AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

人格形成の時

2023-04-26 02:02:10 | 音楽・ライヴ

まァ、買わないワケ無いじゃないですか。

前作から6年が軽く経過しているが、このバンドは最早このくらいの間隔が当たり前になってきているし、実際のところ、四天王と括られていたバンド達は2000年代に突入してからペースが遅々としていた。
あとは、『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』以降、このバンドはライヴ活動方面で賑わいを見せていた為、その情報を追っていたらそれ程待たされたという感じもなかった。

その一方で、METALLICA以外のバンドを注視していたというのもあったがね。
ソレはソレとして、このバンドがアルバムをリリースするという事が健全な出来事で喜ばしい。

90年代後半のMETALLICAは、メンバー自身でもどうしようもないくらいに内部軋轢があったし、アイデンティティ放棄したと思われた音楽性(『LOAD』、『RELOAD』の事)により、その活動ぶりからも「もうMETALLICAは終わった」と思われていたからな。

そんな90年代が終わったところから、バンド自身が縛り付けていた鎖を断ち切って、今日までの活動ぶりを見せているワケだが、初期より入れ込んでいるファンが諸手を挙げて喜べる様なアルバムが創り上げられているワケでもないのも事実。

今回の『72 SEASONS』も、どうかと言われれば、「う~ん・・・・・・」という感じではある。

『St.ANGER』以降、速い曲を作る事を拒絶しなくなったバンドは、所謂METALLICA印と言える様なリフ/フレーズを迷うことなくそーいった曲調で刻み込んでくるようになった。
そこに今のMETALLICAの活力というのを見出せるのだが、そうであるからと言って初期の様な❝先ず攻撃性ありき❞としたリフをメインとして打ち立てる構成では最早なく、速い曲でも感触がかつての様には感じない。

何というか、初期の頃は「全身に武器を纏って突き進む」感じであったのが、今は「信じる得物一つで突き進む」という感じへと変わった。
METALLICAの速い曲に対する昔と今の違いを、オレはそう捉えている。

ま、速い曲やってるから解決してるワケでもないからね。
ソレはこのバンドの一里塚であって、遅い曲にもこのバンドの魅力は沢山存在している。

ただ、それらの出来栄えに落差がある、って事なんだよね、問題は要するに。
意地悪な言い方すれば、昨今のアルバムの曲は中途半端な出来栄えの曲が多いという聴こえ方なんだわなァ。

METALLICAらしいものを聴かせてくれるのは良い事だが、そこから更に突き抜けたものをファンは求めている・・・というか、待ちわびているんじゃないかね。

 

さて、
今回の『72 SEASONS』だが、音楽的には前作の延長線上にありながら、それぞれの曲がジワリと個性的な印象を放っている。
前作の2枚分の余計なところを削ぎ落し、さらにストーリー性を持たせた内容となっている。12曲という収録曲数は同じだが、恐らく2枚に分けなければ集中が出来ないと思われた前作との比較がそこで明確にできると、個人的に思っている。

勿論、速い曲ばかりじゃないし、前述したように、個性的な印象を持っている曲が居並ぶと言っても、METALLICAとしての曲の出来栄えとして考えたら、何とも半端さを拭えないと感じる点も否めない。

それでも、METALLICAらしいリフ/フレーズが聴こえてきた時の嬉しさは、やはりこのバンドの持つ魔力なんだろうな、とも思ってしまう(笑)。

アルバムタイトルでもある一曲目「72 SEASONS」は、ジェイムズ・ヘットフィールド曰く、「人は18歳になるまでに、2つの人格が形成されていく」事を題材とした歌詞内容となっている。
以降の曲も、少なからず「人格の形成」という観点を当て嵌めた歌詞内容を覗かせる事もあり、ある意味コンセプトアルバム的匂いも漂う。

兎にも角にも、10代という時期が、人間に於いては重要な時期を示すという感じ方は、我々共通感覚なのだろう。

ターニングポイントがもっと遅い時期に来る事だって勿論ある。
ただ、それも結果として10代という時期を、どう過ごしてきたかという土台あったればこそ、と思える。
それこそ、今回の曲で言いたい事は、「人格形成によって、どう選択するのか」というものである。

この❝檻❞なるものをどう捉えるのかは、その人それぞれによる。
だが、10代で形成される人格は、その取り巻く環境によって影響される事は間違いなく、ソレは結果として鎖、或いは呪縛とも言えるんじゃなかろうか。

METALLICAは、「檻を壊して前に出る」というのを、アルバムジャケットに示している。
しかし、形成された人格は、良くも悪くも消去できるものじゃない。
ソレが消去出来てしまうという事は、❝その人❞そのものではなくなる。

渦巻く感情を抱えながらも、一つの選択でもって動かなければいけない。
では自分にとって最良の選択は何だ?

