「それには次のように書いてあった。『諸国民の間に言いふらされ、また、ゲシェムも言っているが、あなたとユダヤ人たちは反逆をたくらんでおり、そのために、あなたは城壁を建て直している。このうわさによれば、あなたは彼らの王になろうとしている。』」(ネヘミヤ記6:6新改訳)
ネヘミヤがユダヤ地方総督として赴任したことにより、それまで「うまい汁」を吸っていた現地人たちはあわて出した。既得権益を守ろうとする彼らは、ユダヤ人たちがネヘミヤのもとで、強固な信仰共同体を築く計画―城壁建設はその象徴だった―を阻止しようと全力をあげる、その状況を記したのが本章。▼やっかいなのは、ユダヤ人の中にも内通者がおり、陰湿なかたちでネヘミヤに敵対したことで、女預言者ノアデヤといった名前もみえる。自己の権益をまもるためには神の正義を踏みにじることもいとわない、この罪深い生き方こそ、神のひとり子イエスを十字架に追いやったのである。▼ネヘミヤの持つ信仰の強靭さは驚異的だった。手を替え品を替えてやって来る脅迫者たち、内通している同胞の巧みな罠、神の名を用いて迫る女性預言者、折れてもおかしくない困難さの中、石垣は52日という短期間で完成した。ネヘミヤはすべての栄光を神に帰しつつ、「この工事が、私たちの神によってなされた」(16)と記す。神は今も活きておられる。必要とあらば貴方にも天来の「強靭さ」を与え、みわざのため用いたもうであろう。