシェリー樽も試したい。麦芽も今はノンピートばかりだが、最後には少しピートの効いた麦芽も試したい」という佐々木所長の話でした。
遊佐ディスティラリーのコンセプトは「T.L.A.S.」だそうです。
Tiny(小さい)
Lovely(かわいらしい)
Ausentic(正真正銘の、本物の)
Supreme(最上の)
というウイスキー造りを目指しています。
最低でも5年以上熟成で未熟のウイスキーは一切出さない。樽オーナー制度や樽売りはしない。とのこと。
所長に「目指すは日本一のウイスキーですね」と聞くと、「そのとおりです!」と返事が返ってきました。
果報は寝て待て、5年後を楽しみに。(O.K.)