これもまた、日々我々に突き付けられるものである。
それがたとえ些細な事態であっても、だ。

そんな時間が蓄積し、振り返った時に自分自身というのがどういったものであるかを気付き始める。

・・・・・・そうなるのって、やっぱり相当に時間かかるものじゃねェのかなァって思ってしまうんだよね。
72の季節を通り越してから、って気がしないでもない(笑)。

早くからそこに気付ければ良い、というものでもないからね、こーいうのって。

ともあれ、
今回のアルバムに関しては未だにスラッシュメタル期を神と見做すファンの溜飲を下げるには至らないが、少なくとも2000年代からのMETALLICAとしては、妙な意識をせず無理もなく、これまでで一番焦点を絞れた内容となっているのは明らか。

あとは、ここに加えて鬼気迫る攻撃性を今一度剥き出しにした曲を生み出せるか・・・
このバンドが最後となる時が来るなら、オレが聴きたいのはそこだね。


何でもない練習の一コマ

2023-04-19 13:31:25 | ドラム

最近上げてなかったんで、久しぶりに晒してみようかと思って録画(笑)。

 

【見るも聴くもつらし】ゆる~くビート(takesi)チェック【スタジオ練習】 - YouTube

まァいつもスタジオ入ってやってる事なんだケドね。
今回部屋のライトが位置的にぶつかってた所為だろうが、画面が妙に薄明るいんだよな。

まだまだ、このくらいは維持できるようにはしておきたいね。


このくらいの間隔で良かったりもする

2023-04-18 13:40:16 | 音楽・ライヴ

漸く次のアルバムをリリースしてくれた感がある。

前作『WINGS OF WAR』から4年。
この4年という間隔は、OVERKILL史上最長のアルバムブランクだという。
これまで長かったとしても3年ほどで、殆どが平均して2年に一度という間隔でリリース(アルバムという形体としては、今回で19枚目)というペースなのは、40年を迎えるバンドとしては驚異的なスピードだと言える。

同じ日にリリースされた超有名メタルバンドは6~8年くらいのペースが当たり前になっているのを横目に・・・と比較するのは野暮か(いや、そのバンドも好きですよ:笑)。

ちょっと前にIN FLAMESを取り上げた際に書いたが、前作『WINGS OF WAR』はIN FLAMESの『I,THE MASK』と並び2019年のベストアルバムだった。
因みにアルバムカヴァーは、個人的にOVERKILLで最も好きなアートワークだったって事もココで記しておく。

奇しくも、この2バンドはまた同じ年にアルバムをリリースする事になったワケだが、その事実もオレとしちゃ期待が膨らむ要因となっていた。

まァ前作があまりにも良かったんで、正直4年くらいの間隔空いていたくらいが丁度良い気もするんだよね。
メタルシーンで、オッサンキャリアの人間になると、ハイペースは耳が追っつかない。
個人差はあるだろうが、少なくともオレは良いアルバムであればそれなりに徹底して聴き込み入る方だから、次から次へという動きをされても、直ぐに対応はとらない。
OVERKILLの多作振りは確かに驚くべきところではあるが、それでもアルバム内容的に密度の落差があったりするんでね。こんくらい待たせてくれても良いんじゃねぇのかな、と。

今回の『SCORCHED』は、ドラマーにSHADOWS FALLのジェイソン・ビットナーが参加して2枚目。ギターチームは今年で20年を迎える。間違いなくバンド史上最長のコンビであり、当然ながら現編成が最強のラインアップだと言える。

コレはオレの持論であるが、このバンドはドラムのテンションに落ち目を感じると、大体アルバムの質がそこまで良いものじゃなくなってたりして、結果としてドラマーが脱退する。

飽くまでも個人的感覚でソレが当て嵌まっているだけである。
が、そこから新しいドラマーが加入してから1、2枚目辺りでのアルバム全体の引き締まり方は凄まじく、以降のテンションを引っ張て行く感じをよく受けるんだよな。

前作が正にソレ。
前任者のロン・リプニッキも加入してからの『IMMORTALIS』と『IRONBOUND』は当時のOVERKILLのマンネリしかけた状況を打破した(特に後者)印象だった。
ロン在籍時最後のアルバムである『GRIND WHEEL』は妙に低いテンションを特にドラムから感じたんで、残念ながらハマる事は出来なかった。

