AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

存在感の違い

2021-06-22 01:37:00 | ノンジャンル
メタルファンの間ではHELLOWEENがあの7人編成となって出したアルバムで賑わっているんだろうが、オレはちと後回しだな。

色々とあったあのバンドしては、あの形で集結するってのは良いアイディアだとは思ったが、結果的にHELLOWEENというバンドの終焉を見据えた様にも感じた。

興ざめするほどでもないが、強烈に惹かれるものも特に無かったな、このPumpkin Unitedは。


ま、後々に耳にするとは思うが、それよりも今はこっちだ。
FEAR FACTORYがいよいよもって再始動宣言として、『AGGRESSION CONTINUUM』をリリース。

以前にも書いたが、この時点で、ヴォーカルのバートン・C・ベルは脱退。
ただ、アルバムリリースに向けた曲のレコーディング自体は既に終了しており、本来であれば2018年末か、2019年初頭頃にリリースされる予定だったという。

そこで起こったのがバートンの脱退劇だったんだが、どうやらその原因は、元メンバーとの確執だったようだ。

本当の詳細までは判らないが、今回国内盤のライナーによれば、かつてのメンバーであるクリスチャン・オールド・ウルバースとレイモンド・ヘレーラ2人との裁判沙汰になるまでの対立が主な原因だったらしい。

オレも『MECHANIZE』リリース前、レイモンドが「バートンとディーノは自分達を出し抜いてFEAR FACTORYを名乗って活動しようとしているので、法廷で争うつもりだ」と語っていた情報を耳にしていたが、その件に関してはとうに終わったものだと思っていた。

が、
実際は泥沼化していたようだ。

内容はいちいち書くつもりないが、この件が原因で、バートンは結果として2度も破産申告する羽目になり、このFEAR FACTORYにまつわる人間関係に疲弊し、断ち切る事を決めた、というワケらしい。

まァ、コレに関しちゃ当人共の言い分があるだろうから真実がどうかは知らない。

ただ、バートンは「ディーノ抜きのFEAR FACTORYは無理がある」と考え、クリスチャンとレイモンドは「3人が居ればディーノ抜きでもFEAR FACTORYとしてやれる」という考えで齟齬が生じ始め、最終的にディーノ・カザレスが巻き込まれたというのは間違いないだろう。

元々のきっかけで言えば、バートンが原因と言えてしまうが、ファンとしては兎に角複雑な思いである。

バートンのヴォーカルはバンドにとって必要不可欠であるが、作曲にも関わっているレイモンドが居れば、少なくともFEAR FACTORYらしさは維持されるじゃないか?と思っていた。

だが、『MECHANIZE』を聴いて思い知った。
ディーノのギターと作曲術が、バートンを擁するバンドとして重要なマジックを持っているんだ、と(当時のベースはバイロン・ストラウド、ドラムはジーン・ホグラン)。
個人的には、『DEMANUFACTURE』や『OBSOLETE』と比肩し得る、2000年代に入ってからのアルバムとしては最高傑作だと思っている。
そこにクリスチャンと、レイモンドが不在という事実を除いても、だ。

そんな複雑な件があった後、FEAR FACTORYとしての権威は現在ディーノが持つ事で収束したが、バートン脱退という情報の後に出された『AGGRESSION CONTINUUM』は、ファンとしちゃ正に期待と不安の入り混じったアルバムである。

正直、内容は良い。
アルバム制作取り掛かりの時期考えれば『GENEXUS』の延長線上と言えるが、全体としては『MECHANIZE』以降のバンド遍歴集大成的な感覚も出ている。
バートンの事情を知っているから、というのもある所為だろうな。

あと、
妙にストレートな攻撃性を押し出したアルバムの流れだと思った。
まァこのバンドの攻撃性はそもそもにしてエクストリームメタルの範囲にあるものなので、どの楽曲も強烈至極なサウンドなんだが、そんな中でも哀愁や荒廃を感じさせる、ある種の抒情性を前に打ち出した楽曲が存在して、アルバムの感情をより増幅させている。

オレが今現在聴いている限りでは、そーいった一つの売りにもなっている哀愁漂う雰囲気が、このアルバムには無いと感じている。
抑揚に欠けている、というのでは当然無い。
先述した様に、アルバムの流れとして妙にストレートに感じるのだ。

「強烈至極なメタルサウンドである事を上手く主張して聴かせる」楽曲術に長けているのがFEAR FACTORYの特徴であり、同系列で括られているバンドとの存在感の違いを知らしめている。
一曲一曲バラエティがあるので、同じには聴こえない(とオレは思う)。

「優れた曲であれば、ギターソロを入れる必要は無い」なんて誰が言ったのか、正にその通り。
FEAR FACTORYは、メタルバンドとしてソレをほぼほぼ貫徹している。

「ギターソロがなければつまらない」?「リフだけでは演奏に面白みが無い」?
FEAR FACTORY聴いて猛省してほしい、そんな思想持っているやつは。
ま、尤もそーいう輩は、FEAR FACTORYの根源に持つ素晴らしさを感じ取れんだろうと思うケドな。

ちと暴走したが、
今回のアルバムは、質こそ違うが、『SOUL OF A NEW MACHINE』を思い起こさせた。

さて、
今後FEAR FACTORYは、バートンに代わるヴォーカルを探す事になるワケだが(現在のバンドメンバーは、ディーノ(G)、トニー・カンポス(B)、マイク・ヘラー(D)となっている)、果たして上手く行くのかどうか・・・・・・

バートンという存在感は、FEAR FACTORYというバンドに於いてはそれこそ換えの利かないものと感じているからなァ。

一先ず、
バンドが消滅する危機を免れたという事で、その難関を越えてやっとリリースされたこのアルバムを聴いて気分を盛り上げておこう。

オレにとっちゃ、やはりFEAR FACTORYは凄いバンドだというのを、『AGGRESSION CONTINUUM』を聴いて思い出させてくれたよ。