色々と情報を見聞きして、興味が湧いたので入手。
CADAVERの『THE AGE OF THE OFFENDED』。
幾つか、このバンド名は存在していた様な気がするが、コレは1980年代後半に結成されたノルウェーのデスメタルバンドの最新作。
2回ほど解散を経て現在活動中。2014年には現MEGADETHのダーク・ヴェルビューレンが加入し、現在も在籍。
先ず最初に興味を引いたのはそこだが、今回の目玉は何と言っても、TNTのギタリストである、ロニー・ル・テクロが加入しているという事。
TNTがHR/HMバンドであるというのは誰もが認知するところだと思うが、その大ヴェテランのギタリストがデスメタルの括りに入る音楽形態のバンドに加入というのは、意外であり、衝撃だと思う。
ただ、インタビュー読んでいると、ロニーは自身が構えるスタジオで、幾つかのデス/ブラックメタル系バンドのレコーディングにも関与しているので、耳馴染はあったという事らしいね。
その中でこのCADAVERを選ぶというのは、誰も予測出来なかったろう。
中心人物であるアンダース・オデンは、最初にバンドを始める際にTNTの曲「DEADLY METAL」をバンド名にするほどにTNTのファンだったようで、今回のアルバムではそのカヴァー曲が収録されている。
ただ、ぶっ壊れ度合いが強いカヴァーとなっている為、一度ロニーに認可を得ようと曲を送ったら、当のロニーはいたく気に入って「是非ギター弾かせてくれ」と速攻で返事が来たらしく、あれよあれよという間に、バンドに加入する事になったようだ。
こう述べてしまうと、このアルバムの最大の魅力がカヴァー曲だけみたいになってしまうがちだが、個人的には然に非ず。
元々、アルバム毎に内容の変化が大きい事でも知られているバンドのようで、今回は前作と比べるとプログレッシヴ且つサイケデリックな要素が盛り込まれた内容となっているとの事だ。
その感性によって創られたのがオレとしちゃ好感触で、現代的なマシナリーなデスメタルとは確実に一線を画す、正に不穏さを主張する音作りとなり、緩急のついた曲調が飽きさせない様に集中させてくれる。
アンダースのデスメタルに於けるお手本としているのがMORBID ANGELという事で、成程そこかしこにそれらしい不穏且つ妖艶な雰囲気をギターで表現しているのに気付く。
そして、
個人的にやはり刺激となるのがダークのドラミングである。
ダークは今ではMEGADETHの凄腕ドラマーとして、一躍名声を得たように見られているが、その前まではSOILWORKでその腕を如何なく振るってきていた。
なので、人によってはSOILWORKでその凄さを知ったんじゃないかと思う。
まァ、実際彼はそれ以前にテクニカル/プログレッシヴバンドのSCARVEをメインに、様々なバンドでセッションドラマーとして活躍を見せていた事もあり、正直テクニックの突出の仕方は、同系バンドのドラマーと比べても明らかに違っていた感はあった。
とは言え、ここに来てまさかMEGADETHに加入するなんて、露にも思わなかったケドな。
クリス・アドラーも結果的にLAMB OF GOD脱退する形になっちまったが、もしかしたら今の状況を悔やんでるかもな。
「もう少しだけ辛抱していたら、俺は今頃MEGADETHのドラマーで留まれたかもしれないのに」と。
ま、これもタイミングだ。
どう転がるか判らん人生だ。
と、
話が脱線しちまったが、CADAVERに於けるダークのドラミングは、正にブルータルデスメタル流儀と言える、ブラストビート満載のドラミング。
SOILWORK時代でもブラストビートは多用していた記憶があるが、CADAVERはその比じゃない。
ストレートと言えばストレートであるが、その分だけ曲の持つ暴虐性をプッシュアップしている。
MEGADETHでのドラミングを聴いていても素晴らしいと思ったが、ダークの本領はやっぱりこっちだろと思ってしまうほどの苛烈さ。
まァMEGADETHを離脱するなんて事は当面ないかと思うが、仮にもエクストリームメタル出身のドラマーだからな。
CADAVERの様なバンドで、己のプレイアビリティの捌け口を見つける必要はあるだろうな。
ダークはともかく、ロニーがホントにいつまで在籍するつもりなのかが気になるところだが、彼にとっても一種の捌け口としては理に適っているんだろうね。
シーンの中で、色々と話題になっているバンドだろうね。