11月21日、12月4日の本ブログで最新動向を紹介したこの問題につき、12月15日連邦議会下院は「1993年同性愛公言禁止法(DADT Act)」の単独廃止法案(H.R.2965-Don't k, Don't Tell Repeai Act of 2010)を可決した旨本ブログで紹介した。
そこで述べたごとく12月18日に上院が同内容の法案(S.4023)を織り込んだH.2965の修正法案(H.R. 2965)を賛成61票、反対31票、棄権4票で可決した。(筆者注1) すなわち、S.4023法案自体は可決されていない。
Gov.track usから一部抜粋
この上院での可決を受け、オバマ大統領、ゲイツ国防長官およびマレン統合参謀本部議長はそれぞれ歓迎する旨の声明を発表している。
12月22日、オバマ大統領は同法案に署名し、同法は成立した。大統領は署名式典で、「われわれの国家は、すべての愛国者が軍務に就くことを歓迎する」と述べ、軍務規制撤廃の意義を強調した。(筆者注2)
しかし、下院で12月8日に賛成216、反対198で可決した“DREAM Act法案”については上院の採決では賛成55票、反対41票、棄権4票となり、共和党による議事進行妨害に対応するための60票に達せず可決しなかった。
“DADT Act”の廃止に基づく米国軍の環境整備については本ブログでも紹介してきたとおり、DODを中心に具体的な取組みは進むものと思われるが、各軍にはそれぞれこの問題に対する独自の見解があり、最前線での対応を含め更なる課題をかかえた出発となろう。
それ以上に大きな問題は“DREAM Act法案”であろう。まさにオバマ政権の後半の指導力が問われる問題として本ブログでフォローしたいと考える。(筆者注3)
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(筆者注1)「Don't Ask, Don't Tel Repaea Act of 2010」の制定の背景、立法経緯、採決の詳細などについてはWikipedia が詳細に解説しており、併せて読まれたい。また、以下のGov.trackの解説サイトも参照されたい。
(筆者注2)12月22日付けのホワイトハウス・ブログは「オバマ大統領が『2010年Don’t Ask Don’t Tell Act廃止法(Don't Ask, Don't Tell Repeal Act of 2010)』に署名」と題し、署名式典の模様として大統領の声明を紹介している。
その中で大統領は66年前の欧州西部戦線での2人のパットン第3軍団の軍人の命をかけた友情と後から分かったことであるが1人は同性愛者であったという例そしてその子供がここに出席していると述べた。締めくくりの言葉は「われわれは多様さから脱して、1つになろう(Out of Many ,We are One)」である。
〔参照URL〕
1.“DREAM Act法案”に関する米国メディアの解説記事
・http://colorlines.com/archives/2010/12/dream_act_passes_house_moves_to_senate.html
2010年12月8日の“DREAM Act法案”の下院での可決を巡る動き(12月9日付けColorLines)
・http://colorlines.com/archives/2010/12/dream_act_fails_in_senate_55-41.html
2010年12月18日、上院採決で絶対的多数票を得られなかったことに関する記事(12月18日付けColorLines)
2.共和党内の同性愛者グループであり、2004年に政府に向け告訴を行っている“Log Cabin Republican”の「DADT 法の廃止法」に関する意見サイト”DADT Repeal is Signed into Law, Log Cabin Repblicans Vow to Continue Lawsuit Until Open Service is Realty”
( 2010.12.22)
”Log Cabin Republican”は、すべてのアメリカ人の公平性、自由、平等を支持するLGBTの保守派と異性愛者を代表する、米国で最初で最大の組織である。“Log Cabin Republicanには、全国に州および地方の支部があり、ワシントンDCに常勤のスタッフ、連邦の政治行動委員会、および州の政治行動委員会がある。
(筆者注3)”DREAM ACT”法案関するレポートはわが国でも多い。例示する。
・2017.10.12.DACA廃止の合理性を問う / 西山隆行 / アメリカ政治 | SYNODOS -シノドス-
・2014.2 新田浩司「アメリカ合衆国移民法の最近の動向に関する研究」
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