あと、今のジェイソンが良いのは、ドラムが生ドラムをマイクで通してという感触のある鳴りで聴こえてくる点かな。
音の粒が一つ一つ明確でリズムキープも正確なのは、SHADOWS FALL時代からも知られていたと思うが、OVERKILLに加入して、よりその強みが増した様にも思える。

で、
今回の『SCORCHED』は、❝バンドとしては多様な曲が並んでいる❞と言われている内容だが、基本的には❝OVERKILLによるスラッシュメタル❞という枠組みを逸脱していない(というか、出来ない:笑)。
オレとしては、こちらが聴き弛みを起こさせない程度に曲調の違いを感じさせる内容だと感じた。

今作と前作との関係を敢えてつけるとしたら、今から20年以上前にリリースされた『BLOODLETTING』と『KILLBOX 13』の関係に似ている気がする。

『BLOODLETTING』と『WINGS OF WAR』は、OVERKILLの核となるメタルを剝き出しにした、オラオラ感のあるテンションを終始保ったアルバムであったのに対して、『KILLBOX 13』と『SCORCHED』はそこからもう少し多彩な曲調を取り込んだアルバムの流れを伺える。

OVERKILLが、音楽要素として幅が狭いと言うつもりは無いケドね。
大事なのは、最後まで聴いていられるほどに興味を向けられる曲にしているか、だから。

その意味では、今作は4年のブランクもあって、良い状態で耳にする事ができそうだ。


時代と呼べるほどの経過

2023-04-07 23:12:42 | 音楽・ライヴ

先月下旬に発売される事は知っていたが、漸く入手。

約24年前に、「HR/HMディスクガイド」というのが同じく出ていたが、当時のはシーンに於ける大物/重鎮を軸にバイオグラフィーを簡潔に展開させながら名盤/必聴盤をピックアップした内容となっていた。

年代が年代なので、1999年までに於けるメタルのカテゴリー内でのサブジャンルの傑作を挙げていた形となっていたので、時系列的な紹介というワケでもなかった。

それでも、当時としては読み応え十分な資料本となったのは間違いない。
純粋に、自分の中で更に多くのバンドを知り得るきっかけになった参考書みたいなモンである(にしても、当時資料をまとめ上げるのは相当慌ただしかったのか、初回出版分に関しては、誤植がかなり目立ったのも記憶に新しい:笑)。

今回のは単純に、HR/HMと大枠で語られるバンドのアルバムをリリース年代毎に紹介している。
それだけであっても10年に亘る枚数は膨大なものであり、紹介数は約2000に上る。

現在は、ネットの発展により特に大物バンドのバイオグラフィーなどは様々な形で確認する事ができるため、今回のディスクガイドが以前の続編と捉えるならば、バイオを綴る必要は無いと、個人的に思ってもいた。

加えて、ライター各人がアルバムに対してのコメントを綴っているので、コレを聴け!みたいな挙げ方をしているものも無いので、妙な偏見を持たないで見る事もできる。

いや懐かしい。
特にテメェの中で熱中度合の強かったのがこの辺りから2011年くらいまでで、様々なメタルバンドが興味を駆り立ててくれた。
年代によっては、見開き1ページの中に最低1枚は手元に在ったりする。

そんな風に見る事が出来るほどに、時代という経過を歩んできたのか、とも思ってしまったね。

現在はこのディスクガイドで紹介している年代から、更に14年の時が経過しているワケだ。
勿論、2012年以降も色々なアルバムが出てきて手にしてきているが、バンドとして「コイツは新しい、自分の音楽観に無かったものを叩き込んでくれている」という、所謂衝撃に思える様な存在は殆ど出て来てないね。

結局のところ、10~20代後半までに自分を彩ってくれたバンドの新譜を追っていく事に終始している様な感じになってきてしまったね、少々残念な気もするが。

ま、
正直オレとしちゃもう、新しいものを追うとか考えてない。
老害発言となるが、いま流行している音楽に対して良い刺激となるものを感じられない。
自分が刺激を受けてきたものよりも薄味に思えてしまう。

ここまで来ると、単純に自分が好きであるものを聴いていく事を選んでいくってので良いと思う。
現に、最近よく聴いているはMOTORHEADだからね(笑)。

背伸びするつもりはないし、お高くとまるつもりもない。
ただ、それなりの奥行きを持っているつもりだ。

最終的に説得力を持たせるならば、ソレは自分の演奏で、ってところだ。

ともあれ、このディスクガイドは紙媒体として出してくれて有難い。
単純に見てて面白い。